こんにちは、リキュウコートです。 #205
今回も動画の解説を行います。
今回の動画は、いつもご利用頂くディーラーより、お客様から磨きの依頼を受けた作業の模様です。
濃い紫色のパール塗装で、まだ2・3年しか経過していない車ですが、それに見合わない塗装の状態です。
特に天面は雨染みが多く、ボンネットにおいては傷も多く目立ちます。
お客様・ディーラーからの希望で、「いつもの様に小奇麗に」して下さいと言う依頼です。
この依頼の意味は、完璧に磨くのでは無く出来るだけ安く綺麗にして欲しいという事です。
磨きというのは、幅が非常に広い分野の作業です。
汚れを除去するだけ、傷を目立たなくして欲しい、傷・シミを完全に消して欲しい等、要望に応じて作業が何倍にも変わって来る作業です。
板金塗装修理で「小奇麗に塗装して欲しい」という依頼はありません。
その意味で、今回の動画は完璧な磨きの作業ではない事を最初に説明しておきます。
※ 古いワックス被膜の為に光沢が鈍った磨き前の状態
ディーラーとの打ち合わせでは、全体をウレタンバフによる「一発磨き」にて、改善出来る所まで磨くという段取りでした。
持ち帰り作業を始め洗車した状態で、改めて現状を確認すると「一発磨き」では難しいというのが正直な感想です。
ウレタンバフで何度もコート剤を塗布しての磨きを行っていては「一発磨き」の意味が無くなるので、ボンネットだけはウールバフを用いて磨く事にしました。
ボンネットは車の「顔」の様なものなので、フロント部が綺麗に見えると全体が絞まって見える為にウールバフで磨く事にしました。
あくまでもサービスで施工料金には反映されません。
その代り、ルーフ(天井)においては、コート剤の一回塗布磨きで完了させます。
プロとして見積り料金の範囲内で希望を叶えるという、裁量・技量が求められる部分です。
時間を無制限に掛けて、完璧な仕上がりを求める磨きは、逆に簡単な仕事と言えます。
作業の解説に入りたいと思います。
経年が浅い割に、車全体の光沢が鈍い印象があり、その原因の推測は日頃手入れを行っている保護剤・塗装との相性に原因があると思われます。
その為に、今回の磨きは堆積している不純物の除去を一番の目的に作業を進めて行きます。
※ 古くなったワックス被膜により光沢が減退したボンネットの状態
※ ワックス被膜に傷が入ったボンネットの状態
最初はボンネットのウールバフの磨きから始めますが、ウールバフの磨きでは水分が多過ぎると磨けないので、簡単に水気を拭き取ってから磨きを行います。
何故、ボンネットではウール磨きが必要かと言うと、不純物の堆積だけではなく目立つ傷が多いからです。
不純物の除去だけであれば、専用ウレタンバフで除去出来ますが、傷を埋める能力に劣る為です。
あくまでもサービス的なウール磨きの為に、傷・やシミを完全に除去する磨きでは無く、コート剤の一回塗布磨きで完了させます。
中途半端に見えると思いますが、重要な選択です。
また、一回の塗布磨きである程度の結果・仕上がりが臨めないと出来ない選択と言えます。
それには、磨く技量よりも磨く液剤の性能が重要です。
マルチコート剤の特徴・利点は磨きムラ・傷を付けないで、堆積した不純物が除去出来ます。
簡単な事の様に思えますが、コンパウンドの磨きで難しい磨きです。
※ コート剤の塗り広げにより汚れに浸透し分解を始める状態
マルチコート剤は瞬時に汚れを分解する為に、果物の皮を剥くように1・2回の磨きで除去されて来ますが、研磨剤の削る磨きの場合は簡単には削り落とせません。
必ず磨きムラが発生して一回の磨きでは不純物の除去も難しいのが実情です。
動画を観て判る様に、ワックス系の不純物が絡む様子が見えると思います。
※ 不純物が分解され絡みとなって塗装面から分離されている状態
不純物が分解され除去される時に強い抵抗を感じますが、その抵抗に打ち負けない強く押さえて、汚れを塗装から掻き取る磨きが必要になります。
