私はこの日、仕事終わりに、
電車で二時間ほどかかる実家へ帰省した。

仕事は年度末で超忙しい時だが、
やることを取り敢えずやり、
2日の休みを貰っている。

先日、弟が私の体調を心配して、
私の暮らす名古屋にやってきたのだが、
その時に、父親だけでなく、
母親もどうやら認知症になったらしいことを聞いていた。

気性の激しい母親とのやり取りで、
とても疲れた顔をしていた弟。

仕事は気になるが、
それよりやはり、実家のことが気がかりで、
春分の日前後に帰省することを決めた。

晩御飯はこちらで食べていくことを伝えていたが、
実家につくと、
母親はお茶を出してくれた。
父親は…挨拶したあと、
自室へ行ったっきり戻ってこない。
知らない人(私)がいるから、
リビングには行きたくないんだろうな。

母親はとても真面目な四角四面な性格で、
認知症の父親が起こす行動に、
いちいち腹を立て、罵詈雑言のオンパレード。

私はそもそも、
大声の人は苦手だし、
言霊の力も信じているので人を傷つけたり、
馬鹿にする言葉は大キライ。
申し訳ないないけど、
早々に弟のいる2階へ避難した絶望

弟は晩酌の途中だった。
で、あっという間に追加でつまみを作ってくれた。

しらすの大根おろしがけと、
ホタルイカの生姜醤油あえ。

これで、ロゼワインと日本酒を空ける。




弟の奥さんは、
これまた相当に言葉のきつい女性で、
そのせいで一時は自宅に帰れなくなっていたらしい。
弟は子どもたちに会えないのはかなり淋しい、と云いながらも、
今は両親の介護を口実に奥さんとは住まいを別にしていた。

なんだかな…とにかく頑張りすぎる弟。
潰れなきゃいいけど…。

お酒を飲みながら、
互いの夫婦のこと、子どもたちのこと、
両親のことをかなりの時間、話した。

その中で強烈だったのは、この話。
その日、弟は母親と大喧嘩をしたらしい。
すると父親が飛んできて「俺達のことに口出しするな!」と怒鳴ったとのこと。
よかれ、と思ってやったことを伝えると、
「私達は、今までもふたりで仲良くやってきてるもんねー♥」と母親が言うと、
父親と2人、にっこりしたそうだ。
弟は内心、
「何を見せられてるんだ?」とバカらしくなったと。
2人の生活が不衛生にならないよう掃除をしてたけど、そこまで言うなら2人でがんばってくださいと手出しするのは止めたそうだ。

先回りしてあれこれするのも、止めたと。
だから、これから先、
この家はジジと犬の糞尿の臭いがしたり、
食品が腐る臭いがするかもしれんけど、いいよね?と。
虐待だと言う人がいるかもしれんけど、
虐待じゃないと言い切る自信はある、と。

私は基本的にお願いされなければ動かないし、
自ら動く時は「〜してやってるのに」という気持ちはないので、
逆に、今までの弟の献身的な介護には頭が下がりっぱなしだった。
この話を聞いて、
そのスタンスで全然いいよ、
私はあなたの味方だし、と伝えた。

この帰省で、
とにかく少しでも弟の心の重みを除いて上げたかったし、
力になりたいと思っていた。

話しながらベロンベロンに酔っていた弟。
お互い、お酒に弱くなりましたね(笑)

帰省して、ここにいるのはあと2日。
毎日デイサービスに通っている父親と接する、母親のストレスも相当だと思うので、
母親の話も聞いてあげるか…と思っている。
基本的に悪口しか出てこないし、  
認知症で同じ話しか出てこないから、
正直、気は重いのだけどショボーン