斎藤隆介 童話集 | 生きてる缶詰

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斎藤隆介 童話集読む。「モチモチの木」の作者。
上の絵関係なしww

東北あたりの民話をベースにしてる粗筋も混じる。
ウダツの上がらない人生を過ごした主人公が、皆のピンチに立ち上がり命をも落とす大活躍をして感謝される、、、という いわば英雄伝が目立つ。


豪快系では「三コ」「八郎」「でえだらぼう」「半日村」あたり。
山を動かしたり山火事をからだで消すとかの展開は今の童話・絵本界にもあるんだろうか。
僕が20代後半ごろ描いてた漫画は少しこの傾向があった。絵本を描くなら多分ぶり返してくる性癖だと思われる。
読者が主人公に共感できてる内は、有無を言わさぬ強いヒロイズムって燃えるものだ。


センチメンタル系は「ベロ出しチョンマ」「天の笛」「春の雲」「ひさの星」あたり。
僕は感傷に浸る娯楽もアリだと思うので、これも自然に読めた。
きょうび この系を描いて出版社に持ち込んだ場合、受け付けてもらえるのかなぁとも想う。
主人公が勇気ある善行ゆえに倒れ、周囲がドラマチックに嘆き悲しんでくれるのは美談ちゃ美談だが、それを書いてる作者の思惑も浮かび上がってくる。
そういえば1960年代までの少女漫画にはこの傾向の即席版がよく見られた。脈絡のない悲劇でオチを付けて涙を強制するスタイルもあった。
現代人の「忙しくて寝てないわぁw」「リスカ跡みてみてwww」「負のスパイラルだわぁww」等の不幸自慢とも根源がつながってる悪寒がする。
ここはちょっと鬼門だ。気を付けねばならない。


エンタメ系では「白猫おみつ」
強い殿方には無条件によろめくおみつ。このプライド高い女が最後に辿り着いたのは、、、というストレートな寓話。
ちょっとコメディ要素も有るからか、民芸調アニメ的な絵ヅラで脳内再生された。


「浪兵衛」「もんがく」などは飄々とした豪傑系。
アウトローになろうが断首されようが また再生し自分のいきたいように歩んでいく。
彼らを奉る人物も出てこない。
絵本の参考にと色んな童話を読んでる最中だが、僕は個人的にこれが好きだ。