こんにちは、リキュウコートです。 #207
今回も動画の解説を行います。
今回は、いつもの近隣ディーラーよりガラスコーティング再施工の依頼を受けた模様をお伝え致します。
新車時にメーカー純正のガラスコーティングを施工しており、5年後の保証が切れた今回、再びガラスコーティングを行う為の下地処理の依頼です。
メーカー純正のガラスコーティング施工においてはディーラー内で施工出来ますが、5年間の汚れを除去する下地処理においては専門でない為に外注に依頼しています。
今回依頼の車は軽自動車でボディカラーは、ルーフパネル以外ではホワイトパール塗装で、ルーフパネル・ドアミラーなどはブラックソリッドカラーです。
※ ホワイトパール塗装と天井がブラックソリッドのツートンカラー
持ち主の方は内装などを見た推測ですが女性だと思われます。
5年間の経年の具合は、一見するととても綺麗にお手入れされている様に思えます。
内装も同じく几帳面に手入れされており、大事にされている事は一目瞭然で判るくらいです。
これくらい綺麗に維持されているなら、コーティングの再施工など必要ないと思うほど綺麗です。
私などは専門の仕事をしておりますが、この方の様な几帳面に手入れする事は正直出来ていませんし出来ません。
ボンネットパネルでは雨染み等の不具合も一切ありませんし、ホワイトパール塗装部の側面部でも、汚れ(不純物)も無いのではないかと思うほどです。
言葉で言うと簡単ですが、不純物を堆積させないというのはプロの目線で見ても結構難しいものです。
何度も説明しておりますが、几帳面に手入れしていてもお手入れの保護剤やメンテナンス剤が適切でないと不純物は堆積します。
女性の素人の方が、不純物を堆積させなく維持するというのは驚きです。
※ ブラックソリッド塗装のルーフパネルの状態
※ 雨染みや洗車傷が多く目立つブラックカラーのルーフパネル
しかし、ルーフパネルのブラック塗装部では真逆で塗装の光沢が鈍り、雨染み洗車傷も数多く存在するという、同じ方が手入れしている様には思えない状態です。
純粋に何故なんだろ?と思ってしまいます。
ホワイトパール塗装では、プロでも驚く手入れが出来る方なのに、幾ら手入れが難しいとされるブラックカラーでも、差が大きすぎる為に純粋に不思議としか思えません。
今後の参考の為に理由を聞きたいくらいです。
※ ドアミラーのブラックソリッド塗装の雨染みクスミが目立つ状態
今回の施工の目的は、コーティング再施工の為の下地処理ですが、傷やシミまでを除去する磨きではなく、不純物の除去が目的です。
その為にルーフパネルの状態を見てしまうと迷ってしまいます。
お客様の希望は、再びガラスコーティングを施すのが目的で下地処理に大金を使ってまで磨きを行う事は望んでいないので、施工の選択に迷う所です。
希望を叶えるには手間を掛けない磨き・下地処理になります。
※ ドアミラーをウレタンバフによる一発磨きを行う
ホワイトパール塗装部では、マルチコーチコート剤とウレタンバフによる「一発磨き」で不純物は除去出来ると思いますが、問題はブラックカラー塗装の劣化です。
但し、ルーフパネルにおいても、何らかの不純物の存在があると推測出来るので、不純物の除去だけでも、幾らか改善すると見込んでおりました。
※ ドアミラーをウレタンバフによる一発磨きを行った後の状態
通常ならルーフ磨きは最後に行うのですが、手始めにウレタンバフで劣化の状態を探る事にしました。
いつもの様に磨きを始めて手の動きを数回移動させた時点で、通常の汚れ(不純物)ではない事が判りました。
通常は10年間の汚れであっても、マルチコート剤のクリーナー成分により汚れを分解し除去されるのですが、今回はいつもとは違います。
不純物の分解はされるのですが、塗装表面からの除去・掻き取りが上手く行えません。
分解された不純物が塗装面に残留しようとして抵抗しています。
磨きを進める程に絡みが酷くなり、最後には塗装面に焼き付きました。
※ ウレタンバフによる絡みが焼き付いた状態
この現象を見てウレタンバフの一発磨きは諦めました。
