ケン グリムウッド 「リプレイ」 | 生きてる缶詰

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「リプレイ」(1988年)読む。

中年の主人公がいきなり死亡。
学生時代住んでた部屋で寝てる自分の若い体へ転生してしまう。

前世での知識や経験を活かし賭けや投資で財をなしたり、違う交際相手と結ばれたり。
前世では得られなかった子供にも恵まれる。
それでも前回での定刻通り、主人公は死亡しまた若い頃に戻ってしまう。
あの当時、こうしてればなぁ、、、という妄想を実現化し続けたり、新たな後悔を作ったりと人間臭い物語がつづられる。

ある時、主人公は映画の歴史の予定調和を崩した作品を作る女性監督に気付く。
彼女は自分と同じ運命を背負う「リプレイヤー」だったのだ。

共に攻めの姿勢で世界を変えよう、などと試みたり
世の無常をはかなみ 山奥に引き籠ったり
他のリプレイヤーを探し求めたり
多くの挑戦・愛憎・後悔を積み重ねつつ、この現象も終局へと向かっていくのだが、、、


彼らは数百年の人生を過ごしながらも、現象の原因は解明されないままだ。
とって付けたような微妙なハッピーエンドにも 少しモヤモヤするものはあった。
人生には締切がある。
いま挑戦しなけりゃ意義があるまいという教訓めいたところを受け入れられるかどうかが評価の分かれ目か。
それらを差し引いても僕は気に入った。良い作品だと思う。

楳図かずお作「アゲイン」と共におすすめ。