こんにちは、リキュウコートです。 #191

今回も動画の解説を行います。

 

今回の動画は、コンパウンドとボディコート(クイックコート剤)の能力検証の動画です。

 

※ №128の動画でご確認下さい。

 

検証で使用するパネルは軽自動車のバックドアを用いて、天面部にて手磨きを行い検証します。

 

最近の軽自動車のバックドアパネルは樹脂製が多いのですが、この車は従来の鉄板製のドアです。

 

状態は、天面という事もあり雨染みがあり、不純物の堆積なのか塗装の不具合なのか判りませんが全体的にボヤける印象です。

 

今回の検証で使用する軽自動車のバックドアパネルの写真

※ 今回の検証で使用する軽自動車のバックドアパネル

 

バックドアの天面部の水垢・クスミがある状態の写真

※ バックドアの天面部の水垢・クスミがある状態

 

このパネルを使い、定期メンテナンス(手掛け)で効果を発揮するクイックコート剤と、私が板金塗装を行っていた時に最も信頼していたコンパウンドを用いて比較します。

 

このコンパウンドは「細目」と言う分類の商品で、名前・分類は「細目」と聞くと何だか肌理が細かそうなイメージを受けますが、車磨きのコンパウンドでは最も荒い研磨剤に分類されるものです。

 

板金修理で塗装した表面を最初にペーパー傷の除去や塗装を研磨して塗り肌を調整する役目のコンパウンドです。

 

塗装後のゴミ・ブツ跡を除去する為の#1500番のペーパー研磨紙の傷を楽々と消す(削る)能力があるコンパウンドです。

 

この様な粗い研磨剤でありながら仕上がり性能に優れており、磨き後の後工程が楽に行えるという理由で愛用していた信頼のおけるコンパウンドです。


このコンパウンドはプロが使う用途であり本来はポリッシャー磨きで使用し効果を発揮するものですが、今回は顕著に結果が出る「手磨き」で使用し、コンパウンドの特徴を解説したいと思い動画を作成しました。

 

そういった意味ではコンパウンドにとっては不利な検証になりますが、コンパウンドの特性がよく判るのでご了承ください。

 

板金塗装作業で愛用していた細目コンパウンドの写真

※ 板金塗装作業で愛用していた細目コンパウンド

 

特に「細目」と言うコンパウンドは塗装を削る事を目的とした研磨剤なので、手磨きでも汚れの除去や擦り傷などの改善にも効果を発揮します。

 

その反面、仕上がり性能では粗い研磨粒子によりピカピカに仕上げる事には不向きなコンパウンドです。

 

しかし、先程も言いましたがこのコンパウンドは研磨を続ける程に仕上がりも綺麗になるので重宝していた優れた性能が有りますので、一方的な不利になる検証ではありません。

 

一方のクイックコート剤においても、決して有利な検証ではありません。

 

「手掛け」で性能を発揮するボディコートのクイックコート剤の写真

※ 「手掛け」で性能を発揮するボディコートのクイックコート剤

 

♯1500番のペーパー傷を楽々と除去する能力の研磨力に対抗するのは容易な事ではありません。

 

お互いの液剤の違いを見ても一目瞭然ですが、コンパウンドはペースト状のいかにも研磨力がありますという見た目に対し、クイックコート剤はサラサラとした液剤で見た目においても対照的です。

 

この対照的な磨き剤を同じ条件で磨くという意味で、弾力・コシがあるスポンジの台座を使用し、その上にマイクロハイパークロスで覆い強い磨きを行います。

 

この発想はポリッシャー磨きの「ウール磨き」を再現しています。

 

確かに素材は違いますが原理は同じ理屈です。

 

即席でマイクロクロスで作成した手磨き用バフの写真

※ 即席でマイクロクロスで作成した手磨き用バフ

 

強い磨きを行う場合は、スポンジではなく抵抗のある素材で磨くというのは、手磨きでも共通する原理です。

 

また、磨く時間も同じ位の時間で行いました。

 

最初はコンパウンドから磨きますが、コンパウンドをパッドに塗布する場所ですが、動画を観れば判る様にパッドの中央に塗布するのではなく、先端に近い場所に塗布を行いました。

 

その理由もポリッシャー磨きと同様な理屈からで、強い磨きを行う場合は中央部でベタ付けで磨くのではなく、一部分を使う磨きで効果が発揮されます。

 

その意味で中央ではなく先端に塗布を行い、パッド全体で磨かないで半面を使い磨くという点でも、ポリッシャー磨き・手磨きも同じ理屈です。

 

私の考えが一番正しいという意味で言っている訳ではありませんが、何十年間も「磨き」と言う作業に携わって身に付いた技能であり理論です。

 

手磨きでも本当に強い磨きを行いたいと思った場合は、自分でも意識しないで自然にエッジを立てて磨いている事が動画でも観る事が出来ます。

 

これはコンパウンドでもボディコートを用いた磨きでも共通している点です。

 

磨きではポリッシャーのバフや手磨きのパッドでも、磨く時の角度(磨く箇所)の使い分けが重要だという事が、多くの一般の方が理解されていない様に思えます。

 

強く磨く場合・均す磨きの場合で使う箇所が違う、その箇所を使う為に角度の調整が必要であるという事です。

 

この点が磨きで一番重要な点ではないかと私は考えます。

 

話しが少し外れましたが、「細目」のコンパウンドを使用する場合は、「極細」「超微粒子」もしくは「仕上げ剤」という最低でも3工程が必要です。

 

その為に、今回の「細目」だけの仕上がりでは不十分であり不公平の様に思えますが、クイックコート剤においても同じマイクロクロスにより「一発磨き」で仕上げ、1500番のペーパー傷を楽々と除去が出来る研磨剤に対抗するのは容易ではありません。

