「お疲れ様~~。もう終わりかと思うと寂しいね。」

「本当に。せっかく仲良くなれたのに。」

 

片手に花束を抱えたまま、ぎゅっと握られた手が名残惜しそうに離れてゆく。

 

「これ。プレゼント。共演した印に。僕のこと忘れないでね?」

 

微笑みながら渡された彼の写真集は、両手で支えきれないぐらい重かった。

・・・ように感じた。

笑みの裏に見え隠れする今にも泣きだしそうな潤んだ瞳が社交辞令でないことを物語っている。

 

パラリ。とページを開くと、思わず涙こぼれそうで慌ててページを閉じる。

 

「うん。宝物にするよ。」

「約束だからな。家に帰って速攻捨ててたりしたら怒るぞ?」

 

びしっとおでこに突き付けられた指先が震えている。

強気な言葉で攻める時ほど、実は不安なんだということを俺は知ってしまっている。

 

「あはは。どうかなー?」

「約束!しろよっ!?」

 

いつもは甘い瞳が俺のことをキッと睨んだかと思うと、全力で体当たりしてくる。

ぎゅぎゅぎゅーっとホワンの腕がしがみついてくる。

まるで駄々をこねる子供みたいだ。

 

体当たりされた衝撃で花束の花びらがはらはらと床に舞う。

写真集が傷まないようにそっとテーブルに置いて、ホワンの背中を抱きしめ返した。