ホテルを引っ越した。多少だが、改善した。

施設は古いが、太陽光が入り、停電は起きない。プールもついている。


モスクからの拡声器も、ほどよく離れているせいか気にならない。


サービスはいいとは言えない。ビールの栓抜きを持ってきてもらうまでに、フロントに頼んでから1時間かかる。

まあのんびりしているのか、それほど目くじらを立てるつもりもない。


確か、村上春樹の短編「タイランド」は、どこか決定的に傷ついた日本の女医が、紹介された寡黙なドライバーの運転でホテルとプールを往復する、そんな話だったと思う。うろ覚えだったのでググってみたら、最近は便利だねえ。http://hiki.cre.jp/HarukiMurakami/?Thailand

自分を重ね合わそうと思ったが、読んでみると全然違うな(笑)。整合しているのは、アジアに一人でいることだけだ。


よく「学生時代にバックパッカーで世界漫遊してたでしょ」と言われるのだが、真逆で、先進国にちょびっとしか行ったことがない。一番どうしようか、と思った旅は、アメリカだった。途中で本当にやることがなくなってしまった。

ネットもない時代だし、途方に暮れた。毎日散歩していたけれど、それだけじゃあねえ。カネもないし。結局、予定を切り上げて早めに帰国した、という何とも情けない記憶がある。


そんなわけで、基本的に一人で過ごすのが苦手だが、とはいえ団体行動はうざったい。家族においても

「家族という団体行動で時間に追い立てられたり、束縛されるのは嫌いだが、気の向く時、寂しい時は子どもと遊びたい」という我ながら勝手な行動もしてきたのかもしれないなあ。

何ともワガママな自分の性格が浮き彫りになった。先の「タイランド」の主人公のように、静かにホテルとプールで過ごす毎日が送れないだろう。そもそも村上春樹は一人っ子で、孤独に強いタイプなのだ。


僕の場合、何かが欠損しているせいか、ある程度、自分を反射させるための他者が必要なのだろう。

問題は、そうした弱さの着地点が定まっていないことだ。


家族に完全にコミットできれば、弱さを補う強さとともに、家族中心のモデルができあがるだろう。

一人でいることを選ぶのなら、芯のある強さとともに、お一人様のモデルができあがるだろう。


中途半端があまりよろしくないのだろう。・・なかなか覚悟が決められないけれど。