【8月14日 AFP】ロシア・シベリア(Siberia)のサハ共和国で先週末、一人で森に入ったきり11日間にわたり行方不明となっていた4歳の女児が、無事保護された。女児はクマが多数生息する森をさまよっていたが、連れていた子犬に守られ生還したとみられている。
カリーナ・チキトワ(Karina Chikitova)ちゃんは、夜間は氷点下にまで気温が下がるシベリアの森で、野生のベリーのみを食べて生き延びた。発見時にはひどく痩せていたが、13日現在は病院で順調に回復しており、救助隊らは奇跡だと賞賛している。
サハ共和国の小さな村で暮らすカリーナちゃんは、隣接する人口わずか8人の集落に住む父親と過ごすために、7月29日に犬を連れて自宅を出た。
しかし、当時父親は近くの野火に対処するため、家を留守にしていた。カリーナちゃんは父親を探すために森に入ったとみられている。
一帯は先住民のヤクート人が狩りやトナカイの放牧などをしながら暮らしている地域で、携帯電話の電波もなく、母親がカリーナちゃんが森に入ったことに気づいたときにはすでに4日が経過していた。
大規模な捜索が行われたものの、手がかりがやっと得られたのは、カリーナちゃんの連れていた子犬がふらつきながら集落に帰ってきたときだった。救助隊は犬を使って子犬の道のりをたどり、カリーナちゃんの元へと急いだ。
ロシアのテレビ局Zvezda TVの取材に応じた救助隊員は、「この子犬がずっと子どものそばにいて、夜は彼女を暖め、野生動物を追い払っていたと確信している」と語った。
同テレビ局によると、現場にはクマが多数生息していることから、特殊部隊が到着するまでは小川や草地しか捜索活動ができなかったという。
救助隊は活動開始から2日後にカリーナちゃんの足跡を発見。村から北に6キロの場所で、生い茂った草陰で横になり、身を震わせるカリーナちゃんを見つけるに至った。
カリーナちゃんは発見時点ですでに靴をなくして裸足で、体重もかなり減っていた。最初にカリーナちゃんを発見したボランティアは日刊紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)に対し、「彼女は一言も発さなかった。ただ静かに涙を流して、私に向かって両腕を上げた」と語った。
テレビ報道では、Tシャツとレギンスを身につけたカリーナちゃんが、ヘリコプターに乗せられる前に水をごくごく飲んでいる様子の写真が公開された。
カリーナちゃんは森でベリーを食べ、川の水を飲んで生き延びたと話している。サハ共和国当局によると、現在は共和国の首都ヤクーツク(Yakutsk)にある病院で手当を受けており、順調に回復しているという。(c)AFP/Maria ANTONOVA
afpbb
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