吉田クリニック 院長の独語

吉田クリニック 院長の独語

医療関係に限らず日常の出来事についても思うところを書いています

 最初からこんな事件が起こる前に「今の世の中のコンプライアンスは行き過ぎじゃないか? もう少し最初から温情的例外項目も検討しておいたらどうか?」などという議論がもっと前から出るべきだったかと思います。

 それにつけても今後の球団の動きに注目したいです。巨人軍は「紳士たれ」と昔から言っているけど営利団体なので「ファンの気持ちを優先し(ということは紳士たれというコンプライアンスを反故にしてということになるが)、監督に復帰してもらいましょう」となりそうな気もします。あるいは、今でなくとも少し時期を置いてから・・・「球宴が終わってほとぼりの冷めたところでまた戻ってもらおうか」となるかもしれません。そうなったら阿部さんよかったねと思う反面、球団の方針・判断もいいかげんだなとも思うのです。

 また穿った見方なのですが、もし復帰がないとしたら、今年は監督契約期限の最終年度なので、今年度優勝できないなら監督の次期更新はないのでちょうど辞めてもらってよかったと球団は冷徹に考えているかもしれません。

 球団は営利団体なのでもしも「ファンの気持ちを十分考慮して阿部さんを監督に復帰させます」という結果を出したならファンにとっても喜ばしいことでしょう。自分もそうおもうのですが、しかしもしそうなった場合、会社のコンプライアンスを民意で曲げるというのは些か情けないような気がします。コンプライアンスとは言いますが、現代の価値基準でいえば不本意ながら半ばローカルな法律みたいになっています。ここまで縛るのかというくらい過去多くの人がこの現代の厳しすぎるローカルルールで失職しました。あの東京オリンピックでの企画委員が自身の失言やら、あるいは何十年か前の差別行動を理由に解任させられてきました。今の世の中は、だれから文句言われても鉄壁に組織や個人を守れるような行動規範を作りました。でも逆にそれにがんじがらめにされているようです。

 さて今回、このネット署名の結果で、このコンプライアンスが曲げられることになったらそれはそれでいいのだと思う気持ちもあれば、まるで人民裁判で判決が動かされたような感じで違和感も覚えるのですが。

 この今回の事件では「現行犯逮捕」ということであり一つ疑問が残ります。警官がいる現場で本人が暴力的に抵抗したとか、長女に警官の前で暴行が加えられたとかでなければ「現行犯」という文言は違和感があります。

 もし現場で警官ともめごともなく、そのまま逮捕されたのであれば確かに理不尽であることも否めません。今の世の中のコンプライアンスでは「有名人の逮捕」イコール「失職」です。穏やかな任意同行でもよかったはずです。この現代の価値基準を現場警官が知らなかったのであれば残念です。

 世の中の人たちはすでに阿部さんに落ち度はないという前提で、監督復帰の署名に動きました。そして12万人もの人がその前提(阿部さんには逮捕に相当する落ち度はない)に賛同していることになります。

 もちろん署名やら賛同やらは重要であり自分も確かに賛同します。しかしこの署名活動で球団がどうでるかが今後の注目するところです。

 12万人の意向はやはり大きいでしょう。ここで球団会社の出方次第では、今後この12万の集客を失いかねないかもしれません。

2026/5/28 17:23 産経新聞

 長女(18)に対する暴行容疑で警視庁に現行犯逮捕され、釈放後に辞任したプロ野球巨人の阿部慎之助前監督(47)を巡り、オンライン署名サイトでは監督復帰を求める署名が12万筆以上集まるなど、反響を呼んでいる。

 オンライン署名サイト「change.org」では、「阿部慎之助氏の監督復帰を求める会」と名乗る発信者が「阿部慎之助の監督復帰を求めます」と題した署名活動を展開している。目標は東京ドームの収容人数である4万3500筆に設定していたが、28日午後5時時点で12万筆を超えた。

 同サイトでは「阿部慎之助氏のこれまでの功績、そして再びユニフォーム姿を見たいと願うファンの声を、一つの形として届けることを目的としております」などとして、今後は球団などに提出すると説明している。

 監督辞任までの流れは、過剰反応的な組織を経由して、そして最後はコンプライアンスという名の現代の強烈な社会的価値基準によって裁かれたことになります。

 この経路では、すべての組織が現代の鉄壁なコンプライアンス通りに動いたわけで、もちろんこれで命を失った児童が出なかったということから考えれば最高の結果だったということになります。これが一時代前であれば、きっと阿部監督も「いやあ昨日娘ともめちゃってね、いろんなところに謝罪しに回って大変だったよ」と笑い話で済んだかもしれません。

 結局、今回の辞任劇はそれぞれの個人の思惑とは別なところで歯車が回っていったのでしょう。

 今の世の中では「こんなことで辞任とはおかしいシステムだ」といってしまうと、これもコンプライアンス違反だと炎上するでしょう。でもなんかこのコンプライアンスというもので現代ががんじがらめになっているような気がします。

 ただ一つ気になるのは「現行犯」という文言です。ここは発表にないのですが、警官の目の前で娘さんに暴行したとか、あるいは警官に対して大暴れしていたのであればこの逮捕劇はやむを得なかっと思います。なぜ「現行犯」なのでしょうか? でも真相は闇の中なんでしょう。