経験が浅い方は、その抵抗や絡みを恐れて、押さえた磨きが出来ない方も居ると思いますが、力を抜くと逆に絡みが焼き付いてしまいます。
マルチコート剤は特別な技能は不要と謳っておりますが、この点だけは必要なポイントです。
ウールバフの磨きが完了したら、全体をウレタンバフの「一発磨き」を行う為に、車全体に水を散水します。
先程ウール磨きを行ったボンネットから磨きますが、この場合は仕上げ磨きとなりウールの磨き傷を「目消し」する為の磨きです。
※ ウール磨き後に散水してウレタンスポンジバフで仕上げ磨きを行う
続いて、メッキグリル・ヘッドライトが隣接するフロント部の磨きですが、マルチコート剤はメッキパーツや各樹脂パーツの磨きにも優れた効果が発揮される為に、時間の短縮・作業の簡素化が図れます。
単純な汚れの除去だけではなく、素材にコーティング成分が浸透する為に、保護の役割も果たします。
※ 3種類の材質(メッキ・ライト・塗装)をウレタンバフで磨き補修を行う
続いて、ボディサイドのドアパネルの磨きですが、恐らくはコンパウンドの様なもので磨いた跡が目立っております。
これはよく見かける症状ですが、ワックス被膜は強固に塗装に残留している為に、除去が難しい為に、簡単な手磨きでは除去出来ません。
また、残留している被膜自体が柔らかい為に、傷が入り易いというのも特徴です。
その結果、今回の様に磨き傷だけが入ってしまい除去も出来ないという結果になります。
※ サイドドアパネルを手磨きによって磨き傷が入った状態
一見すると塗装に傷が入っているように見えますが、ワックス被膜(不純物)に入っている傷の為に、ウレタンバフの磨きだけで傷も除去出来るという訳です。
※ ウレタンバフだけの「一発磨き」で改善されたサイドドアパネルの状態
そして最後に、ルーフ部の磨きですが、雨染みが酷い状態です。
※ 無数の雨染みに覆われたルーフパネルの状態
※ 無数の雨染みに覆われ光沢も鈍ったルーフパネルの状態
塗装を侵食している部分もありますが、塗装面上にワックス系の保護被膜が存在している為に、不純物を除去すれば同時に雨染みも除去される要素があります。
ウレタンバフの摩擦では塗装を侵食した分を埋める能力はありませんが、不純物の除去だけでも見かけは大きく改善されると思います。
光沢が鈍っている原因も保護被膜の為だと思いますので、除去と共に光沢も復元して来る思います。
今回の動画では、あくまでも作業の模様をお伝えする為なので、検証などは行えませんがコート剤の一回塗布とウレタンバフによる一回磨きで、何処まで改善するのかが見所だと思います。
完成状態もお見せしておりますが、よく見ると塗装を侵食している雨染みは確認出来ますが、最初の施工前とは全く印象が違っております。
※ ウレタンバフの「一発磨き」によりワックス被膜・不純物が除去された状態
※ ウレタンバフの「一発磨き」によりワックス被膜・不純物が除去された状態
完璧な除去ではありませんが、低料金で見た目が改善出来る施工だと思います。
いつも説明しておりますが、ワックスの全てを否定するものではありませんが、光沢の減退や雨染みの原因になっているのも事実です。
保護の役割を終えても塗装面に残留するのがワックス系の特徴です。
役目を終えた被膜は単なる不純物となり塗装面に留まるというのが私の持論です。
手塗りで行うクイックコート剤は、繰り返しの使用でも古い被膜の様に残留しません。
塗装に有効な成分だけが浸透し保護の役割を果します。
その為に、繰り返しの使用でも今回の様な症状にはなりません。
※ 最終仕上げとしてミラーコート剤の撒布施工を行う
※ ミラーコート剤の特徴である強い撥水力
※ 新車の輝きが復活した仕上がりの状態
※ メッキパーツやヘッドライトの輝きが増した仕上がり状態
今回の動画は、あくまでも低料金で見た目の改善が出来る磨き作業の模様をお伝え致しました。
最後までお付き合い頂き有難うございました。
気になった方はサイトも覗いてみて下さい。