母の面会に行けない父にとって、毎日は退屈で、張り合いのない日だった。
それも、多分明日で解禁されると思っている。
そんな父が、この時期なると食べたくなる故郷の味がある。
今年もまた、それを作ると言い出した。
確か、去年は作ってない。
その前は…母がデイサービスに行っている間に作るのを手伝ったかもしれない。
今年は、母の面会も行けず時間を持て余しているので、作ることにした。
父が作る…と、言っても材料の買い出しはすべて私なのである。
父の郷土の栃木県に伝わる『しもつかれ』という料理。
昔は新巻鮭とかで残った鮭の頭とかカマを、節分の豆の残りと、鬼おろしで大根と人参をおろし、酒粕とお醤油で味付けるという料理なのだが、煮込むまでが手間がかかるのである。
父には何日か前から、鮭の頭とカマを切ってもらたり、大豆を炒ってもらったりと仕事を与えた。
一度に全部するには、時間がかかるからこの作戦は大成功。
当日は大根と人参を鬼おろしでスリスリ…
さすがに、大根2本半、人参3本は疲れたらしい。
大きな鍋で煮る事3時間。
こんな感じに美味しく出来上がった。
ビジュアル的に好き嫌いがあるようだが、大人になってからは大好きになった。
実家の味…引き継ぐことが出来たよ。