とある朝。

--------------上半身裸の大ちゃんがベッドで新聞を読んでいる。

均整の取れた、身体・・・・・。
野獣のように、しなやかで、たくましい筋肉のついた背中。
ちらり、と見える、鍛え上げられた胸板・・・・・・・・。

クラリ。

どうして、こんなにかっこいいんだろう・・・・・。

昨日、あんなにこの腕に抱かれたはずなのに、何度もみているはずなのに、
つい、見惚れてしまう。



「どうした?まお。そんなところに突っ立って・・・・・・・。」


「うん。大ちゃんに・・・・・。見とれてた。」

「・・・・・ぷっ。なんだよ。それ。」

クスクス笑っている、大ちゃんの枕元に、二つのカップを置くと、その脇のしたにもぐりこむ。


「ここ・・・・。大好き。安心する。」


くすぐったそうに、大ちゃんが身をよじる。


「んふふ。・・・・・いいにおい・・・・・・・。」


何だか、急にたまらなくなって、大ちゃんの腕に、歯をたてる。


「イテッ・・・・・。さっきから、どうした?まお。」

「さあ。どうしたんだろう・・・・・。大ちゃんが、かっこよすぎて、おかしくなった??」


そんなこと、聞かれても、わからないのだ。自分でも。


「おまえ・・・・。そんな恥ずかしいセリフ、朝からよく言えるな・・・・。」

・・・・・いやいや。大ちゃんのほうこそ・・・・・。といいかけて、やめる。
いつも、これでキリがないのだ。

「しかえしっ!!」

と、大ちゃんが俺のわき腹をくすぐってくる。



「お前・・・。ちょっと、肉ついた?」

わき腹のちょっぴりぷにぷにした肉をつかまれ・・・・・・。

「太ったら・・・・・。フルからな。」

------------------ゲッ。ビール、ひかえなきゃ・・・・。




「何、見てたの?」

「ん?ああ。子宮移植のニュース。結局、流産に終わったらしいけどな。
時代は、すすんだなあって・・・・・。こんなことまで、考える人がいるんだ。
もしかしたら、男でも、妊娠することが可能な時代がくるんじゃないかって・・・・。」

なんか、大ちゃんうれしそう。

「もしかして・・・。俺が産むとか・・・・考えてないよね?」

「いや・・・。だから、たとえば、の話。」

「まおのこどもだったら、かわいいだろうなあって・・・・・。
目とか、クリクリでさ。性格も、、天然で・・・・・。」

「天然は、よけいだよ。
・・・・だったら、大ちゃんのこどもだって、かっこいいと思うよ?」




ありもしない、未来の話。

もしも、願いがかなうなら。

処女の聖母マリアが懐妊したように・・・・・。

そんな奇跡がおきるなら・・・・・。と願わずには、いられない。



「ごめんね。俺、女じゃなくって・・・・・・。」


なんだか、切なくなって、涙が一粒こぼれてしまった・・・・。


「ごめん。ごめん。まお。そんなつもりで言ったわけじゃ、ないから。」

大ちゃんが、ものすごく困ったような、申し訳なさそうな表情をしている。

「最初から、わかってたし。
・・・・・・・・俺が、どんな覚悟で、まおに告白したと思う?
まおが、男でも、女でも、ふとってても、年寄りになっても・・・・・。
どんなまおでも、ずっと・・・・ずっと・・・・。
あいしてるよ。」

たくましい腕で、力強く、抱きしめられる。

「ん。ありがと・・・。大ちゃん・・・・・。そんなに想ってくれて。
俺も・・・・・。あいしてる。」


やさしく、キスを交わす。


どんなに固い絆で結ばれていても・・・・・。
かたちにならない愛だから。


これからも、何度も不安になるかもしれないけれど。


そのたびに、こうやって、抱きしめてね・・・・・・。