こんにちは、リキュウコートです。 #193

今回も動画の解説を行います。

 

今回の動画は、売約済み中古車の納車前のクイック磨きの模様をお伝えします。

 

 

※ №130の動画でご確認下さい。

 

車の状態は新車から9ヵ月、約5千㎞走行した、ブラックマイカカラーの軽自動車です。

 

いつもの近隣ディーラーの依頼を受けたもので、「いつもの様に小奇麗に磨いて欲しい」という依頼でした。

 

一見したところ、目立つような洗車傷も見当たらなく、目立つ雨染みも確認出来ないので、「小奇麗に見える車を小奇麗に磨く?」と少し疑問を持ちましたが、9ヵ月間の汚れや保護剤を除去すれば新車同様になると思い車を持ち帰りました。

 

※ 経年9ヶ月の売約済み中古車の現状

 

引き取りが夕方であった為に作業は翌朝からスタートしました。

 

勿論、洗車から始めましたが、「9ヶ月「走行5千km」「売約済み」という前情報により、傷を付けない事だけを意識し洗車を行いました。

 

多少の水垢や雨染み洗車傷程度であれば、「マルチコート剤」と「専用ウレタンバフ」で除去出来るので、泥砂などの異物を除去する事に専念して洗車を行いました。

 

洗車が終わると磨き作業に入りますが、私の場合はボンネットから磨き始めます。

 

その後はフロント部(ライト・グリル・バンパー)を磨き、続いてフロントフェンダー、フロントドアと側面を磨いて一周した後に最後に天面(ルーフ)を磨くというルーティーンがあります。

 

この車の第一印象は、目立つ傷シミも無くブラックカラーの割に手入れが良いという印象でした。

 

一見すると光沢も良く見えるのですが、その光沢がワックス系の光沢に見えました。

 

ボンネットやルーフを洗車する時に、素手で確認すると僅かですが異物を感じました。

 

鉄粉とは違う異物感を感じましたが、ワックス系の保護剤で共通する感覚です。

 

言葉で表現する事は難しいのですが、ワックス系の光沢は塗装の心底から輝いている光沢ではない事が判ります。

 

異物に関しても、ワックス系の保護剤は、塗装内部に浸透するメカニズムではなく表面に膜を張るように保護します。

 

夏場や直射日光をうけるとボディのパネルが高温になりますが、ワックス被膜も高温により柔らかくなり、異物が吸着し易くなるという特徴がある様に思います。

 

前置きが長くなりましたが、「小奇麗に見える車を小奇麗に磨く」理由がそこにあります。

 

無駄な磨きの様に思えますが、このワックス被膜を除去する事で、塗装本来の色合い・光沢が現われます。

 

手に引っ掛かる異物感も磨きにより除去され「ツルツル感」も蘇ります。

 

洗車後のビチャビチャに濡れたボンネットの写真

※ 洗車後のビチャビチャに濡れた状態

 

ボンネットがビチャビチャに濡れた状態をマルチコート剤で磨いている写真

※ ビチャビチャに濡れた状態で磨けるマルチコート剤の磨き

 

ワックス保護剤や不純物を除去しコーティング成分を浸透させる磨きの写真

※ ワックス保護剤や不純物を除去しコーティング成分を浸透させる磨き

 

マルチコート剤はコンパウンドでは無くコーティング剤ですが、汚れ・不純物を除去する特殊なクリーナー成分が配合されています。

 

その効果により塗装を削る事なく、不純物だけが除去出来ます。

 

その役割を補助するのが、目が粗くコシのある専用ウレタンバフです。

 

液剤が汚れを分解し、目の粗いウレタン素材で汚れを掻き取ります。

 

除去後はコート剤のコーティング成分の浸透により塗装を保護します。

 

このコンビネーションにより、濃色車であっても傷を付けずに一回磨きで全てが完成させられるという事です。

 

濡れた状態でも固さ・コシを失わない専用ウレタンバフのフリント部の磨きの写真

※ 濡れた状態でも固さ・コシを失わない専用ウレタンバフの磨き

 

ワックス被膜は通常の汚れとは違い、簡単に撫でで落せるものではありません。

 

粗い目の素材だけではなく、力を入れて磨けるコシ(固さ)も必要になります。

 

濃色車で使用しても大丈夫なのか?という疑問にも応えられる検証動画になると思います。

 

ボンネットから磨き始めますが、先程のワックス被膜の特性により「絡み・焼き付き」を想定しておりました。

 

案の定、磨きの初期の段階で「絡みが」発生しました。

 

マルチコート剤のクリーナー成分により分解され塗装面から剥ぎ取る段階で発生するものですが、塗装面に残ろうとして起こる現象です。

 

この場合の磨くコツは、バフをベタ付けして磨かない事です(エッジで磨く)。

 

そして、いつもより押さえつける力を強くする事です。

 

その状態を持続して磨き、磨きの移動も通常以上に速く移動させます。

 

移動が止まると絡みを除去した物が、再び塗装面にこびり付きます。

 

