こんにちは、リキュウコートです。 #203
今回も動画の解説を行います。
今回はホワイトソリッドカラーの廃棄パネルを用いて、コンパウンドと磨き比べるという動画です。
今回使用するパネルは塗装に問題があり全く光沢がありません。
かろうじて天面部が若干の光沢が見られますが、側面部に至っては艶消し状態です。
このパネルを使って、塗装を削る目的の「細目」コンパウンドと、塗装を削らないマルチコートで磨きます。
※ 1500番のペーパー傷も楽々消せる細目コンパウンド
いつもの事ですが、動画の撮影の為に試し磨きが出来ないので、これまでの経験に基づき仕上がりを予測するしかありません。
これまでにも、この様な艶消しソリッドカラーは磨いてきましたが、塗装に異常・問題があり光沢を失っているので、簡単に光沢が補修されるかは磨いて見ないと判らないのが実情です。
※ 塗装に問題があり艶消し状態のホワイトソリッドカラー
最初に磨くのは、板金塗装業時代に最も信頼していた「細目」コンパウンドで磨きます。
今回の症状は重いので、回転運動のあるギヤアクションサンダーとウールバフで磨きます。
実際に磨き始めて直ぐに、「これは手強い」と認識させられました。
手強いと実感した理由は、塗装表面の問題ではないという事です。
塗装表面だけの問題であれば、コンパウンドの削る磨きで不具合を削り落とせば解決しますが、塗装自体に問題がある場合は簡単には解決しません。
案の定、磨きの抵抗が大きく強く押さえた磨きが必要でした。
その強い磨きでも思うような光沢が出て来ません。
結果的にコンパウンドの一回塗布磨きでは全然光沢の改善が出来なかった為に、2回の塗布磨きを行いました。
通常であれば、2回の塗布磨きを行えばベースの光沢は出て来ますが、不十分な光沢に戻すのがやっとでした。
※ 細目コンパウンドで2回の塗布磨きを行った状態
動画でも説明しておりますが、滅多に行わないコンパウンド磨きの為に、途中で磨き方を解説しました。
私の動画ではマルチコート剤の機械磨きしか行わないので、一般の方にはマルチコート特有の磨き方に思われているようですが、実際にはコンパウンド磨きと殆ど変りません。
私の磨き方が一番正しいとは思っている訳ではありませんが、長年に渡り実践で身に付いた自己流の磨き方・考え方です。
それぞれに磨き方が違っていても間違いだとは思っておりません。
私が思う正しい磨き方とは、時間が速く綺麗に磨ける事だと思っております。
時間が速くという事は無駄が無い・効率的という事なので塗装にとっても優しい磨きという事になります。
そして綺麗にという点でも、磨いた時点だけ綺麗では意味が無いので、継続して綺麗な状態が維持出来る事を思い磨いています。
「速く・綺麗」を突き詰めて極めて行くと、正しい磨き方に到達するという考え方です。
それにより長年に渡り身に付いた磨き方なので、自己流でありますが正しい磨き方だと思っております。
マルチコート剤は塗装を削らない磨きでメカニズムはコンパウンドとは全く違いますが、症状が重い場合の改善では磨き方は全く同じです。
図解でも説明している様にバフの磨く箇所を使い別けて、強く押さえた磨きで重い・悪い症状を改善させます。
※ ウールバフのエッジを使った強い磨きを行う箇所
※ コンパウンドでエッジを使った強い磨きを行う様子
強く押さえた磨き・強い摩擦を利用しで「削る」か「浸透」させるだけの違いです。
但し、コンパウンドは削る磨きの為にコンパウンドの研磨剤の選定や、磨きの強さなどを調整して使い熟す技能は必要になります。
マルチコート剤では使い熟す技能の部分が殆ど必要ありません。
その意味においても簡単な磨きだと思いますが、コンパウンドの知識・経験がある方の方が邪魔をして難しく感じる方もいるように思います。
逆に経験の無い怖さを知らない方の方が、真似が出来て綺麗に仕上がるのではないかと思います。
今回の動画では、コンパウンドで磨く様子もご覧になれるので、同じ磨き方という事が判ると思います。
※ マルチコート剤とウールバフで強く押さえた磨きで浸透を図る
また、回転運動の無いランダムサンダーでもバフの使う箇所においては基本的に同じ箇所を使用して磨きます。
この点については、ご存じない方が多いように思います。
