私は普段、過去の恋愛のことをウダウダ言うタチではないのだけれど、ふと16歳の頃の恋愛を思い出したので書いてみる。


16歳の冬、人生で初めての彼氏が出来た。


彼は音楽の授業で隣の席になって初めて喋った。


常にやる気がなく、上履きの踵を踏み潰して靴紐すら結ばない人だった。


踵を踏み潰さず靴紐も解けない結び方をしている私とは対照的な人だった。


だから惹かれたのかもしれない。


冬休みにふたりで地元の有名なイルミネーションに行った。


手を繋いで、視界いっぱいに広がる光と横にいる彼に目も心も奪われながら歩いた。


その帰り際に私が告白して、彼も好きだと言ってくれて付き合った。


私たちは恋人らしい事は何もしなかった。


大人のようで子供らしい恋愛をしていた。


そして別れたのは17歳になる年の春。


その時期は私の部活の大会が近く、追い込みの期間だったので毎日家に着いたらスマホも見ずに泥のように眠っていた。


そのせいで彼からの連絡に気づいたのはいつも次の日の朝だった。


申し訳ないなとずっと思っていた。


そんな生活を繰り返していたうちのある日、彼から「別れよう」と連絡が来た。


理由を聞くと彼は「これ以上貴方の負担になりたくない」と言った。


私が毎日連絡を返せないくらい疲れているのを知っているからこそ、自分がいることで余計な気を遣わせていると思っていたらしい。


そう、彼は優しすぎるのだ。


それを聞いて私も別れに了承した。


私も彼にこれ以上気を遣わせたくなかった。


彼はもっと恋人らしく出かけたりしたかっただろうに、私と付き合っているとそれが出来ない。


それがずっと心に引っかかっていた。


彼は私と付き合っていて幸せになれるのか、そう自分に問いかけた時に出た答えはNOだった。





今になって、私たちはもう少し自己中心的な恋愛をしても良かったと思う。


お互いに自分の気持ちを相手にぶつけても良かったと思う。


相手の気持ちを考えすぎていた。

いや、向き合うことから逃げていた。


傍から見れば優しいカップルだったかもしれない。でも結局はお互いに逃げていて、逃げ続けるのにも疲れて別れた。


彼は人生で出会う運命の人のうちの一人だった、と別れた時の私は思ってた。


現実はそうではなくて、ただ単に不器用な子供同士の不完全燃焼な恋愛だったのだ。


私は今になるまで、この思い出を美化しすぎていた。




16歳の私へ


自分の気持ちを精一杯伝えて彼と本音でぶつかり合ってね。