最初の方でも書きましたが、貧乏な母子家庭だった私は、なけなしの生活費から毎月家賃を払う母親の背中を見て、子供心にこの世の不条理を感じていた

まだまだ人生を何にも知らない真っ白な子供にとって、単純に「大家さん」という人は、余程偉い人なんだろうな、と思っていた

だって、毎月決まったお金を納めなきゃいけないのだもの

逆に、偉くなかったら、当時の少年の心は混乱する

何処の誰だか、顔も知らない、雲の上の大家さん

 

でも少年はやがて大人になり、実際は偉くも何ともなかった事に気づく

なんのことない、只の「ぼったくりだ」

 

今でこそ、投資の名の元に、我々のようなベンチャーな参入者が増えましたが、

「不動産投資」なんて言葉も無かった当時は、殆ど地主か、代々人による大家族だっただろう

ただ単に、格差社会の象徴のようなシステムだった訳だ、もちろん今でもそのなごりは否めない

これだけ一般の人も不動産投資の名の元、プチ大家になる時代になっても、実際、どのくらいの比率なんだろう

多分、それでも、未だに、やはり代々族の地主が過半数を占めてるんじゃないかな、多分

 

大家なんてもんは、不労所得を得てるだけの「ぼったくり」だ

そのことを、もっと肝に銘じろと、大声で叫びたい

だからこそ、僕は、これまでにない、新しい大家になりたい

確かに僕は代々系のおぼっちゃんではない、このビルはまさに僕の血と汗の結晶ではある

しかし、だからと言って、既に持ってる部屋を貸して毎月家賃をとる、こりゃ「ぼったくり」だ

仮に、二部屋ある部屋に住んでいたとして、例えば困ってる友達を、余ってる一部屋に泊めたとして家賃をとるか?もちろんとらない、どうせ余っているのだから

でも、僕は今、家賃を頂いている

 

既に「ぼったくり」の私が、何をすべきか

僕はこう思う

 

一部屋一部屋、丁寧に、真心を込めて、精一杯の愛情を込めて、

その一部屋一部屋をお借り頂いている人の事情をとことん把握して、

その一部屋が、絶対に成功するよう、とことん面倒を見る

これ以上は無理と思うまで、一部屋一部屋をとことん愛する

 

そうした時に、初めて、お客さんが、「払った家賃、惜しくない」 そう思ってくれる

僕は、そう信じてる

 

出来る事なら、もっともっとお家賃を下げたい、いや、今、僕を信じてお借り頂いている皆様を、出来る事なら無償で守ってあげたい

あまり口だけカッコいいこと言う、口だけ野郎にはなりたくないけど、

一応、本音です しかし、それが出来なくて、本当にごめんなさい!力不足で本当にごめんなさい!

しかし、いつの日か、本当に、これまでの常識ではあり得なかった、そんな超激安大家になってやる

そして、これまでの「賃貸業」の概念をひっくり返してやる

 

僕は、広大な地主に比べたら、まだまだ小物だけれど、

僕を信じてくれたタナゴさん達だけは、絶対に裏切らない。

皆様の、血と汗の、なけなしのお家賃、当たり前と思わず、その重み、毎月心に刻みながら、いつかの、その日の為に、大切に蓄えます

母が、なけなしの生活費から、

「一也、家賃だけは、絶対に払わなきゃね」

そう言って、なによりも優先に毎月払っていた

でも今は問う

ねえ、お母さん、本当にそうなの?

今度、そのアパートを見に行こうと思ってます、今でもあるのかなぁ、風呂もないボロボロのアパートでしたが

 

僕の愛するタナゴ様、人間として、心からお礼を言います 「ありがとう」!!

 

 

 

 

 

 

 

追伸:タナゴ様とは、業界用語で「賃借人様」を指します