*今回力士名は現在コンプライアンス的に非常に問題があるので琴富士以外は伏せます

 

 

船橋の奇跡の巻

 

近頃一緒に行動することが多くなったRが兄弟子を連れて行くという

 

地方競馬が初めてなので是非行きたいと

 

Rの部屋はたまたま稽古休みで前日より競馬場近くのビジネスホテルに宿泊という念の入れ様だった

 

 

競馬場パドックで待ち合わせ

 

Rと共に姿を現したA

 

挨拶もそこそこにパドックの金網を掴みながら食い入るように馬を見つめるA

 

その姿に馬を引いている厩務員は馬ではなくA に引いていた!

 

 

 

本馬場入場すると返し馬も見ずにAは「俺は男、一点勝負」と誰も聞いていないのにわめいていた

 

琴富士は大丈夫か?コイツと思いつつRに

 

「いつもあんな感じか?」と聞いた

 

「競馬だと人が変わるんです」

 

琴富士は3人一緒やと思いAの動向を見守った

 

「いくら買ったの?」

 

A は「20万です!」と元気よく答えたが琴富士はたぶん当たらないと思った

 

少し競馬新聞が読めるようになった琴富士はAが買った馬の馬柱を見た

 

地方ダートは逃げ先行馬が断然有利

 

コーナーで8番手だ、9番手だの前に行けない馬は連に絡みずらい

 

そういう意味でA の馬はキツイ!

 

そのレースやはり外れた

 

気を取り直して再びパドックへ

 

琴富士とRは無難に人気の先行馬を勧め流すように促すが頑として聞き入れない

 

このレースも外れかなりの散財だ

 

琴富士とRは少し心配になったがA 本人はこのレースも一点だと息巻いている

 

買おうとしているレースは船橋のマイル戦で人気は8枠2頭、逃げ、先行馬なので8-8のゾロ目が一番人気

 

琴富士とRは8枠から穴目と読んだ5枠を本線に勝負

 

A は枠連2-5

 

穴から穴の目も当てられない馬券

 

Rが投票所前でA を説得に入る

 

「せめて*コマ下げて買って下さい」           *金額

 

余りRが必死なのでA はコマを下げた

 

とは言え10万円買っていた大金である

 

レース展開は順調に8枠2頭が先導する

 

向こう正面を遠目で見ても8-8体勢

 

船橋特有のスパイラルコースを回り

 

 

8枠の1頭が失速し始めた

 

真ん中を割って黄色い帽子がグングン先頭に迫る

 

ファイター桑島だ!

 

琴富士は熱くなっていた

 

このままいけば5枠の穴が来てかなり配当も付く

 

「クワさ~ん!!!!!」と琴富士が絶叫する!

 

残り100mで5枠の馬が先頭の8枠を交わした途端の出来事である

 

何と8枠の馬があらあらと後ろに下がるように見えた

 

変わって緑の6枠と最内をついて黒の2枠が同じ足色で突っ込んできた!

 

5枠が1着なのはわかったが2着が微妙であった

 

僅かに2枠がさしているように見えた

 

掲示板が1着5番2着2番で点滅を始めた

 

 

 

このA は競馬もそうだが本職の相撲の方が勝負強く

 

大関にはなれなかったが長く三役幕内を務めあげた

 

枠連2-5、配当はレース直前に10万円購入したためオッズが3分の1に駄々下がり

 

異常投票ではないかと審議の対象となる(^_-)-☆

 

恐るべし力士A

 

 

 

次回に続く

                     ご祝儀を頂きました琴富士