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さっき、見せられたあの時代の映像を再び見せられる。
映る画面の真ん中には瑞希さん。
その正面には...知らない、女の人。
ひじり
「聖」そう呼んでいるのが、聞こえた。
「やはり、外ではその名前でした呼んでくれないのですね...瑞希...。」
「...すみませんね。」
「いいえ、わかっていたことです。」
2人とも困った様なそれでいて、照れる様な笑顔をしている。
女の人--聖さんは、瑞希さんを家の中へと招き入れた。
誰もいない、2人だけの、家の中へと。
「だぁーーーーーーーーーーっ!!!!!」
びくっと、ガラにもなく怯える。
先刻までのどこか儚げな風格をどこかへと吹き飛ばしてしまった聖さんの奇声のせいだ。
「外に長時間にて、疲れているとはいえ...それは...」
あはは、と、瑞希さんは、この短時間で俺がよく知ることになったあの苦笑を浮かべる。
「疲れたっ!! なんなんだ、あの、なよっちぃ女は...いらいらする...。」
聖さんの口調は荒々しくなり、立ち居振る舞いもがさつになる。
そして、彼女の目は美しいほどに、朱く光っていた。
「...聖のことを知っている人が見ていたら気絶ですねぇ。」
はあ、と、瑞希さん。
「聖なんて、知らんぞ!! 妾は妾だっ!!」
あー...。 必死に目を逸らして信じない様にしていたが、やはり。 これがサクラの様だ。
「瑞希っ!! お前も妾を聖なんて呼ぶなっ!!」
「はい、はい。 サクラ。 ...これで、いいですか?」
「そ、それもやめろっ!!」
「なんなんですか...。」
はあ、と、瑞希さん。 何度目なのだろうか。
『聖、というのは、私の妻です。』
...妻?
と、馬鹿っぽく、首を傾げる俺。
『政略結婚、とやらですかね。』
時代はずれのそんな言葉に何も言えなくなる。
『そういう、時代なんですよ。 そんな妻が、ある日人斬りにきられたんです。
それが、サクラとの出会い、と言うんですかね...。』
瑞希さんは、遠い目をして、いつかの自分を見詰めた。
『ただ、私は、サクラを... サクラは...』
ノイズ
ザァッ という雑音と共に、景色が変わる。
次の景色の真ん中では、
大きなお屋敷の縁側で、聖さんが倒れているところから始まった。
「...聖?」
「あ、あぁ、あ、ち、ちがぅ、ち、ちが、ちがうんだ、お、おお、お、俺は、お、おれ、おれはっ、」
身なりの汚い、ガリガリの男が、そんな聖さんの傍で腰を抜かし、
何語なのかわかりもしない意味不明な言語で喚いていた。
「...お前は...?」
瑞希さんの、冷たい凍てつく様な瞳と声に、あからさまに怯える男。
けれど、そんな冷たさの中に、一抹の安心と安らぎを見つけてしまった俺は何も言えなかった。
「お、お、おおお、おおおおおおおお、俺は、俺は、頼まれたっ、たのまれただけなんだよぉ...」
醜く喚く男。
「...なにを...誰に...?」
『ふふふふふ、若いですねぇ、私。』
にこにこと、にこにこと。
瑞希さんは笑っていた。 嗤っていた。
「い、いいいい、いえねぇ...いえねぇよぉ...い、い、言ったら...こ、ころされちまぅ....」
「ほぉ...私は...お前を殺さないとでも...?」
反射的に、見えているものから目を逸らした。
ザァッ という、雑音に似た音がして---
「...聖、お疲れ様でした。」
聖さんに外傷はない様に見えるが、
虚ろな目で、口からよだれを流し、ヒューヒューと、独特の呼吸音をさせていることから、
致命傷であることが見てわかった。
聖さんの腹部には、お札。
『み、ずき...』
「サクラっ!!?」
初めて、瑞希さんが慌てる。
『ふ、ふだ、を、早く...』
サクラの声は、聖さんと同様に衰弱しきっていた。
『私は、疲れていたんです。 聖に。 愛してもいない人が隣にいることに。 だから...』
「それは....できないです...。」
『...み...ず、き?』
「今、貴女を助けてしまうと、」
聖も助かってしまう。
その言葉をサクラが聞くことはなかった。
掻き消されたのだ。
立ち上がった、聖さんによって。
聖さんの声が言う。
憎しみに燃える、朱い目をして。
「瑞希...お前も...お前もなのかっ!!!」
「サ、クラ...」
聖さんの手中に白い刀身が現れる。
聖さんは、それを、慣れた様子で上段に構える。
そして、それは、聖さんのか弱い腕力で最も効率よく振り下ろされ---
『眼を、逸らしちゃ駄目ですよ?』
逸らしていた顔を、むける。
刀身は空を切っていた。
そこには、空振りをして困惑しきった表情の聖さん、もといサクラと、
腹部から血を流し、膝を床に着いた瑞希さん。
そして、瑞希さんに向けられている硝煙だった銃を持つ男。
