こんばんは。留学中「在瑞日本人を訪れて話を伺う」宣言を度々してきましたが、とうとう実現しました!お邪魔させていただいたのは、ウプラサの隣町に住む吉澤さんご家族。ご家族はみんな日本人ですが、厳しいハードルを乗り越えて移住に成功したお方です。まず吉澤家にここでも改めて感謝を申し上げます。お時間をいただいて本当にありがとうございます。

 

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↑吉澤さんご夫妻のブログ

 

快く会おうと言ってくださり、実際に話してみても大らかで気さくな方でした。でもその裏で「幸せ」という概念について深く考えていることも十二分に伺えました。同じテーマを抱えて生きている気がして、打ち解けるのに時間は必要ありませんでした。あと余談ですが、お子さんたち(5才と1才の姉妹)が天真爛漫で可愛かった(笑)。ご夫妻の努力の甲斐あって、のびのびと成長しているのだと思います。なんていい家庭なんだ。

 

というわけで、今日はそんな吉澤邸を訪れて学んだことをまとめようと思います。テーマは「平等」です。スウェーデンに関する貴重なお話をたくさんしていただいたんですが、共通するトピックがこの平等という概念だったなと感じています。なので「何が平等なのか」という観点で3つ書きます。

 

 

男女が平等

 

これは既に世間で散々議論されている話題です。「日本は最低、スウェーデンは最高」という文脈をよく見かけます。一応根拠を明示しておくと、World Economic ForumによるGender Gap Index in 2018において149ヶ国中スウェーデンは3位、日本は110位です。悲しくなりますね…。

 

ではどのようにスウェーデンの男女平等は成立しているのか。一つは「共働き社会」です。スウェーデンには扶養家族という概念がなく、専業主婦率は約2%。日本の38%と比べるとこれもまた低い数字ですね。そしてこの共働き社会を実現するために、企業や社会も多種多様な制度を整えています。例えば、男性の育児休暇制度。これにより男性の育児参画が促進され平等性が確保されると同時に、女性の社会復帰も早く実現できます。

 

共働きをサポートする社会の仕組みが出来上がっているので、「男は仕事、女は家庭」という旧来の概念は遥か昔に無くなったそうです。ワンオペ育児という概念も無いし、会社の中でマタハラなんて問題外。日本、遅れてるな…。

 

 

会社と社員が平等

 

社員は会社に従属するもの、という固定観念が日本にありますがスウェーデンはそんなことありません。あくまで関係性は対等。社員は会社と契約関係にあるだけで、大きく都合が悪いことがあると簡単に転職ができるようになっています。企業も社員に簡単に辞められるとコスパが悪いので、職場環境を整えるインセンティブが働きます。

 

なぜ対等になれるのかというと、企業と労働組合が分離しているからなんだそうです。つまり別々の企業の社員たちが同じ職種で労働組合を結成しているので、自分の会社に危険を感じたら組合の力を借りてプッシュできるし、他企業へ斡旋してもらうこともできます。旧来の日本企業のように会社の中に労働組合があるのとは訳が違いますね。よくできたシステムだなと思います。

 

加えて、スウェーデンには退職金もありません。なので、終身雇用にすがって最後に何千万円得るために会社に残るという動機がそもそもないのです。結果として転職が当たり前の社会になっているので、余計に社員は会社に従属しなくて済む生き方を選択できるというわけです。

 

 

国民一人ひとりが平等

 

これは正直賛否両論あるところです。移民難民のことを考えると話が複雑になりますが、あくまでスウェーデンに生まれた国民は総じて平等であるという意味です。スウェーデンの学校教育は完全無償化されているので、国民は保育園から大学まで全て無料で行くことができます。大学ブランドという概念も日本ほど強くなく、それより「何を学べるのか」ということを重要視して学校を決めるそうです。さらに受験というシステムがなければ塾もないので、お金をかけて我が子を育てるという日本的な事態にはなり得ません。全国民に平等な教育の機会が与えられています。やれ国立だやれ偏差値だという考え方は旧世代なんだなとつくづく痛感します。

 

会社の中でも、平等性は担保されています。自分の上司に意見するのは当たり前。上下という関係性は形だけで、社会に価値を提供する社員としては横一線に対等であるという考え方が基本にあるようです。少し話は変わりますが、スウェーデンの企業に福利厚生はほとんどありません。あってもジムとか健康診断とかだけだそうです。「遠くに住んでいるから企業から交通手当が出る」といったようなことさえもスウェーデンでは不平等だとされます。なので給与という数字に、業務内容や成績以外で格差が生まれることがないようです。このように企業の中でも社員はあくまで平等に扱われます。当然のことと言われればそうですが、日本の現状は厳しいところがあるでしょう。

 

その代わり、そういった手当は社会が保証します(一定条件を満たせば税金から控除できる)。言い換えれば、国民の平等を実現するために社会と企業のやるべきことが明確に分かれているということ。日本は、社会がサポートすべきところを企業が抱えすぎているなと感じます。

 

 

今日は吉澤さんと話して気づいたスウェーデンの「平等」という概念について書きました。実際にはこれ以外にも、育児や移民としての生き方について本当にたくさんお話していただいています。話を自分の頭の中で膨らませられたらまたブログも更新しますね。でも今回はスウェーデンのいい面ばかり書いたので、次は改善の余地がある点についても伺ってみたいなとも思いました。

 

スウェーデンに留学しても、社会システムの違いを深く感じることは中々難しいものです。あくまで学生として1年間一人暮らしをするだけなので、肌で感じることができるのも表面的で限定的だなと悩んでいました。そこで吉澤さんにお話を伺えたことにはかけがえのない価値があると実感しています。

 

吉澤さんご夫妻は「若者に投資するのが日本を良くするための一世代上の役割」だと仰ってくださいました。スウェーデンに移住したことはもちろん、そこから発信をし続けていることも尊敬です。こうやって自分も行動できるように邁進していきたいと思います。繰り返しになりますが心から感謝です!ではでは、Hejdå!

 

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ありがとうございました!