今週の禅語 | けにーのぶろぐ

けにーのぶろぐ

日常生活の話題を取り上げています。よろしくお願いいたします。

 
 
 

「動物が出てくる禅語②」

 

 
百丈野狐 【ひゃくじょうやこ】
 
 

 

 百丈懐海という和尚が説法をするとき、いつも聴いている一人の老人がいました。

 あるとき、説法が終わっても老人が立ち去らないのを見て、和尚が声をかけたところ、老人は次のように言いました。

 「私は人間ではありません。遠い昔、山寺の住職をしていたのですが、『修行を重ねた人でも因果の制約を受けて苦しむのか』と修行僧に尋ねられ、『因果の制約を受けない』と答えたら、野狐の姿に変えられてしまいました。そして五百回も狐に生まれ変わっているのです」。

 この問いに答えることで自分を救ってほしいと懇願された和尚は、「因果の制約を昧(くら)まさない」と答えました。答えを聞いた老人は悟りを得て、野狐の姿から解放され、成仏することができたのでした。

 

 このことから、悟っていないのに悟ったかのようにうぬぼれて人を欺く者の禅を「野狐(やこ)禅」と言うようになりました。