「...おや...瑞希...聖に...何を盛ったんだ...?」
「...お、義兄さん...」
男は、にやにやと、脂っぽい笑みを浮かべ、徐々に距離を詰めてくる。
「聖...ああ、可愛い我が妹...さあ、こちらへ、おいで?」
「...お...お、にいさま...」
ちらと、瑞希さんを見やり、諦めた様に俯く聖さん。
後ろ手に隠していた先刻の刀を自らに差すと、男に歩み寄った。
「...イイコだね...可愛い...妹...」
「...お兄m...きゃぁああああああああああああああああっ!!!!!」
「聖ッ!!?」
男の小汚い手がいやらしく聖さんの腰に触れたその瞬間。
聖さんの絶叫が響いた。
男の手には----お札。
「聖ッ!!!!!」
聖さんの元へと走り出そうとした瑞希さんへと、向けられていた銃から再度発射される弾丸。
着弾点は------右腕。
「「あぁああぁぁっ!!!!」」
先刻から響いている聖さんの声に、瑞希さんの声が重なる。
「...おぃ、お前達。 もういいだろう? でてこい。」
脂笑み男がどこへともなく声を掛けると、
お屋敷の周りからわらわらと男達が出てきて集まり始める。
「...ふむ、伴奏が五月蝿いな。」
パッと、聖さんから男の手が離れ、聖さんの体が崩れ落ちる。
これは....。
『ふふ、思い出しましたか?』
思い出したも何もないだろうに、と思う。
昼間見せられたあの光景が目の前にあった。
少し、違うのは
瑞希さんの左目が未だに平気なこと。
聖さんがいること。
『この後、ですよ。』
瑞希さんは俺の考えを見透かした様に言った。
「...お義兄さん...一体...なにを...」
「おにいさん...だぁ? 気持ち悪いこと言うんじゃないよ...」
脂笑み男は落とした聖さんの体を拾うと再び札を押しつける。
最早意識のない聖さんの体は、細かく痙攣する。
やがて、その腹部から先刻聖さんが手にしていた白い刀身が出てくる。
『永舞君には、説明はいりませんよね?』
瑞希さんが言おうとしていることを何となく理解して頷く。
サクラは主である宿主の体に入り込み、取り憑く。
さっき、聖さんが体に刺したあの刀がサクラなのだろう。
けれど、あの刀は....
「うわぁあああっ!!」
脂笑み男の仲間その1の汚らしい悲鳴で半強制的に意識を戻す。
『もうすぐ、もうすぐ、終演です...』
瑞希さんは、何故か、愉しそうだった。
「...ふむ、やはり...」
意識を戻した映像の中では、
サクラの抜けきった聖さんが体内からあるだけの血液を吹き出している、まさにその瞬間だった。
ミイラの様になった聖さんは元の体の1/3程度の大きさにまで縮み、再び、落とされる。
けれど、脂笑み男のその行動は、まるで、飽きた玩具をふてるかの様に緩慢だった。
俺の意識を戻した悲鳴の理由はそれの様だ。
脂笑み男は何を思ったか、にやにやしながら、瑞希さんとの距離を詰める。
「ひ...じり...」
「やはり、お前が我が可愛い妹を呪っていたのだな...」
「...な、んの...はなし...」
「とぼけても、むだだぞ...」
脂笑み男は、その小汚いぎとぎとした笑みをさらに濃くする。
そもそも、この男、可愛い可愛い言っている妹が、目の前であんな死に方をしたのにも関わらず...。
『あの男の目的は私です。』
シリアスな状況だったのに思わず吹いた。
『...何を想像したんですか...。』
瑞希さんは若干引き気味のあきれ顔。
『自分で言うのもあれなのですが、
元は私、大分身分の低いところから下剋上でのし上がってきたものなのです。
そこで、私が上がってきたせいでその立場から追いやられたお義兄さんは、私を強く恨んだのでしょう。
多分、聖との結婚も、政略結婚と言いましたが、そう言う意味ですよ。
お義兄さんの、考えの1部だったのでしょうね。』
昔も、今と変わらず政治界というものはどろどろしている様だ。
「お前が、聖を、殺したんだぁっ!!!」
脂笑み男が、喚いた。
その周りの取り巻き達はまるで、舞台の終演を待つ観客の様に、
何も言わず、ただただ傍観に徹していた。
「むだ...か...」
向こうの世界にいる瑞希さんが何だか嗤っている様な気がした。
はい、
5 しゅーりょー。
4は、大分短かったんですけど、
5は、長くなりましたね、そのぶん。
つかれた...w
ここまででなんと43ページww
がんばってますよねw
意外と続くものだなーと、思っています。
ちなみに、脂笑み男には、名前付けてないので、
これからも、登場するたびに脂笑み男で、いきますw
かわいそうな男ww
なんか、この辺で行き詰まったので、
また、しばらく、更新しないかもですww
ごめんなさい、
ぇ。
みてないとかいわないn(((((((((((((((((((((((パーンチ2
はい、そんなわけで、
テスト、がんばりましょう☆
ではではー