前回の続きです。



準無菌室という個室が空いたとのことで
そこで治療を受けられることになり、
翌朝から抗がん剤治療が始まりました。


初回の抗がん剤治療は
「寛解導入療法」と呼ばれ、
二種類の抗がん剤を同時に
7日間投与し続けるというものでした。


前日の面談で先生方から
初回の寛解導入療法が最もリスクが高いと
説明がありましたが、

I先生に活を入れられた私は
「なつ坊のために絶対治してみせる」
という強い気持ちで治療に挑みました。


が…


いざ抗がん剤治療が始まると、
恐れていた副作用を感じる余裕もないほど
体調の悪い日が続き…


実はこの7日間の記憶が
ほとんどありません…






家族がお見舞いに来たり、
普通に会話したりしてたみたいですが、
どうやって過ごしていたのか
何も思い出せないのです。


当時書いていた日記には、

熱 41.5℃  
吐き気
胸が刺されるように痛い(乳腺炎の炎症)

といったメモだけが残されていました。





記憶にあるのは
ちょうど7日間の抗がん剤投与が終わる頃…

ようやく熱が落ち着き、
山場を越えたかと思っていたら
夜中に突然、鋭いお腹の痛みを感じました。




















痛くてたまらなくなり
ナースコールをすると、
担当の医師がいないので
とりあえず朝まで様子みましょうと
言われました。






痛くて眠れないし、
自分の体に何が起こっているのか
この先自分はどうなってしまうのか

不安で恐ろしくて
ただただ祈り続けました。

辛くて長い夜でした。




翌朝、ようやく先生方がやってきました。




どんな時でも冷静沈着、
でも細やかな気配りと優しさが感じられる
I先生…
会えただけで安心して涙が出そうでした。



余談ですが
ドラマでよく見る総回診を
初めて生で見た時は驚きました。

完全にドラマの世界だと思っていたので…

実際はドラマのように仰々しいものでなく
先生方も雑談しながら歩いてましたが。




その後、CTの検査を受け、
消化器内科の先生もやってきて
症状を診てくれました。

CT画像に写る腸は
むくむくと膨れ上がり
所々から出血しているとのことでした。















I先生は、私の血液の状態から
すぐに止血の処置をした方がよいのでは
という意見でしたが、

消化器内科の先生は、
このまま様子見ればいいとの見解でした。




病気=医療行為や薬で治すもの

だと信じてきた私にとって、
何もしないという選択肢があることが
大きな衝撃でした。




そしてこの日から
絶食という
次なる試練が訪れたのでした。