トンでも話です。

 

 

 

 

 

 

本日は出かけまして、その途中に小さい救急病院があります。

人口4万人くらいの町にある小さい病院。

推定ベッド数50床くらいでしょうか。

その出入り口には、車が止まったり、歩行者がボタンを押すと変わる信号があります。

 

 

 

 

 

 

帰途、そこの信号が赤になって停止しました。

車も出てこなければ、歩行者もありません。

まもなくそこを、透明な、でも冬の毛糸の帽子をかぶったおじいさんが渡ってゆきました。

 

 

 

 

 

 

ここで初めて信号が変わって透明な人を見たのは

5年くらい前だったでしょうか。

早朝、神社に行こうと思って車を走らせていました。

他に車の影もないのに、急に赤信号になり、

しかし、歩行者も何もなく

なにこれ?猫にでも反応した?と思っていたら

朝日を浴びた、透明な、髪の長い青年が

嬉しそうな顔をしてそこを走ってゆきました。

あれなに??生きた人間ではない。

きっとここで亡くなった青年だ、と思い浮かび

でも怖いとは思いませんでした。

ほどなく信号は青に変わり、走り出しながら私は

随分律儀だな。

亡くなっているのに、きちんと横断歩道渡るんだ、と

妙に感心しました。

お家へ、家族のもとへ帰るんだ。

あんなに嬉しそうな顔して。

家族にお見せしたい笑顔でした。

 

 

 

 

 

其れから半年後くらいに、やはり昼下がり

信号が赤になり、でも車も歩行者もなく

透明なおばあちゃんが、シルバーカーを押して渡って行きました。

 

 

 

 

 

大都会の病院ではありません。

しかし、そこで亡くなられたらしい方は、きちんと歩行者用信号を

青にして渡ってゆくようでした。

皆、一様に嬉しそうに笑顔で家路を急ぐようです。

最初に見た、あの青年の輝くような笑顔、ご家族にお見せしたかった。

 

 

 

 

お家に帰れるのは、みんな嬉しいのですね。

病院では、痛かったり苦しかったりしたのでしょうけれど

家路を急ぐお顔はみなさん、晴れ晴れとしていました。

 

 

 

 

真昼の、トンデモ話です。