ダイチャン・・・・。ダイチャン・・・・・・・。おはよ・・・・・。

ささやくような、ひそひそ声が、どこからともなく、聞こえてくる。

ほっぺに、なこじゃらしでこしょこしょしたときのような、こそばゆい感触。


パチンと目をあけると・・・・・。

10cm大くらいの・・・・ミニサイズなまお。

「・・・・・・・・ん?」

状況を飲み込めずに、しばし固まる・・・・・・・。


「ダイチャン、おはよ。今日、京都でしょ?早く起きなきゃ!!」

この、しゃべる小動物は。俺のスケジュールのことまで知っているらしい・・・・・・。

・・・・ってか、やっぱり、まお!?

「おまっ・・・・・。まおかっ??」

「うん。そうだよ。京都に一緒について行きたいから、ちっちゃくなっちゃった。

さあ!!はやく用意。用意。」


ぎゅううう~~~と、襟のあたりをひっぱているが、もちろんそんなコトではびくともしない。


「きゃわいいっ!!」

うつぶせになり、両手に掬い取るように乗せて、しばしの鑑賞タイム。

頭を人差し指で撫でで・・・・。

ほっぺをつんつんして・・・・・。

背中とお腹を人差し指で、ぐるりと一周。

ほわほわした髪の毛に、ちゅ~をする。


「だいちゃん・・・・。よう・い!!」

鼻の頭をそのちっちゃい手で、押し返され・・・・・・。

「やばっ・・・・・!!!」

新幹線の時間、間に合わなくなるっ・・・・!!


顔を洗って、洋服を着ながら、歯ブラシを咥えて。

ああっ・・・・。今日は、朝メシ抜き・・・だな・・・・・。


荷物をもって、せっかくちっちゃくなったまおを忘れないように、ジャケットの胸ポケットにいれる。

「いってきます!!」

「イッテキマス!!」


駅の売店で、サンドイッチと、缶コーヒーと、ミニサイズのジュースを買う。

「まに、あった・・・・・・。
まお、大丈夫だったか・・・・??」

急いでいたので、結構走ってしまった・・・・・。

ポケットの中では、揺れて、怖い思いをしてのでは、ないだろうか・・・。

「だいじょうぶだよ。しっかりつかまってたから。それに、オレ、絶叫マシーン好きだし・・・・。」

「いや、そういう問題じゃなくて・・・・。お前、今状況わかってる??
もし、落ちたら即死、だからな・・・・。」

ポケットの中から、身を乗り出して高さを確認する、まお。

「ほんとだあ・・・。けっこ、高いね。」

「だから。ちゃんと、もぐっとけよ。」

「はあ~~い。」


----------その日の新幹線タイムは、とても楽しかった。


買ってきたサンドイッチを、小さくちぎってまおに渡すと、その小さなお手手で、小動物がするみたいに、両手でしっかり持って、あむあむ食べている。

ジュースのストローを口元まで持っていくが、力が足りなくて、吸い上げられないらしい。

代わりに少し吸ってから、上方の先端を人差し指で押さえながら、口元まで持っていくと、
これまたストローを両手で支えながら、ぴちゃぴちゃと舐めながら、飲んでいる。

・・・・いやされるなあ・・・・・。

等身大のまおも、もちろんふあんと優しく包み込んでくれる感じで安心するのだが、
このまおは何と言うのか・・・・・。見ているだけで、癒される。

ぼそぼそと、「もっと食べる?・・・・ん?もういらない?」などと、話していると、
通路を通っていくお客さんに、変な目でみられた・・・・・。

これじゃ、俺、不審者じゃん・・・・・・。
しばらく、静かにしていよう・・・・・。

「ダイチャン・・・・・。富士山、だあ・・・・・。」

ポケットの中から、ちょこんと顔をだし、へりに手をかけ窓の外をみていたまおが叫ぶ。
(・・・・・と言っても、実際はささやき声ぐらいだけど)

「ほんとだ・・・。今日は、晴れてるから、くっきりきれいだな・・・・。」


ぽっけの中の、ちっちゃくて、愛しい存在。

黙っていても、そこだけあたたかくて、わずかな重みが、ほわあんと、幸せな気分にさせる。

「いっそ、このままでもいいかもな・・・・。」

「・・・・・それは、こまるよお。これじゃ、抱きしめることもできないし、エッチもできないよ・・・?」

「そうか・・・・。そうだよな・・・・。ってか、いつ、もどるんだ?」

「さあ・・・・??わかんない・・・・・。」

思わず、考え込んで、しまった・・・・・。

「ダイチャン・・・・?ダイチャンってばっ!!」



-----------ピピピ!! ピピピ!!

パチリ。と目を開けると、目の前にまおのアップ。

「・・・・・大ちゃんってば!!もう~~。今日は京都なんでしょ?早く、用意しなきゃ!!」

くしゃくしゃ!!と、頭を撫でられ、ちゅっと唇に、キス。

「朝ごはん、サンドイッチでも、いい~~??」

エプロンの紐を結びながら、キッチンに向かうまお・・・・・。


なんだか、まだ夢の中にいるみたいだ・・・・・・・。

「かわいかったなあ・・・・・。まお・・・・・・。」

できることならば。

現実のまおとお付き合いして、ミニサイズまおをペットにする・・・・なんて、無理、かなあ・・・・。

------あ。それってフタマタ??に、なるのか・・・・・・???


「ほらあ!!大ちゃん、早くしないと、間に合わなくなるよ~~!!」

「・・・・・今、行く!!」

あまりにも、リアルな夢だったせいか、真剣に悩んでしまった俺は、まおの声でそのナヤミゴトを中断し、キッチンに向かった。


----------さあ。新幹線の中で、何をしようかなあ・・・・・。




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ミニサイズまおくん、いかだでしたか??
癒されて、いただけましたか?

書きながら、きゃわいい~~!!って、ジタバタしていました。

あの、③からの・・・・・これ??って感じですが。
甘・唐セットメニューってことで。
これで、完結です。