こんにちは。弁慶です。

 

今年度背負っている仕事の一つが終わりました。

 

平静を装っていましたがプレッシャーはあったみたいです。

 

生徒40人と地区の保健体育教員50人の前で授業をする機会がありました。

 

取り扱う内容は「精神疾患」

 

今年度から新カリキュラムとなり、高校生の保健体育の教科書に精神疾患を学ぶ単元が導入されました。

 

この授業の話が来た瞬間から

 

「自分が授業をすることでリアリティのある生きた授業ができる」

 

「体育の先生でこの分野で授業ができるのは自分しかいない」

 

と思いました。

 

と引き受けたものの、準備の大変さと緊張感、使命感と責任感で複雑な日々を過ごしていました。

 

授業の時間は65分。

 

教科書は丁寧に作り込まれているものでしたが、授業の半分は弁慶の体験談(発症〜治療〜経過)を盛り込みました。

 

本番までに2度授業でリハーサルをし、修正を加えながら本番に臨みました。リハーサルでは自分の体験談で熱が入り時間が足らなくなる事態でしたので、事前に行ってよかったです。

 

本番当日は私がお世話になった先生方も参観しにいらしていたので緊張は隠せませんでした。

 

担当クラスは自分の担任クラスなので慣れ親しんだ環境です。

 

そして私がこの授業で一番伝えたかったことは

 

「精神疾患は条件が整えば誰にでも発症する」

「誤解や偏見を少しでも変える」

 

ことです。

 

授業の前半は精神疾患の実情や症状、

うつという名前から生まれる誤解、

うつ病 ≠ 憂うつ・うつ症状・うつ状態

これらをボールの凹みに喩えながら行いました。

また、骨折を例えに、

うつ病=両足複雑骨折

ゆううつ=擦り傷

うつ症状=打撲

うつ状態=捻挫や靭帯損傷

 

こういった例えは分かりやすかったとご評価頂きました。

 

授業の中盤に私の体験談を話しました。

 

話す前に生徒にこう質問しました。

 

「弁慶先生と半年間過ごしたけどどんな印象?」

 

生徒は

 

「とても明るく元気な人」

「話の引き出しが多くユーモアがある」

「自分の信念を曲げない人」

「生徒の立場がわかる先生」

 

私はこの辺りから気持ち良くなっています。笑

 

「はっきりものを言う人」

「思想が強い」

「背が大きく、筋肉がある」

 

等々が出ました。

 

これらの意見が出た後に、

 

「そのように見える弁慶先生は精神疾患と近い存在?遠い存在?」

 

と問いました。

 

生徒は揃って「遠い存在と」言いました。

 

続けて、

 

「そんな弁慶先生は13年前に精神疾患にかかりました」

 

と話を続けました。

 

生徒はここで初めて私が有病者であることを知りますが、

 

私はすべてオープンにするつもりでしたので何の抵抗もありませんでした。

 

生徒とは信頼関係ができている自信もありましたし、

 

何より私自身がうしろめていてはいけないと思っていました。

 

生徒は私の体験談を本当によく聞いてくれていました。

 

学生時代にベンチプレスを100キロ上げていたのに、

寝たきりで小指一本動かなくなること。

 

希死念慮は死にたいと頭がいっぱいになるが、

本当は死んだ方がラクになれるほど苦しみが続くこと。

 

患者の全てを代弁することは時間上できませんでしたが、

精神疾患のつらさや大変さは伝わったと思います。

 

後半は治療や支援について話しました。

 

抗うつ剤の説明は精神疾患の脳に何が起きているかの説明をしながら、副作用との戦いも話しました。

 

運動療法・食事療法・認知行動療法。

 

生徒には簡単な認知行動確認を自己分析してもらいました。

 

生活習慣病のように、精神疾患も長年に渡り繰り返してきた思考の癖の蓄積があります。

 

高校生ぐらいから自分はこんな考え方の癖があると少しでも気づけると脳の負担も減らせると思います。

 

授業の最後に生徒には感想を書いてもらいました。

 

読んでみると、その多くの感想に

 

「自分は絶対にならない自信があったが、誰もが可能性があることを知れてよかった」

 

「条件さえ整うと発症してしまうことを知り、自分の心身を大切にしようと思った」

 

「弁慶先生が苦しんでいたなんて少しも見えなかった。だれでもかかる可能性があると思った」

 

というような感想を多く書いてくれました。

 

また、参観してくだっさた先生方からもご好評をいただきました。

 

「自身を授業に取り入れた生きた授業でした」

 

嬉しいお言葉でした。

 

また、この精神疾患の単元をどうやって授業していくか悩まれている先生も多く、沢山の質問をいただきました。

 

今回このような形で授業ができたことは弁慶にとっても病気に苦しんできたこれまでが少し報われた瞬間でもありました。

 

精神疾患は分かりづらく誤解や偏見が多い病気。

 

この根強い感覚がこれからの世代に少しでも正しい印象を持ってもらうために貢献していけたらと思います。

 

今年度、まだまだ仕事は残っていますが、一つずつゆっくりとこなしていきたいと思います。

 

最後に今回の65分の授業は全て録画しており、自宅に帰ってから夜、妻が全て見てくれました。

 

全て見終わった妻からの労いと感想が

 

一番嬉しかったです。