いつもより、押さえた力でベタ付けしない磨きで、早く移動させ止まらない事を意識して磨く必要があります。

 

「絡み」が発生したら、エッジ部を使いグッと押さえた磨きで掻き取れば、除去出来る場合もあります。

 

しかし、強制的な回転運動のあるギヤアクションである為に容易に行える事なので、強制的な回転が無いダブルアクションでは掻き取る事は難しい事もあります。

 

絡みの掻き取りに失敗したら、無理をして後追いをしない事が賢明です。

 

無理をして後追いし過ぎると、絡みが焼き付きに変化します。

 

一度焼き付いてしまうと、マイクロクロスでの拭取りで手間取る結果となります。

 

絡みを焼き付きにしない為にも目の粗い腰の強いウレタン素材が役立ちます。

 

コシがある為にエッジ部を利用した磨きが可能な専用ウレタンバフの磨き写真

※ コシがある為にエッジ部を利用した磨きが可能な専用ウレタンバフ

 

今回の様な、しつこい絡みが予想される場合の磨きでは、目の細かい柔らかい素材の仕上げ用スポンジバフでは絡み・焼き付きが発生し易くなり、除去作業には適さない素材であると思います。

 

という訳で、傷シミが少なく劣化も殆ど無い状態の磨きであっても、ワックス系の保護剤を一掃する事で、見栄え・仕上がりが変わって来る事が、今回の動画を観れば判ると思います。

 

手に引っ掛かる異物も除去されスベスベ感が蘇って来ました。

 

もう一点お伝えしたいのがマルチコート剤の、「一発磨き」後のミラーコート施工についてです。

 

私の説明不足によるものかも知れませんが、ミラーコート剤の役割や重要性が伝わっていない様に思われます。

 

特に今回の様な濃色車での磨きで効果が現れますが、ミラーコートで最終施工は磨き作業の一部であるという事です。

 

勿論、マルチコート剤の磨きは見ての通り磨き作業ですが、完璧な仕上がりという訳ではありません。

 

イージーな磨き作業でも綺麗に仕上がりますが、厳密に言うとコート剤の余分な成分も残留しています。

 

気にならない方にとっては何も問題はありませんが、余分な油分が残っていると、多少ではありますがギラツキやオーロラの要因になる事があります。

 

ミラーコート剤には余分な油分を除去する役割もあり、スッキリとした輝きに仕上がります。

 

また、マルチコート剤とミラーコート剤が反応する事により表面が絞まり、滑りも良くなり拭き取りの傷も入りにくくなります。

 

また、光沢においても仕上げ磨き一回分に相当する向上が望めます。

 

車一周を磨くと最低でも30分以上は掛りますし、体力も奪います。

 

私にとっては磨きを行う上で必衰作業であり、仕上がりに自信が持てる、無くてはならない存在です。

 

手を触れない散布施工で磨き一回分に相当する仕上がりが望めるミラーコートの施工写真

※ 手を触れない散布施工で磨き一回分に相当する仕上がりが望めるミラーコート

 

近隣のディーラー様から磨きで頼って貰えるのも、ミラーコート剤の存在が大きいと言っても過言ではない位です。

 

仕上がり具合は動画で確認して貰えれば判ると思いますが、ワックス系の光沢とは違うと思います。

 

濃色車でありながら透明感のある発色と輝きが判ると思います。

 

まるで塗装を削り平滑化したような鏡面光沢です。

 

下地処理を終えたマルチコート剤の撥水j状態の写真

※ 下地処理を終えたマルチコート剤の撥水j状態

 

ミラーコート施工後のメッキ・レンズ・塗装が強力撥水に変化した状態の写真

※ ミラーコート施工後のメッキ・レンズ・塗装が強力撥水に変化した状態

 

勿論、スポンジ素材では塗装は削る事は出来ませんが、塗装表面の密度が増した事により鏡面の様に見えるのだと思います。

 

その仕上がりにも2種類のコート剤の反応が大きく役割を果たしております。

 

今回は、ワックス系の保護被膜の除去による磨きのコツや仕上がりの変化と、ミラーコート剤の磨きでの役割をお伝えしました。

 

マルチコートの下地とミラーコートの最終仕上げで完成した状態の写真

※ マルチコートの下地とミラーコートの最終仕上げで完成した状態

 

マルチコートの下地とミラーコートの最終仕上げで完成した状態の写真

※ マルチコートの下地とミラーコートの最終仕上げで完成した状態

 

(次回編集予定) バックドアパネル

動画の途中のバックドアの磨きでアクシデントがありましたが、次回に詳しく解説したいと思います。

 

バックドア全体に深傷が入った状態の写真

※ バックドア全体に深傷が入った状態

 

500番のペーパー傷に匹敵する擦り傷が入った状態の写真

※ 1500番のペーパー傷に匹敵する擦り傷が入った状態

 

最後までお付き合い頂き有難うございました。

気になった方はサイトも覗いてみて下さい。