(承前)

ところで、今日の狂気といえば何をさしてそう言えるのでしょうか。

 

どこぞの政治指導者による常軌を逸したツイートなのでしょうか。

どこぞのチューハイ文学のもとになったアルコールの影響でしょうか。

どこぞの猟奇犯罪者による犯行の表面化でしょうか。

 

いえいえ、そのいずれとも云えそうです。

 

なにより、現代で問題になる狂気といえば、自閉性をともなう症候群などよりも、

むしろ能力の異常な発散を示すマニアやパラノイアに属する症候群であるような気がします。

 

絵画の世界でもまあ印象派以後の流れがそれらしいですし、

文学に至っては孤独や不安や放浪や狂気を描かずに大成し得た作家はまずいないのではと感じるほどであったりします。

 

正気の世界においては確かに狂気は人間の虚像なのでしょうが、

もし社会がそれまでの異常性を正気として認めるようになるときこそ、

狂気は人間の姿を写す実像となるのではないかと、

私はふと思いふけることがあります。

 

(更に続ける気力があれば続く)