それでは、ラジオで放送される朗読「押絵と旅する男」について、
簡単ですが書いてみたいと思います!
この番組は、国内旅行をテーマにしていて、パーソナリティさんの旅のトークと、
その土地にゆかりのある作品や作家さんの文学を、役者さんに語っていただくパートがあります。
音の旅を体感できるよう、スタッフの皆さんでじっくり作っている番組です。
これまでも素晴らしい役者さん、声優さんたちが朗読に登場してくださいました。
媒体的に、radikoタイムフリー以外は、再放送が難しくなっております。
番組は関東地方の方、またはradikoプレミアムに入っていれば聞くことができます。
鳥海さんの語りが堪能できる機会ですので、ぜひお聴き逃しなく!
続いて、簡単な作品の説明と、収録の思い出をふりかえってみます。
◯作家さんと作品について
江戸川乱歩といえばミステリーの印象ですよね。
作品によっては、すこし怪しいというか、ゾクッとする側面もある気がします。
私が馴染みがあるのは、児童書の少年探偵団なのですが、今回の「押絵と旅する男」は、やや大人向けです。
作者自身が気に入っていると言われている短編作品のようです。
◯簡単なあらすじ
富山を旅していた主人公が、蜃気楼を見たあと、汽車に乗って帰ろうとするところからはじまります。
そこに居合わせたのは、不思議な男です。なんと、奇妙な押絵を手にしていました。
さてどうなるのか……。
ということで、語りとしては技術が大変難しく、幻想的な物語です。
◯お願いした理由
今回は、ミステリアスな男が登場します。しかも年齢不詳です。
それで浮かんだのが、鳥海さんのお声です。青年らしくもあり、しっかりした品性もある。
スタッフさんと相談して、今回の物語に雰囲気がぴったりだと感じました。
また、YouTube等で、定期的に朗読に触れていらっしゃいます。
今回の作品の難度は、とくに高いのですが、そんな鳥海さんならば!
ということでお願いすることになりました。貴重な機会に感謝しております。
◯収録の思い出
今回はスケジュールの都合で、端的に収録する必要がありました。
何時間あっても難しい題材ですが、今回はよりスピーディに進めないといけません。
普通なら、「そんな無茶な」というくらい難しいお願いです。
しかし鳥海さんは、快く応じてくださいましたし、とても熱心に取り組んでくださいました。
文学は言い回しが独特になっていることがあります。
できる範囲で読みやすくするのですが、作家性を思うと、すこしその部分が残っていることがあります。
そういう箇所でも、何度も丁寧に読んでくださいました。
場合によっては「シナリオが読みにくいですね」なんて言ってしまう人もいそうですが、やはりさすがの鳥海さんです。
何かのせいにせず、謙虚に演劇を追求してくださるお姿は、本当にキラキラしていました。
私は演出として参加させて頂きましたが、役者の先輩としてかっこいいなあと、大変勉強になりました。
若手の頃から、様々なご経験をされていた鳥海さんだからこそ、おできになることかもしれないと感じました。
今作の物語の構造はシンプルながら、演じ方が大変難しく、極めて複雑になっています。
それを1人で、絶妙に演じわけてくださっています。
ぜひ鳥海さんの語りの技術、堪能されてください!
◯そのほかのこと
今回は、番組の時間に合わせて、よりわかりやすくなるように、脚色をさせて頂いております。鳥海さんもご高齢の方が聞きやすいように、ゆっくりとキーワードを立てて語ってくださっています。
ラジオの向こうにいるリスナーの方々へ語りかけるようなイメージで演じてくださいました。
今回はとくに聴き応えがある長さですし、文学に馴染みがない方でも聞きやすいと思いますので、ぜひお楽しみ下さい!
私も大変勉強になりました。心から感謝です。
