昨日は、おれのほうが家に帰るのが遅くって・・・・・。
あいかわらずな、ダイチャンをみつけた。



「ただいま~~。」

ドアを開けると、いつもならダイチャンが、おかえり。ってふんわり抱きしめてくれて、ちゅ。ちゅ。ちゅ。と額と、頬と、唇にキスをくれるのが習慣なのに。

玄関には靴が並べられているから、部屋にいるのは確かなのに。
あっれええ??もう、寝ちゃったのかなあ・・・・・??

ダイニングテーブルには、気合の入った夕食がきちんと並べられていた。
大ちゃんお休みだったけど、台本読みで大変だったろうに・・・。
ああ。やっぱり疲れて寝ちゃったのかなあ??

なんて思いながら、ベッドルームへ向かうと。
枕を抱えてゴロゴロ・ゴロゴロ。
ベッドの上を転がっている。

おれと視線が合うと、ぷん。とばかりに背中を向けて、まあるくなる大ちゃん。


「ただいまあ。大ちゃん。・・・・聞こえなかった??」
「聞こえてた・・・・・。」

「なあに??今度は・・・・??遅くなって、すねてるの??一人で、さみしかったの??」

こんなふうに枕を抱えてゴロゴロしている大ちゃんは、おれにかまってほしいか、何かで拗ねている時。
しょうがないなあ。なんて思いながらも、いつも完璧なダイチャンが、滅多に見せないかわいい一面で、結構楽しかったりする。

よしよし。と頭をなでてあげる。

「・・・・・・99%。」
「・・・・え??」

「王様は、99%まお王子のこと、知ってるんだ・・・・・。俺は、残りの1%しか、勝ってないんだ・・・・・。」
「・・・はあっ!?」

「まおにとって、トクベツ。ってそんなちっちゃな違いなんだ・・・。」
「・・・・ぷぷっ。」

やっぱり、かわいい大ちゃん。

「あのねえ。確かにまお王子、としては99%知ってると思うよ??でも、コイビトとしての浜尾さんを、知ってるわけないでしょう??それは、ベツ枠。」
「・・・また、それとこれとは、ベツ??」

「・・・・うん。ベツ。」
「まおってさあ。ベツ。好きだよなあ??」

「だって・・・。お仕事とプライベートの顔。ベツにしとかないと混乱しない??」
「・・・・俺、不器用かも。そんなふうに、みれない。」

ああ。まあ確かに、収録中、恋話になると、ダイチャンの顔が浮かんでしまって口元緩みっぱなしだたのは確かだけれど・・・・・。
あのふりは、お仕事をしてる浜尾京介。としての99%だったのは、たしか。

「あ~~。なんて言ったらいいのかなあ??ダイチャンのこと、ずっと頭にあるけど、お仕事ではぽろりしないように、ベツ。って意識してるっていうっか・・・・。」
「平和を守るため??」

「・・・・うん。そう。」
「・・・・じゃあ、コイビトとしての浜尾京介は、どれぐらい俺、知ってる??」

「うう~~ん??90%??」
「なんだよお。それえ??」

尊大にぶすくれる大ちゃん。

「あははっ。だって、全部知ってるつもりでも、そうだったんだ??って思う瞬間ってあるでしょ??
まだまだマンネリ化には、遠いし・・・・・・。大ちゃんによって、みつけられるおれ、ってのもまだまだあると思うなあ??」
「・・・・・昨日も、あたらしいまお、見つけちゃったし??」

「・・・・それは、言わなくてよろしい。」
「・・・はい・・・・。」

昨日の夜の営みを思い出して、赤面する。
本当に、本当にマンネリ化なんてほど遠いのだ。
自分でもびっくりするぐらい、毎日が新鮮で、強くなったつもりだったけど、たった9日間離れただけで、あんなにもココロが切なくなって、まだまだな自分にびっくりしたんだから・・・・。

「んん~~。じゃあ、お仕事まおは100%知ってるとして。コイビトの90%足して、190%??」
「どうだろ・・・。きっと、大ちゃんに対しては、まだまだベツ。があると思うよ。・・・なんてね??」

「うわあ。俺、まおの全部いつになったらクリアできんの??」
「ふふっ・・・・。一生かかって。」

そう。一生一緒にいて、年齢を重ねるたびに成長したおれを発見するのだから。

「・・・・やっぱり、お前ってコアクマ。」
「そんなことないよおお。」

「ほらほら。機嫌、なおった??」
「・・・・治ったような・・・・はぐらかされたような・・・。フクザツな気分。」

「ふふっ。要するに、ダイチャンは別格で好き。だから比べられないってことだよ。」
「・・・・・そっかあ。」

ぎゅうううって抱きしめて、キスしてあげると、ふにゃあって笑顔になる大ちゃん。
ふふっ。やっぱりたんじゅん・・・・・。

ぶすくれるだいちゃんも、こうやってふにゃあって笑う大ちゃんも大好きだから。
たまには、つまらないやきもちやいてもらおう。


-------------いやあ。
やきもちを楽しめるなんて、我ながら成長したなあ。