今日は、リキュウコートです。 #208
今回も動画の解説を行います。
今回は動画で初めて紹介する、大型自動2輪車でのガラスコーティング施工の模様をお伝え致します。
車種は「スズキ 隼 GSX1300R」で、ホワイトパール塗装です。
現在5年目で約1万3千㎞走行している状態です。
5年間維持している現状を見ると、相当に大事に乗られてお手入れされている事が判ります。
今回は、オーナー様がカウルパーツなどの交換修理に伴い、コーティング施工も希望されていた事により、いつも利用下さるディーラーより依頼を受けた施工の模様です。
※ カウルパネルとタンクを新品に交換した施工前の状態
※ 几帳面に手入れされている5年経過した施工前の状態
大型自動2輪により引き取りが困難な為に、お店の休日に合せて出張施工に出向き作業を行いました。
これまでも、自分のバイクや知人のバイクでの施工を行っていたので、車と同様に効果がある事は承知していましたが、正式な仕事としての依頼は初めての施工です。
基本的には車と同じ作業ですが、センタースタンドが無い為に車両が傾いた状態での作業に手間取りました。
今回は、カウルカバー部の部品交換修理の為に、新品パーツと既存パーツが混在している施工です。
マルチコート剤は、汚れがあればクリーナー成分で分解除去し、不純物が無ければコーティング成分の浸透を図るというメカニズムにより、混在していても使い別けの必要はありません。
カウルパネルを新品パーツに交換していますが、シールドカバー(透明なパーツ)などは組み換えにより既存のパーツを流用しております。
新品パーツでの下地処理では、汚れも無いのでマルチコート剤を浸透させる処理だけで構いませんが、既存パーツは汚れ(不純物)を除去し、微細な傷等にも浸透させて補修する必要があります。
今回のパーツの中で最もマルチコート剤の性能が発揮されるのがカウルトップのシールドカバー部です。
※ 樹脂パーツの潤いが抜けてギラギラと乱反射する微細な傷
車で例えると「雨よけバイザー」と同じ素材だと思います。
几帳面にお手入れしていても、経年による多少の劣化からは免れません。
太陽光が当たると「チリチリ」と細かい傷の様なものが目立ってしまいます。
これは、傷と言うよりも表面の潤い成分が無くなる事により、起きる現象ではないかと推測されます。
この症状を改善するのに、マルチコート剤の樹脂成分が役立つ事は承知しております。
この素材は「ポリカーボーネット」という材質で、傷に弱い?というか傷が入る事が原因で汚れが浸透し黄ばみやクスミなどが発生し、劣化が早まるという特徴があります。
その為に、粗い研磨剤での磨きは避けなければいけません。
粗い研磨粒子により、傷が入る現象と同じ症状になるからです。
※ マルチコート剤とウレタンバフによる傷を入れないで補修する磨き
マルチコート剤は、不純物を分解除去後に樹脂成分の浸透を行う事により、表面に潤いをもたらす事が出来ますので、細かい傷の様なものは見えなくなります。
その意味において、このパーツ(シールド)が最も変化が見込めると、施工前から予測しておりました。
結果として予測していた通り、透明感が増した上に、気になっていた細かい傷の様な「チリチリ」も改善出来ました。
他の既存パーツにおいても、ギヤアクションサンダーによる磨きで、摩擦傷等も改善し変化を感じる事が出来ました。
車の塗装も同じ理屈なので特別な違いはありませんが、一番の違いは形状の違いです。
平面の部分が殆ど無い曲面だらけの形状と、入り組んだ形状に磨きの難しさを感じました。
曲芸の様なポリッシャーの扱いが要求される形状だらけでした。
しかし、全てが曲面の為にバフの接地が点になる為に、必然的に強い摩擦が行えるので、浸透を行う上では楽かも知れません。
但し、機械磨きの経験が浅い方にとっては、強制的な回転運動が無いDIYランダムサンダーの方が、安全に作業が行える思います。
※ 新品パーツに交換したカウルパネルにコート成分の浸透を図る磨き
