綺麗な空色の折り紙に、お気に入りのボールペンで丁寧にメッセージを描く。

さらさらと紙の上を滑ってゆくペン先が、心地よい。
大好きな人を思い浮べて、走らせるからだろう。

「これで、よしっ!っと・・・。」

折り目を合せるごとに、おろしたての折り紙の懐かしいインクの匂いがぷん。と香り立つ。

「ほらっ。飛んで行けっ!」

窓を開けて、できたての紙ヒコーキを飛ばすと、ふわ。と真っ青な空に溶けていった。


消えていった紙ヒコーキをぼんやりと眺める。

深い緑に包まれた森の上を、気持ちよさそうに滑空する紙ヒコーキ。
エメラルドグリーンの湖を超え、遠く遠く愛しいあの人のところまでとんでゆけ。

今日も世界中のあちこちで新たな命が産声をあげている。

どんなふうに成長し、誰と出会い、どんな人生を歩んでゆくのか。

ぼくが生まれた時も、大ちゃんが生まれた時も、今この瞬間こんなふうに過ごしているなんて思いもしなかったよね。
お互いを見つけて、恋に落ちて、そして今夢を実現するためにこうやってお互い別々の道を歩んでいる。

「・・・ねえ。大ちゃん。不思議だよね。」

貴方の人生の中に、ぼくが存在している。
それが、とっても嬉しい。

瞳を閉じると、地球上全ての命の息吹を感じれるような気がした。





「・・・・あれ?紙ヒコーキ?」

郵便受けを開けると、綺麗な空色の紙ヒコーキが入っていた。

「近所の子供の悪戯かな?」

邪気のないかわいい悪戯に頬がゆるむ。
他のダイレクトメールと一緒に部屋に持ってあがって、テーブルの上に置く。

「・・・・あれ?」

気持ちよさそうに広げた羽根に、見慣れた文字が躍っている。

<誕生日おめでとう。大ちゃん>

「・・・お前、一人で飛んできたのか??」

エアメールの切手も消印もない。
それでも、その筆跡は紛れもないまおのものだった。

「不思議なこともあるもんだな・・・。」

お互いに忙しくて、電話さえもままならない毎日。
誕生日ぐらい、と神様がまおの気持ちを届けてくれたのかもな。


「ありがと・・・。」

同じ空色の折り紙にしたためて、真っ青な空に紙ヒコーキを飛ばした。

白い雲に溶け込んでゆく紙ヒコーキ。

どこまでも、どこまでも飛んで行け。


この空の向こうにまおがいる。



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はっ!と気がつけば、あと3日で大ちゃんの誕生日ではないですか~W
最近お絵かきばかりしていたので、お話は考えてなかったW
さらり。と浮かんだお話ですが、結構お気に入りです。