こんにちは、リキュウコートです。 #183
今回も動画の解説を行います。
今回の動画は、ホワイトソリッド(単色)カラーのフェンダーパネルを使った磨きの動画について解説します。
劣化が激しく殆ど光沢を失った塗装を、何処でも購入出来て誰でも扱えるワックスポリッシャーと、DIY用ランダムサンダーを用いて専用ウレタンバフとウールバフによる3種類の磨きを検証するという動画です。
勿論、磨く液剤にはコンパウインドは使用しないで、いつもの塗装を削らない「マルチコート剤」にて磨きます。
いわゆるポリッシャーの動力(パワー)の違いと、磨くバフ(材質)の違いにて仕上がり品質を比べ、劣化した塗装を補修するメカニズムを解説します。
この様に、塗装の磨きについて皆様の理解が深まる様に、目的・企画を持って動画の撮影を行っていますが、今回は自分の思い描く撮影が出来ませんでした。
これまでの長い磨きの経験から、実際に磨く前から色々な予測が出来る事により、磨き後の完成状態がイメージ出来る事により、検証の内容が思い浮かぶので、企画に沿って進行して行くのですが、このホワイトカラーの動画の撮影は、とにかく撮影が難しいのです。
※ 塗装自体が劣化して光沢が減退したホワイト・ソリッドカラー
企画の結果は大体予測通りに出るのですが、肝心な伝える映像が全く期待に応えてくれません。
一般の方の興味は濃色車の磨きであり、ブラックカラーという事も承知しておりますが、私からするとブラックカラーの磨きは気を使いますが、決して苦手意識や難しく思う事はありません。
特に動画の撮影では、濃色カラーの磨きでは違い・変化を意外と簡単に伝える事が出来ます。
確かに磨き残しなどがあれば一発で見えてしまいますが、作業を正確に行えば見栄えの良い結果になります。
しかし今回の様な劣化したホワイトカラーでは、結果は出ますが画像や映像を通して伝える事が難しいのが実情です。
撮影時間もブラックカラーの倍以上に掛ります。
倍以上かけても今回の様に納得できる撮影が出来ないので、視聴者の方に申し訳なく思い動画をボツにするか迷いましたが、大事な検証ですので文字での解説で補いたいと思います。
また、撮影だけが難しいのではなく、劣化したホワイトカラーの塗装を補修するには、ブラックカラーの磨きよりも本来は難しいのです。
この事は一般の方には分からない事だと思います。
濃色カラーほど光沢や変化を簡単に出す事が出来ます。
これらの事も伝えたいので、見苦しい映像ですがボツにはしませんでした。
以前の動画でもワックスポリシャーの磨きでブラックカラーの塗装を磨き、傷は消す事は出来ませんでしたが艶良く仕上がりました。
※ ワックスポリッシャーとマイクロクロスバフによる磨き
マルチコート剤の光沢補修で簡単に艶良く仕上がっただけの事です。
しかし、今回は全く歯が立ちませんでした。
その違いは何かと言うと、クリヤー塗装の有無の違いだけです。
現在はソリッドのホワイトカラーの塗装でもクリヤー塗装を施しているものも多くなって来ましたが、つい最近までのホワイトカラーではクリヤー塗装を施していないものが殆どでした。
20年以上前では、ホワイト以外の青・赤などのソリッドカラーでも原色(ベース)カラーで仕上げていたくらいです。
元々はホワイトも含めて原色カラーは耐候性に弱い特性により、劣化し易い塗料なのです。
その為に、一昔前までは脱色された様な塗装を多く見かける事がありました。
品質面の向上や塗装技術の向上により、コストも抑えられて来た事により、一部のホワイトカラーを除き、殆どの塗装がクリヤー塗装を施しているのが現状です。
クリヤー仕上げの塗装でも光沢が減退する症状もありますが、ホワイト単体の塗装に比べると対処が容易に行えます。
特にマルチコート剤の磨きではクリヤー塗装があれば、簡単に光沢補修が可能です。
一番の違いは、ホワイトの劣化した塗装は、表面だけ劣化しているのではなく、塗装自体が劣化している為に、表面を磨くだけでは改善が難しいのです。
これは、コンパウンドの磨きでも同様です。
今回の様な症状では、表面が荒れておりマルチコート剤の簡単な浸透では、塗装自体に吸い込みも多く、軽い摩擦の浸透では追いつきません。
前々回の「傷消し検証」の動画と同様の事が言えます。
2000番相当のペーパー傷を負った塗装表面は、コート成分がペーパー傷に吸い込まれる為に、スポンジバフの摩擦では埋める事が困難でした。
