「ニノと遠くに出るなんて、初めてだね。この間はアパートの前だし」
「ふふ。海なんて久しぶりですよ」
「でもさ、めちゃめちゃ朝早くない?ま、誰もいないから、のんびりするけどね。」
「…ん」
ニノは寝ぼけていた俺を、無理やり自分の車に詰め込んで、
二人でひと気の全くない海辺にきた。
それもまだ朝の6時前。
ニノは仕事終わってから俺んちでシャワーだけ浴びて、
すぐに海まで直行。
もうそろそろ限界みたいだな。
さっきから俺の肩に寄りかかって寝ちゃった。
ニノ疲れてんだな…ニノの頭を、
肩から俺の膝にスライドさせて寝かせた。
風邪ひいちゃマズイよな…俺のジャケットをかけて…と。
ニノ、髪がまだ湿ってる。
よしよしなでてると、なんだか犬を飼ってる気分でくすぐったい。
ニノ、色白いよな。
ニノ、俺と同じ匂いだ。
俺んちでシャワー浴びたんだから、当たり前か。
暇だから色々と観察してみる。
髪をすいてみたり、耳たぶを引っ張ってみたり、
顔はよく見えねぇな。手は…やっぱちっちぇえ!
この間つい掴んだ時にも思ったけど、白くてふわふわしてる。
俺の手と比べたら女の子の手みたいだな。
な…なんか緊張すんな…
…おのさん
…おーのさん
「んあ?あ⁉︎ 」
「大野さん風邪ひきますよ。
重くて目が覚めたら、大野さんまで寝てるんだから」
「わりぃ…あ~でもなんかスッキリした。」
「オレも。寝かせてくれてありがと」
「あははは。結局俺も寝てたし。」
「あ、人もちらほら来だしたから帰りませんか。」
「え~なんか食べて帰らない?俺腹へった。だいたいまだ朝だし。」
「じゃ、大野さんちで朝ご飯食べよ。
あんまり人がいるの、ちょっと苦手。
何か作りますよ。なにがいい?」
「ニノが作ってくれんなら、なんでもいいよ。ニノの飯、なんでもうまいし。」
「ふふ。世界一うまいんでしょ?」
「そうなんだよ~」
帰りの車で、俺はまた寝てしまった。
流れる歌に合わせて口ずさむニノに声が、
ずっと聞こえていた気がした。
ニノ、歌う時はそんな声出すんだな…。
上手いのか上手くないのか俺には分からないけど、
ただいつまでも聴いていたかった。
またニノと出かけてぇな。