 

ペースト状のザラザラとした細目コンパウンドを塗布した写真

※ ペースト状のザラザラとした細目コンパウンド

 

双方の磨き跡を比べて観ますと、気になったのがコンパウンドによる磨き周辺の境が極端に見えた点です。

 

当然と言えば当たり前なのですが、コンパウンドは強く磨いた箇所は研磨されますが、不十分な磨きの周辺は殆ど磨けないというのが特徴だと思います。

 

この点が、コンパウンドによる磨きムラが発生し易い要因だと思います。

 

コンパウンドとは対照的なサラサラとした液状のクイックコート剤を塗布した写真

※ コンパウンドとは対照的なサラサラとした液状のクイックコート剤

 

クイックコート剤では、コンパウンドの様に抵抗がある重い磨きでは無かったので、滑る磨きにより極端な差が無かった為かも知れませんが、周辺部と違和感のない仕上がりに見えました。

 

但し、周辺部は強く磨けていなかったのに、強く磨いた箇所との差が殆ど無かったと言うのが不思議です。

 

その特性により、特別なテクニックも要しないイージーな磨きでも「磨きムラ」が発生しない要因だと思います。

 

磨き直後の比較の後は、コート剤が定着する時間(1時間程度)を待って、強い溶解力を持つシリコンオフと言う脱脂剤で塗装表面を除去し比較検証します。

 

よく起きる現象ですが、磨いた時は綺麗に仕上がっていても時間・日にちが経過すると、消えていた傷が戻るという現象や、光沢感が落ちているという事があります。

 

これは、色々な磨き剤に配合されている仕上がりを良く見せる為の油分が、蒸発する事により起こる現象です。

 

この現象を再現する為や商品の本当の実力を判断する為に用いる検証方法です。

 

動画でもお見せしている様に、紙に油性マジックで書いた乾いた文字を一瞬で溶解し除去する程の溶解力があるものです。

 

溶解力に優れた塗装用のシリコンオフ溶剤の写真

※ 溶解力に優れた塗装用のシリコンオフ溶剤

 

これを使い双方の仕上った塗装表面を脱脂して拭き取りました。

 

その結果、クイックコート剤の仕上がり感は殆ど変化しませんでしたが、コンパウンドの表面は脱脂前よりも仕上がり感が落ちていました。

 

また、シリコンオフの溶解力の強さにより周辺の水垢も除去というよりも、溶かされた様な感じで薄くなっていました。

 

全体的に白っぽく濁る様な表面になっていました。

 

もしかすると溶け落ちた成分が完全に除去され切っていないのかも知れません。

 

しかし、クイックコート剤も同時・同様に脱脂を行いましたが、磨き周辺の溶ける様な現象は起こりませんでした。

 

その要因としては、クイックコート剤の保護性能によるものではないかと思います。

 

(右端)脱脂によって仕上がりが減退したコンパウンド磨きの状態の写真

※ (右端)脱脂によって仕上がりが減退したコンパウンド磨きの状態

 

(左端)脱脂でも殆ど変化が無かったクイックコー剤の施工面の写真

※ (左端)脱脂でも殆ど変化が無かったクイックコー剤の施工面

 

塗装を保護するという成分が溶解力のある脱脂剤をも寄せ付けなかった表れだと思います。

 

この検証はコンパウンドを酷評する検証ではなく、双方の役割や目的・特性を知る為の検証です。

 

コンパウンドの本来の役割は、塗装を削り平らに研磨する事であり、塗装を保護する役割・性能は元々ありません。

 

その事により、時間が経過すると一過性の仕上げ成分が蒸発し、本当の磨きの仕上がりが現れて来ます。

 

コンパウンドを使いこなすには、時間が経過した時の本当の仕上がり具合を知る事が最も重要な点です。

 

この現象を考慮して、組み合わせを考えたコンパウンドを選択し、磨きを行う必要があります。

 

コンパウンド磨きの難しさや奥の深さが今回の検証で見られたと思います。

 

そういった意味において、一般の素人の方が使いこなすには難しいと言えます。

 

多くの方が失敗を繰り返し、磨きは難しいと迷い諦めている方が居ると思います。

 

その一部の方が私の商品を求めて来られます。

 

私自体が磨きを簡単に行える様にしたいと思い現在の商品にたどり着いたので、共感して頂けて有り難く嬉しく思います。

 

リキュウコートの下地処理剤のクイック・マルチコート剤共に、保護効果を生かした磨きにより、磨きムラの発生を抑止し時間の経過による仕上がりの減退が無い様に商品を完成させました。

 

この事により、特別な知識・経験が無くても綺麗に磨ける事を実現しました。

 

決して完璧な磨き・仕上がりではないかも知れませんが、これまで不可能であった仕上がりを多くの一般の方が再現出来るようになったのではないかと思います。

 

コンパウンドにも、真似が出来ない役割や目的があるので、性能や能力を知り使いこなす事で良い磨きが行えると思い今回の検証を行いました。

 

最後に脱脂による撥水検証を行いましたが、クイックコート剤本来の撥水性能よりは落ちましたが、撥水効果はしっかりと残っていました。

 

(右端)脱脂により撥水が無くなったコンパウンド磨きの状態の写真

※ (右端)脱脂により撥水が無くなったコンパウンド磨きの状態

 

(左端)クイックコート剤の磨き面は撥水が残っている状態の写真

※ (左端)クイックコート剤の磨き面は撥水が残っている状態

 

3ヶ月毎に行う定期メンテナンスを行えば、撥水効果も切らさずにボディを保護出来ると思います。

 

今回はコンパウンドとボディコート剤の磨き性能について、手磨きにより比較検証を行いました。

 

最後までお付き合い頂き有難うございました。

気になった方はサイトも覗いてみて下さい。