​保育園に行った話し



確か中学生の頃

職場体験と言う行事があって


あんなに子供が苦手と言いながら

私は保育園を希望しました


苦手な理由は

いくつかあるのだけれど


虐待児である私は

子供を真っ直ぐな目で見れないし


皆んなが幸せな子供ではない

現実を知っているから


純粋に子供と触れ合えないのです


それでも何故か

保育園を希望した私は

希望が通り保育園に行く事に


1日だけ保育士さんになりました


私が担当したのは

イヤイヤ期絶頂の2歳児クラス


奇声が

常に聞こえてくる教室には


パワーが有り余っていそうな

園児たちがいました


遊び時間に

皆んなで外で遊んでいると


突然

男の子が飛び蹴りをしてきました


私はなんとかその子を捕まえて

膝をつき、目を見て

どうして蹴ったのか質問しました


すると男の子は

お前は怪人で俺はヒーローだから

退治した、と答えたので


悪い事をしたら怪人だけれど

私は悪い事をしていない

悪い事をしていない人に攻撃するのは

ヒーローじゃなく怪人だよ


すかさずそう言いました


しばらく黙ったあと

走って行ってしまった男の子


一部始終を見た

同じクラスを担当した同級生が


子供に怒っちゃダメなんだよ

と、注意してきましたが


面倒な事になりたくない私は


怒ってねーし、教えてんだし

と、心の中で答えて←


スルーして遊び場に戻りました


しばらくして

叱った男の子が戻ってきて


これあげる

と、一輪のお花をくれました


理由は聞きませんでした


きっと

ごめんなさいのお花だから


可愛いね、ありがとう

そう言ってヘアゴムにさしました


ぎゅっと私の手を握り

帰るまでずっと側で遊んでいました


おかげで私の周りには

沢山の子供で溢れていました


体験が終わり帰る頃

ずっと一緒に居た男の子は


ここで先生になったら

俺が教室全部案内してやるよ


なんて恥ずかしそうに言ったあと

ドヤ顔をしていました


仮に私が先生になったとしても

もう卒園しているので


出来ない約束はしませんでした


優しいね

本物のヒーローだね


そう答え、手をふりました


1日を振り返り

ホッコリしながら帰っていると


私に注意してきた子が

別のクラス担当だった子達に


子供怒るなんて有り得なくない?

と、悪口を言っていました


そして

えー、最悪すぎるー、キモい

と、答える周り


ケタケタ笑いながら

しばらく私の悪口は続きました


どうでもいい私は安定のスルー


気付けば

学校まで戻ってきていました


正門をこえたあたりで


でもさ、あの男の子も

怒られてなつくなんて将来ドM確定

マジでキモすぎでしょ


と、笑う声が聞こえてきました


子供の悪口言ってんじゃねーよ

てめぇは保育士になるな


私は持っていた荷物の袋で

その同級生を叩き

制服を引っ張っていました


今思えば

手を出した方の負けなので


いくらムカついても

してはいけない事だったけれど


中学生の私は

その怒りをコントロール出来ず

頭よりも先に

体が反応してしまっていました


校内で喧嘩になったうえに


相手は清楚系の優等生だったので

私が一方的に殴ったと

証言されてしまい謹慎になりました


ざまぁ、と言わんばかりに

嬉しそうな顔で


もう意地悪しないでね

そう言ってきた同級生でしたが


そんな事はどうでも良くて


どうかあんな奴が

子供と関わりませんようにと

願いながら帰りました


ただ、その後

保育園から私宛に連絡がありました


叱った男の子のお母さんからでした


何を言われるのかと

少し憂鬱になりながら電話に出ると


ありがとう

あなたのおかげで凄く救われた


聞こえてきたのは

少し涙ぐんだような声でした


その子は少し問題児だったようで


他の子を怪我させたり

お母さんは謝罪ばかりしていて

退園を考えていたそう


でも、あの日から

嘘のように態度が変わって


問題と言われるような行動は

なくなったのだそう


私は何もしてないと答えましたが


どうしてもお礼が言いたかった

そう言ってくれました


当時は大袈裟な人だと

気にも止めていませんでした


だけれど

自分が母になった今


少しだけ

気持ちが理解できる気がします


子供の責任は全て自分にある

そう思ってしまう親は

案外、多いのかもしれません


私は決して

特別な事はしていない


ただ、人として向き合い

人として大切な事を伝えただけ


子供だからとか

私の方が大人だからとかではなく


同じ人間として

気持ちを伝えただけなのだけれど


それが誰かに伝わったと思えた

その日は嬉しかった


なんだか自分が認められた気がして


だから謹慎になっても

ざまぁと見下されたとしても


私は幸せな気持ちになる事が出来た


息子を育てていて

本当に大変な瞬間が時々ある


保育園に預ける事は

まだ全く考えていないのだけれど


時々、凄く不安になる


私はこのまま

息子を育てる事が出来るのだろうか


いつかしんどくなって

嫌になったりしないのだろうか


漠然とした不安に


今すぐにではないけれど

保育園の事も視野に入れ始めた今


ふと、この話しを思い出した


あの男の子は

今25歳くらいになっている


どんな風に育ち

どんな男性になったのだろう


出来る限り

幸せであって欲しいと願いながら


今日も変わらず

息子と向き合おうと思えた


いつか息子が

今よりもっと大変になった時


また思い出せるように

こうやってblogに書いたから


辛くなったら

このblogを読んでみよう


膝をつき、目を見て話す大切さを

思い出せるようにしよう