「未練を断ち切る」
無益な反省はしない
私たちの悩みの多くは、取り返しのつかないことをしてしまった、という思いから生まれます。してしまったことによる失望よりも、それに抵抗する気持ちが自分を苦しめるのです。過ぎ去ったことを考え、どの分岐点からやり直したら別の結果が得られたのかと悩み続ける・・・・・・こうした後悔や反省は、無益なものだとアランは言います。後悔することはあやまちを繰り返すことだ、というスピノザの言葉を引用しながら。自分の立ち位置をしっかり見据えて、そこから未来に向かって出発する。たやすいことではありませんが、まずは小さな失敗で練習してみましょう。
要するに、過去を見つめることから生まれるあの悲しみは何の役にも立たない。それどころか、きわめて有害なものだ。
(57.絶望について)