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私は喜んで、その赤い座布団の上に飛び乗りました。
そうして始まったのです。私の仕事が・・・
どうして私が、このお店の通いの看板猫をしているのかですか。
実は、ここが私の生まれた家なんです。
この赤い座布団は、私のママがいつも座っていた座布団です。
だからこの家のお婆さんは、私のママのお母さんだから、私の「お婆ちゃん」
と言う事になるのです。
そのママも、もうこの家にはいません。優しいお婆ちゃんに見守られて天国に行ってしまいました。
私は、このお婆ちゃんの家で四人兄妹の中の三番目として生まれました。お婆ちゃんとママに可愛いがられ元気に育った兄妹みんな、それぞれに新しい飼い主さんに貰われて行きました。
私もみんなと同じ様に生まれて二ヵ月しか、この家にいませんでしたので、それほど記憶がある訳ではありませんが、この匂いは覚えています。ママがいつも座っていたこの赤い座布団のママの匂いはちゃんと覚えています。
ママが店番をして座っていた座布団です。