
自分で自分を批判して、うまく描けないことに悩んだ。
でも、絵を描いているうちに、自分を見つめ、
さまざまな気づきがあり、自分の人生が変わるような体験ができた。
岡本太郎は、それをまさにわかりやすく書いているなぁと思う。
~以下引用~
鉛筆と紙さえあれば、どんなバカでも描けるものが、
どうして描けないとか描けるとか、ややこしい問題に なるのでしょうか。
描けないというのは、描けないと思っているからに過ぎないのです。
うまく描かなければいけないとか、あるいは、きれいでなければ、
などという先入観が、たとえ、でたらめを描く時にでも
心の隅を 垢のようにおおって不自由にしているからです。 あ
るものが、ありのままに出るということ、まして、それを自分の力で積極的に押し出して
表現しているならば、それはけっして恥ずかしいことでは ないはずです。
見栄や世間体で自分をそのままに出すということをはばかり、
自分にない、別な面ばかりを外にみせているという
偽善的な習慣こそ、非本質的です。
自分が自分自身で思い込んでいる自分の価値というものを捨て去って、
自分の真の姿をはっきりさせ、ますます自分自身になりきるということ、
それがまた、実は、おのれの限界を乗り越えて、
より高く、より大きく自分を活かし、前進させてゆくことなのです。
自分の姿をありのままに直視することは強さです。
誰もが絵を描き、おのれを素直に表現するということは、
不必要な価値観念を捨て、自分を正しくつかむ、極めて直接的で純粋な手段であり、
それによってまた、最も人間的な精神の自由を獲得することができるのです。
だから私は「でたらめでいいから描きなさい」と、
やや乱暴な言い方だが、誠意を持ってすすめるのです。
『今日の芸術』岡本太郎著 より