磨きの検証に戻り、次はマルチコート剤で磨きましたが、先程のコンパウンドの磨きと同様に、思うような何時もの光沢は出ませんでした。
塗装表面に樹脂成分の浸透を行って光沢を出すのですが、思うように浸透が行えませんでした。
まるで、浸透を妨害するかのような抵抗を感じました。
コンパウンドでも光沢が出せない場合でも、2回の塗布磨きを行えば、殆どのケースにおいてマルチコート特有の光沢が出せますが、今回は思う様な光沢は出せませんでした。
※ (左)マルチコート磨き (右)コンパウンド磨きの状態
両磨きの仕上がりを比較しても殆ど差が無く、厳しい目で見るとコンパウンドの磨きの方が良い仕上がりに見える部分もありました。
終盤の解説ですが、今回はもう一つの目的を持って検証を行いました。
それは「脱脂検証」です。
※ シリコンオフの溶解力で油性マジックを除去する様子
これまでにも脱脂検証を行いましたが、マルチコート剤の磨きでは「磨き戻り」が殆ど無いという証明の検証でした。
今回は、塗装に問題がある状態では、どの様な結果が出るのかを見る検証です。
その理由として、塗装に何の問題が無いケースでは、単純な磨く液剤の「磨き戻り」だけの問題ですが、塗装にはそれぞれメーカーによっても個性があります。
塗装の異常とまでは断言できませんが、多少なりとも違いがあります。
その場合によっても、溶解力の強い脱脂が影響を及ばす場合が予測されます。
最近では、一般の方が溶剤型のガラスコーティングの施工を施されるケースが出て来ました。
その場合において、脱脂作業が求められます。
脱脂作業とは余分な余分を除去するものですが、それにより悪く影響が出る事もあります。
それは下地(磨き)作業の仕上がりに出て来る事が予測されます。
一般の磨き剤・仕上げ剤には仕上がりを良くさせる為に、油分等が使われている場合が多いです。
その場合は、脱脂により溶解されたりしますので、綺麗に除去されれば光沢が下がるだけですが、除去がムラを生じさせたり、塗装自体が影響を受ける場合も予測され、下地が台無しになる場合もあります。
この点を知って貰う為の検証を行いました。
今回の素材は塗装に問題があり過ぎて予測を超える反応になりましたが、コンパウンドの磨きにおいては、最初の艶消し状態に近づいてしまう結果となりました。
※ 脱脂による影響で光沢が減退した(右)コンパウンド磨き
※ シリコンオフの脱脂で磨きの光沢が減退した状態
これは、コンパウンドに問題があるのでは無く、塗装自体に問題があり溶解力のあるシリコンオフに反応した為に起こった現象だと思います。
一方のマルチコートの磨きでは、影響は若干受けましたが、比べものにはならない差が出ました。
2回の磨きの為に十分な浸透が行えなかったので、全てを保護する事は出来ませんでした。
しかし、コーティング剤の浸透により、問題のある塗装の反応を抑える事が出来たという証です。
コンパウンドの磨きでは研磨により同程度の光沢が出ましたが、塗装自体を保護したりする役割がありません。
その為にシリコンオフの溶解力が塗装に影響を及ぼした結果で、光沢を再び失いました。
事前に此処までの結果を予測していた訳ではありませんが、多少なりとも差が出ると予測しておりました。
これがコーティング剤で磨く大きな差でありメリットです。
また、コンパウンドの磨きを好む方においては、脱脂作業により多少なりとも仕上がりに影響を及ぼす作業である事を知って貰いたかったのです。
出来るだけ磨き作業後の脱脂は行わないで済む方法が、賢明であると私は考えます。
脱脂作業を回避する磨く液剤の選定も重要になります。
マルチコート剤の磨きでも保護の役割がありますが、ミラーコートによる保護を行えば、マルチ磨きの僅かな余分な油分も脱脂されるので、トップコートの施工前の脱脂作業が避けられる事になります。
※ マルチコート剤による4回塗布磨きで仕上がった状態(コーティング被膜)
今回は磨きの検証としては素材の状態が悪すぎましたが、脱脂作業で仕上がりに影響を及ぼすという検証には役に立ったのではないかと思います。
磨き後の脱脂作業には注意が必要と言う検証でした。
最後までお付き合い頂き有難うございました。
気になった方はサイトも覗いてみて下さい。