しろくまカフェにハマり倒していたトモカに、ある日深夜アニメで見つけた「黒子のバスケ」の話をした。
途中からではあったものの、何だか面白そうだったので、原作を一冊だけ買ってみた。
…面白いじゃないか…。
と、いう事で、トモカに言ってみると、存在は知っていたけれど、バスケットボール漫画は絶対にハマりそうで怖いのだと言う。
「あらそう…じゃあ見ない方が良いね」
と、言っておいたのに、奴は好奇心に負けて見てしまったのである。
…案の定…ハマる…
私は少しずつ一か月に二冊ずつ原作を買っていたのに、奴は一気に大人買いし、初回版とかいう付録の付いているものがあると、そちらを買うというハマり方をしてしまったのだ!
恐ろしい事に、トモカのハマり方は二次創作有りきである。
当然私には判らない話ばかりになる。
あああ…『しろくまカフェ』ですら話の90%ぐらいが判らなかったというのに…この上『黒バス』までも腐要素満載の判らない話を聞く羽目になってしまう!
と、思ったとしても非難は受けないのではないかと思われる。
何しろ、キャラクターの全部を把握する程読み進めてもいなければ、漫画が面白くて読んでいるから、腐った方向には私は見ていない。大勢いるキャラクターの事も、学校の事も、さっぱり理解できていないのに、脇キャラの話だの、その上腐要素の入った妄想だのを聞かされても、本当に今度こそトモカの話は99%判らなくなってしまったのである。
本人は楽しそうに話してくれるのだが、理解できない為に、応えに窮する。
当然、黒バスの各学校のグッズなどが発売されて、何だかんだと実用的な物を購入し、メールに添付していちいち見せてくれるが、「良かったねぇ」とか「使いやすそうだね」とか、ありきたりな返信しかできない。
そんなトモカだが、京都が好きで、一緒に行ったりする事もある。以前、今宮神社の門前で売られている「あぶり餅」を食べようという事で、当時車が無かった事もあり、トモカが全額出すから!というのでレンタカーを手配、運転はペーパーなトモカには無理なので、私が運転する事になった。その当時は私も久しく運転していない状態だったというのに…。まあペーパーに運転させるよりはマシだし、家からだと車を運転していった方が近いので、そこそこ慣れている道でもあるし致し方ない。
その時は、二軒あるうちのどちらかが、京都で舞台出演していた大野智くん、原知宏くんらジャニーズJrの東京組が舞台を終わらせて帰る直前だったかに、慰安旅行風に京都の街を観光していた時に訪れている店であり、できればそちらに行きたかった。とは言え、トモカも私も既に記憶が曖昧で店の名前を憶えていなかったのである。
取り敢えず車を停めてから「どっちだろう?」と迷っていたら、駐車場の側にある店の方から、
「お客さんが停めはったのはうちの駐車場どす」
と、店先で餅をあぶっていたおばちゃん(いやさ、おばあちゃん)
「あ、はい」と二人して店に行ったら、どうやらそこは正解だったのではないか?という事になった。(実際は今でも判明しておらん)
一口食べて「うわっ」と驚いたほど、美味かった
そういう事もあり、また食べたいなという欲に負け、次は車無しで、嵐電の北野白梅駅から歩いて行くという無謀な行為に出たのである。私とトモカは、トモカがスマホで検索するグーグルマップを頼りに、今宮神社に向けて京都の街を歩いた。
しかし、私は知らなかったのである。一人旅でそうやってマップを頼りに歩き回っていたものだから、まさか方向音痴だったとは…。
スマホ片手に自信満々でナビしてくれるので、疑う事無くついて行った。途中で間違えたとか言いながら地図を見るトモカに、
「まさか方向音痴か」と聞くと、
「うん、そうだよ、方向音痴」とけろりと言うではないか
「うそでしょ?」
…絶望しかない。
それでも二人で懸命に歩いた。
そして、その長い道のり、ず~っと、黒バスの腐要素満載の妄想を聴き続けていたわし。
往復の電車でも、三泊四日ぐらいの日程で我が家に泊っている間も、ずっと…その話の内容は80%ぐらいの黒バス妄想と、15%ぐらいのしろくまカフェ妄想、その他5%で終始した。
因みにその間私が口を開く事はほぼなかったのである。
わしの苦悩は続く。