会いにきてくれたのに私が忘れたんじゃしょうがないよね。いつも記憶だけあって事実がないのに、記憶も衰えて、でも確かにあなたがいたこのモヤモヤだけが消えなくて、何してたんだろうとかどういう顔で格好で表情で、私との距離はどうだったんだろうとか。もう誰も知らない私の中だけの話で、私が思い出さないと消えていく一方で、書き留めないと溢れちゃうのに。泡のようにじゃなくて、グラスから溢れた水みたいに、一瞬宝石みたいにキラキラしてて綺麗なんだけど、テーブルに落ちたら他と変わらない水になる。
いつも顔を見せてくれなくて、思い出そうとしてもぼやけてしまうのに、今日は目が合って3秒くらい固まってしまった。はっきり覚えてる。私だけが覚えてる。諦めてたから、夢の中の自分も諦めてた。
一生答え合わせのできない問。そんなのどうでもよくなるくらい今愛してよ。
嗅覚が一番記憶に近いから。忘れられなくなる。会わない方がいいかもしれない。
ずっとこの現象を題材にした小説を探してる。
才能もあって努力し続けた人。才能もなくて努力もできなかった私。
そっちの世界のこと知りたかった。行きたかったそっちの世界に。
会ってしまったら違う世界の人だと思い知らされるから辛い。
なのに同じ空を見て、同じご飯を食べて、同じお酒を呑んで、同じドラマを見てる。やっぱり存在するんだな。存在しなかったら諦めついてたかな。
私はこんなに救われているのに私は何も返せないから辛いの。あなたの分の悲しみが私に降り注いでくれたら耐えられる。そのことをあなたが知らなくても。