高校「情報Ⅰ」大学入学共通テスト問題(試作)全てを動画で解説しました
高校情報科の「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」新設へ 2022年から
2022年からの新教育指導指導要領で、全国の高等学校で情報の授業が開始されます。
2025年から何と大学入学共通テスト(旧:センター試験)の科目として追加される可能性があります。
上記に先立って、2020年12月に大学入試センターが
情報1の大学入学共通テストの試作問題を発表しました。
教科書はこれから発行されるので、難易度などはこれから時間をかけて検討されます。
(独)大学入試センターが国からの委託で情報処理学会と作成したものが公開されています。 https://www.ipsj.or.jp/education/edu202012.html
全ての問題を解いてみた感想として「メチャメチャよくできた問題」で
IT業界で有名な情報処理技術者試験の高度区分まで取得している私としては
基本情報技術者試験以上、応用情報技術者試験以下のレベルだと感じました。
ただ、情報処理技術者試験で扱っていない範囲も多く、
高校情報科目の方がより幅広い知識が身につけられる感じがします。
問題自体も日常生活と紐づけられているものが多く、
「情報」が私たちの日常でどれほど重要な役割を果たしているかが読み取れる文書となっています。
一般的に情報≒Word、パワーポイントみたいな考えが広まってしまっていますが
情報は非常に幅が広く、これからの社会を生きていく上では必要不可欠なんものなので
この問題を通して、情報とは何かということが 世間に広まるといいなと考えています。
IT基本知識からネットワーク系、セキュリティ系と非常に幅が広いので
この知識を身につけた人がIT業界に入ったら
「先輩こんなことも知らないんですか!?」
と言われる時代が近い感じがします。
情報処理技術者試験の動画解説をYouTubeで無料公開し多くの合格者から感謝頂いていますが、
その知識をもとに、今回 この試作問題を 全問動画解説してみました!
問題ダウンロード
https://www.ipsj.or.jp/education/9faeag0000012a50-att/sanko2.pdf
第一問 情報社会の問題解決
基本用語に関する知識が問われています。
用語の意味を知っていれば、殆ど全問正解できるレベルです。
著作権やクリエイティブコモンズ 、ファイルの形式、セキュリティなど非常に幅広い分野を簡潔にまとめている感じです。
暗記で何とかなる分野ですが、著作権などはこれからのIT社会で知っておかなくてはならないものなので
実際の日常生活でも役に立つと思いました。
第2問 コミュニケーションと情報デザイン
ビット演算や動画のファイル容量の計算など基本情報技術者試験でよく出てくる問題です。
一つ一つの問題文は短文なので、数学の文章題が得意な人は無理なく解ける問題です。
フレームレートと色数、ピクセルがファイル容量とどうかかわっていくかというところは有限なスマートフォン端末にデータ保存する上で参考になる知識です。
日常生活に近い観点で問われ方も工夫されているというのが感想です。
第3問 コミュニケーションと情報デザイン(画像解析)
二値化やヒストグラム、画素数、明度など実際にPhotoshopなど画像編集ソフトでよく使われるものを問題として扱っています。
わたしの動画も、家にあった「おばあちゃんのぽたぽた焼き」を使って面白おかしく作成してみました。
第4問 コンピューターとプログラミング(シミュレーション)
グラフの内容を理解して、未来予測(シミュレーション)して答える問題です。
事前に知識は必要ないですが、複数のグラフや事象を総合的に判断して答えを導き出す必要があり
それぞれのグラフの意味を理解できないと、何を問われているのかもわからない問題です。
自分で考える能力を養うのには最適な構成になっているという感想です
実際の交通渋滞を緩和するためにはどうすればいいかという観点からなので、
実社会観点で問題が作られ良問だと感じました。(これ作った人凄いです!)
第5問 プログラミング
問1~3まであり徐々に難易度が上がっていきます。
初めは実値を用いていたものが、変数に置き変わって汎用性が求められます。
プログラミングですが、学校によって扱う言語(Pythonが推奨ですが) が違うため、
入試ではプログラム言語に特化した問題ではなく、汎用的な疑似言語が使われるようです。
基本情報技術者試験でも似たような問題が多々あるので、
問題演習には基本情報技術者試験いいかなと感じました。
今回はフローチャートの問題はありませんが、フローチャート作成ができることが前提で問われている感じです。
第6問 情報通信ネットワークとデータ活用(セキュリティ)
二要素認証に関する問題です。
今回は1問しかありませんが、セキュリティ対策は国策の1つなので今後セキュリティ分野の問題は増えていくと感じています。
私自身も「情報処理安全確保支援士」保持者(国家 登録者)としてできる限り分かりやすく解説したいと思っています。
第7問 情報通信ネットワークとデータ活用
ネットワーク分野でレイヤー2スイッチに関する通信の流れが問われています。
スイッチに関する知識はあまり必要ありませんが、
実際に機器が故障した場合の、原因特定についてよく練られた問題だと思います。
日経ネットワークの実践でもよく出てくる内容を試験用に簡略化しているイメージで
実際に起こりえる事象を短い文書で分かりやすく再現しているというのが感想です。
第8問A ネットワーク Webサーバのアクセスログ解析
実際のWebサーバで出力されるHTTPログの解析です。
めちゃくちゃよくできた問題です。普通に情報処理安全確保支援士の試験問題として出てきそうです。
私もテンションが上がったので、実際にWebサーバ構築して
実機を用いて動画解説してみました。
超~~実務で役に立つ問題です
(これ理解できる人 現場に欲しいです!by 情報システム部 部長 = 私より)
第8問B ネットワーク DNSサーバ
DNSの名前解決に関する知識が問われます。
基本問題ですが、
DHCP、IMAPなども選択肢としてあり、ネットワークの幅広い基礎知識が必要です。
こちらも情報処理安全確保支援士出ても良い問題です。
トップレベルドメインやドメインとアクセスログの紐づけなど
実務でも使えそうな内容です。(やっぱり この問題作った人凄いですね!)
第8問C ネットワーク 回帰直線式
ネットワークの知識よりデータ分析の知識が必要です。
回帰直線式自体は非常に難解ですが、
今回は図や式をみれば事前知識が無くても答えられるレベルです。
これからも、高校情報講座の動画解説どんどん追加していくので
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