※ 複雑な形状に合わせてポリッシャーによる下地処理を行う
※ 新品部品に交換したタンクをウレタンバフにより下地処理を行う
※ マフラーも汚れを落としトップコートが密着する為の下地処理を行う
ここからは、手磨きによる下地処理について解説致します。
ハンド処理を行うパーツは、未塗装樹脂部と艶消し塗装を行っている箇所と座席シート部です。
※ 5年間の経年により樹脂の潤いが減退した施工前の樹脂パーツ
本来は未塗装樹脂部も機械磨きが行えますが、今回の樹脂部は軟性樹脂でもあるので、安全の為に手磨きによる処理を行いました。
塗り込みスポンジに塗布して、5年間の汚れを除去するように強く押さえて磨きました。
汚れの除去だけではなく、樹脂成分を浸透させる事も考慮して磨きました。
※ 手磨きにより汚れの除去と樹脂成分の浸透を一度に行う
※ シート部の合成樹脂にも効果を発揮する手磨きの下地処理
※ ミラー部の未塗装樹脂や軟性樹脂にも手磨きで潤いが補給される
未塗装樹脂に関しては全てに共通する点でもありますが、樹脂成分の油分が無くなってしまうと劣化が進行するように思います。
劣化を防止するには、適度な油分も必要ではないかと考えます。
但し、一過性で蒸発してしまう艶出し剤では、効果が持続しないのではないかと思います。
マルチコート剤の手磨きでは艶々の光沢にはなりませんが、汚れを除去して樹脂成分が補給されるので効果の持続も長いのではないかと思います。
この未塗装樹脂に関しては、全ての樹脂パーツや座席シートにも共通する効果だと思います。
樹脂部に対して、汚れを除去して潤いを補給するという効果です。
車体フレーム(骨格)部の艶消し塗装が施されている部分では、機械磨き避けなければなりません。
※ フレーム部の艶消し塗装を機械磨きを避け手磨きで下地処理を行う
艶消し塗装では、あえて艶消し剤などを塗料に配合して塗装している為に、機械磨き等を行えば自然に光沢が出て来てしまうからです。
その為に、手磨きによる汚れの除去と潤い(樹脂成分)の補給を目的に、手磨きを行いました。
それにより自然な半艶状態を保つ事が出来ました。
最後にガラス・ミラーコート剤によるトップコートの撒布施工についてですが、本来トップコートの施工においては直射日光を避けなければいけません。
今回は出張施工で場所も限定されており、日陰の場所が無かった為に、仕方なく日射での施工を行いました。
※ トップコート剤を専用スプレイヤーにより散布を行う施工方法
但し、車と違って小さい為に散布施工に時間が掛ら無かったので、シミ等の発生を抑える事が出来ました。
トップコートの撒布施工では直射日光は避けて、散布後は速やかに流水にて洗い流す事は必衰事項である事を、改めて周知下さるよう、お伝えさせて頂きます。
※ トップコート剤の撒布施工を終えた撥水状態
トップコートを完了した完成状態の感想ですが、マルチコート剤の潤いの補給に加えトップコートの施工により、更に補給が増した様に思います。
マルチコート剤の成分とトップコートの成分が反応し、塗装表面の密度も増して強さも補強されるのでコーティング効果も上がると思います。
※ 5年間の汚れが除去され潤いが補修された樹脂パーツ
※ 下地処理磨きとガラスコーティング施工が完成したシールドの状態
※ コーティング施工を終えたマフラー部の完成状態
また、コート剤の撒布施工という事もあり、2輪車では手が入らない箇所も多い為に、コート剤が流れ込む事により、手塗りでは困難な箇所への保護が出来たのではないかと思います。(下地処理が無い箇所でも定着します)
その意味においては、散布施工は2輪車に向いている施工方法かも知れません。
今回は珍しい大型2輪車での下地処理と、トップコートの撒布施工の模様をお伝えしました。
※ ガラスコーティング施工を終えた完成状態
最後までお付き合い頂き有難うございました。
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