今回の検証でも同様の結果になっています。
今回はペーパー傷ではありませんが、同様の症状と言えます。
結果として、動力の弱いワックスポリッシャーでは、マイクロクロスのバフであっても摩擦が弱いので、汚れは除去出来ますが光沢を出すまでの浸透は行えません。
次に行った専用ウレタンバフは、ランダムサンダー自体はパワーがありますが磨く素材がスポンジ素材の為に、光沢を出すまでの浸透は難しいというのが実情です。
今回使用した専用ウレタンバフは、今後一般販売する商品です。
※ 新しい形状に変更した「専用ウレタンバフ」の側面
※ 新しい形状に変更した「専用ウレタンバフ」の正面
これまでの形状とは違いバフ先端部が、カットされていないエッジタイプに変更した物です。
材質は全く変更なく同じで、目が粗く水捌けも良く弾力のあるコシのある材質です。
スポンジの中では一番磨きが行える素材だと自負していますが、今回の症状には不十分でした。
※ 新しく販売する「専用ウレタンバフ」を使用したランダムサンダー磨き
せっかくのデビューにも関わらず、良い結果が出す事が出来ずに残念です。
しかし、ワックスポリッシャーよりは確実に改善が出来ておりました。
最終的に一番対処できたのは、やはり「ウールバフ」でした。
ペーパー傷の除去と同様に塗装の光沢が上がってくる様子が、動画でも見る事が出来る程の効果が有ります。
※ マルチコート剤の光沢補修を最大に発揮するウールバフ磨き
この光沢は、塗装表面を平滑にして出て来る塗装の光沢では無く、劣化した塗装表面をコーティング成分(樹脂成分)に覆われて見える現象です。
このメカニズムで、傷やシミを埋める事や劣化した塗装を修復して光沢を復元しています。
その変化・違いが一番よく出るのが、今回の劣化したホワイトカラーだという事です。
通常のクリヤー塗装では、今回の様な動力・材質の違いによる極端な差は出ません。
本来は、この様な奥が深い検証を行いたかったのですが、表現が難しく残念です。
結果として、ペーパー傷を埋める事も同様ですが、強い浸透を行う必要がある場合はウールバフを選択しなければいけないという事を理解頂ければ幸いです。
今回の症状をコンパウンドを用いウールバフで磨いても、思うような改善は難しいという事も併せてお伝えしておきます。
先程説明したように塗料自体が劣化しているので、表面を削って磨いても、劣化した塗料自体は改善しないので、マルチコート剤で磨いた様な光沢は出ないと思います。
本当に塗装や磨きを理解したプロの間では、ブラックカラーの磨きよりも、今回の様な劣化したホワイトカラーの磨きで、磨く液剤の能力を判断したりするものです。
最後にマメ知識としてお伝えしたいのが、トヨタ車の「202ブラック」というカラーを識別する番号(202)のブラックカラーは、一般の方でも磨きが難しいと有名ですが、その理由が今回の検証に少し関わりがあります。
※ 次回の動画で紹介するトヨタブラックパール「209」
最近の「202ブラック」は改善して来ましたが、以前の塗装では仕上げのクリヤー塗料に少量ですがブラックの原色が配合されていた為です。
他社メーカーのブラックソリッドでは純粋なクリヤー塗装仕上げを行っています。
今回解説した、原色の塗料は耐候性に弱く劣化し易く、その為に傷も入りやすい為です。
メーカーとしては透明なクリヤー塗料にブラックの塗料を混ぜて、黒味を際立たせる狙いで行っていましたが、この様な症状で悪評に近い感じで「202ブラック」というのが、一般の方にも知られるほど有名になったという事です。
今回の症状とは違いますが、劣化した原色の塗装の磨きはコンパウンドの磨きでは難しく、磨きの知識やテクニックも必要という訳です。
ちなみに私は以前からマルチコート剤(完成前から)で磨いていたので、「202ブラック」の磨きが難しいと思った事は一度もありません。
逆に腕(性能)の見せ処と、デモで「202ブラック」の車が出て来る事を望んでいたくらいです。
余談が長くなりましたが、今回の検証は耐候性の弱い原色(ホワイト)塗装を磨く検証には奥が深い意味があったのですが、お伝えし切れなく申し訳なく思います。
せめてブログ解説を読んで貰える方には、検証の意味を理解して貰いたく解説しました。
最後までお付き合い頂き有難うございました。
気になった方はサイトも覗いてみて下さい。