ウレタンバフの磨きで焼き付きが発生しましたが、塗装面においては雨染みや傷の多くが除去され光沢も蘇りました。
これにより劣化の原因は不純物の堆積だと結論付きます。
それはウレタンバフの磨きでは、塗装に直に入った傷やシミを除去する能力が無い為です。
ウレタンバフでもルーフパネルの除去は出来ますが、絡みや焼き付きに手間取り時間が掛る為、ウールバフの磨きに切り替える事にしました。
※ ウールバフ磨きでも絡みが多く焼き付く磨き途中の状態
ウール磨き後はウレタンバフの仕上げ磨きを行う必要がある為に、2回磨きになりますがウレタンバフだけの磨きの方が手間と時間が掛ると判断しました。
ウールバフの磨きでも、通常よりは手間取りましたが絡み焼き付きは磨きのみで除去が出来ました。
※ ウールバフ磨きの後半から焼き付きが除去されて来た状態
その上、ウールバフの磨きでは塗装に対する浸透力が強いので、塗装を侵食した雨染みも殆ど除去する事が出来ました。
※ ドアパネルをウレタンバフによる一発磨きを行う
ルーフパネル以外は当初の予定の通り、ウレタンバフにより一発磨きを行ました。
ここでも不思議に思うのは、あれだけルーフパネルでは不純物が堆積し、絡み焼き付きの現象が発生するにも拘らず、ホワイトパール塗装では不純物の存在も感じる事は少なかったのです。
同じ車とは思えない現象です。
※ バイザーや塗装部をウレタンバフによる一発磨きを行う
この現象から推測すると、まるでホワイトパール塗装とブラックソリッドで保護剤の種類を替えて手入れしている様に思えてしまいます。
幾ら塗装のカラーが違うと言っても、同じ保護剤で此処まで不純物の堆積に違いは出ないからです。
もう一つの要因としては、ブラックソリッド塗装の不具合があるという事です。
塗装の不具合とは、焼き付き塗装における硬化不良を指します。
ブラックソリッドと言っても、ホワイトパール塗装と同じクリヤー塗装が施されている為に、極端な大きな差は出ないと考えられるからです。
今回、ルーフパネルの劣化の原因を限定する事は出来ませんでしたが、マルチコート剤のウールバフ磨きにより、不具合がある塗装面にコーティング成分が浸透される為、今後同じような不純物の堆積は減少されるのではないかと思います。
また、今回は不純物の除去で大半の傷やシミが除去されたので、大きな手間を掛けなくウール磨きが行えたので低予算で下地処理が完成しました。
お客様の希望を叶えた上に、ルーフパネルの劣化も改善出来たので、双方にメリットがある施工になりました。
※ 全ての工程が完了したブラックカラーのルーフパネルの状態
※ 全ての工程が完了したブラックカラーのルーフパネルの状態
マルチコート剤の下地処理磨き後に、ミラーコート剤の撒布施工で採取保護を行いました。
このミラーコートの洗浄力により、磨き作業で余分に残った油分も除去され、ギラツキやオーロラの発生も抑えられます。
また、この施工が完了した後にディーラーにて純正ガラスコーティングを施工しますが、改めての洗車や脱脂作業を行わなくても、コーティング剤の塗り込みに入れます。
これは作業する側にとって大きな労力・時間の削減になります。
勿論、品質的においてもミラーコートの施工で強固な被膜になりますので、単なる研磨による磨きでは実現出来ない塗装の保護強化になる下地処理と言えると思います。
※ 最終保護の役割を持つミラーコート剤の撒布施工
今回は仕事としての作業の模様をお伝えしましたが、これは仕事だけではなく劣化の状態から原因を読み解き、無駄な磨き作業にならない様に施工方法を選択するという意味で全ての使用で求められる考え方です。
※ 優れた撥水保護が特徴のミラーコート施工後の撥水状態
※ 一段と際立った光沢に仕上がった下地処理後の完成状態
今回は5年後のガラスコーティング下地処理について詳しく解説しました。
最後までお付き合い頂き有難うございました。
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