トモカには霊感がある。

聞くところによると、子供の頃は普通の人と、死んでる人(所謂『霊』ですな)との区別がつかない程ハッキリ見えていて、親には気味悪がられ、嫌がられていたのだとか…。

 

『生きてる人と霊の区別がつかない』

 

これ、霊視能力の優れた人がよく言う言葉である。

かく言う私の兄は今でも同じ事を言っているのだが…。ガーン

 

トモカの家系には同様の人は皆無なのだそうだが、我が家の家系には神職の方がいる関係でか、そういった勘の鋭い人がちょいちょいいる。ところが、幸いというか何というか、私にはそういった感覚はほぼない。

 

ほぼない。

 

とは何ぞや?だが、気味の悪い経験は案外しているのである。その上でトモカが私に変なあだ名を付けた。

 

「幽霊ホイホイ」

 

何だよそれガーンムキー

 

成人して徐々に力は薄れ、ほぼ見るのは手などのパーツのみで、殆ど霊的体験をしなくなっていたのに、わしと関わってから、力が戻ってきてるような気がするショボーン

 

なんてことをトモカは言うのだが、私にしてみれば「知らんがな」である。

 

或る時、トモカと京都は嵐山へ遊びに行き、落柿舎の近くにおいて、私が腹痛を起こしたのだが、我慢できる程度なので、時たま「あたたたたアセアセ」とか言いながら散策を続けていた。そして行き着いた店が気になり立ち止まると、そこはパワーストーンを扱う店だった。

トモカが行きたいという事で入ると、店内は何とも気持ちの良い空間で、ふと目についた岩塩ランプが異常に気になって見ていると、トモカも同じようにジッと見ていた。幾つか置いてあったのだが、どうにもその一点だけが気になったのである。

「これ、何か凄く気になる…力ありそう~照れ

との事で、勝手に「ランプ姐さん」と命名。(次に行った時は、このランプ姐さん居なくなっていた…売れてしまったのだろうが…)

 

ランプ姐さん、安価ではない為、気にはなってもお連れすることは敵わず、トモカはパワーストーンブレスのパーツになりそうな物を数点見繕って買っていた。

案外良い物を置いているらしく、どれも結構それなりの価格だった為、手の届く程度の価格の物から、気に入った物を選んで買ったようである。

 

その間、私はウロチョロと店の中の石たちを見物し、最終的にまたランプ姐さんの所に戻り、ちょっと指先で軽く触ってみたりして過ごしていたのである。

 

そして、お支払いを終えたトモカと店を出た時、ふと気づいた。

 

「あ、腹痛治ってるびっくり

「ランプ姐さんに助けてもらったんじゃないの?ニコニコ」←実際は大爆笑していた。

 

岩塩ランプ…悪い物を吸ってくれたのだろうか…。

「ランプ姐さん、ありがとうドキドキ

 

こんな感じで、いつも私が霊的なものに巻き込んでるように言うトモカだが、実際はこっちが巻き込まれているんではないだろうかと思っている。

別の日、雨の京都を歩き回っていると、お土産屋さんの近くで、トモカが

「あ、お香の匂いがするドキドキ何処だろう?匂い袋みたいな…和の香り~ドキドキニコニコ

「は?何も匂いしないけど?びっくり

「え?だって…この辺で…ガーン

言いかけて、トモカは気付いた。

「これ…鼻で匂いを感じてるんじゃなくて、右目で匂いを感じてる…タラーショボーン

「何それ??ガーン

 

更に同じ日、結構な雨の中、傘をさして信号待ちをしていると、トモカが急に振り返った。背後には大勢が同じように信号待ちをしていた為、どうしたのかと思えば、

「今、何か言った?キョロキョロ

「いや…何も言ってないけど…タラーびっくり

「耳元で話しかけられたショボーン

「怖いなガーン

 

その後、トモカが自宅において、幽霊の手に高所から突き落とされたのはまた別のお話である。

しかも…恐らく二度も…。

怖過ぎるわガーン