金融検査マニュアルの中小企業への適用には無理がありました。
そこで「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」が
用意されています。
具体的な事例が掲載されており、自社と比較すれば
大体の位置付けが分ってきます。
銀行取引をするのなら必読の書です。
参考までに以下はその事例からです。
(附帯事情がありますので具体的には「金融検査マニュアル」そ
のもので確認ください。)
●具体的にどうなるのか
(1)開業資金2000万円の融資残高のあるパン屋さん。延滞する。
サラリーマンの長男が保証人にはならないが
支援約束をするとのことで、
本来破綻懸念先だけれども要注意先でかまわない。
長男の支援意思や収入状況の資料を取るべきだが
交渉経緯を文書等に残すことだけでもいい。
(2)借入金800万円の家族経営のトラック運送業。
健康を害して売上大幅減。健康状態が回復、
長男も後継者として仕事を手伝い、返済は遅れながら続いている。
回復が不可なら破綻懸念先だが、現況で今後うまくいくことが
具体的な経営改善計画書等の資料で分れば要注意先でいい。
(3)家賃値下がりでビル建築資金を返済できなくなり、
約定弁済額を大幅減額した個人。
減額後の弁済はキッチリしており決算は赤字でないので
金融機関は正常先とした。
しかし、債務者の返済能力の低下なのだから要注意先以下に
すべしと金融庁はいう。
(4)賃貸アパート購入資金。空室率アップで返済額を
大幅軽減し返済期間延長。
延長後の期限はアパートの耐用年数以内。
金融機関は耐用年数以内での延長なのだから
要管理債権に該当しないとしたが、
金融庁は耐用年数だけで見るのでなく
その他の条件も見なくてはいけない。
●その他参考になる事項
○代表者から会社への返済不要の貸付金は自己資本と
みなしていい。
○代表者へ支払う役員報酬や家賃が高すぎることでの
赤字は気にしなくていい。
○本来なら破綻懸念先だけれども代表者の個人資産が
たくさんあるから要注意先でいい。
○信用保証協会の保証があれば、条件変更しても金利が余程低くな
い限りは、
要管理債権に該当しないものとして差し支えない。
マニュアルを参考とし、そして経営計画や再建計画を
作成しアピールしランクアップを目指しましょう。
現実はマニュアルよりずっと厳しいはず。
しかし中小企業には自助努力しかありません。
油断すれば切られます。
http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/kensa01.html
金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕
「金融庁検査局」