メランコリック・フェスティバル

メランコリック・フェスティバル

ここはウエスタンな刑事たちが大暴れするドラマの二次創作をおくHPでございます。ごゆるりとお楽しみくださいませ^^

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04.3 分岐(後編)

 

 ドアの前に立てば、中から蹴破らんばかりの音量を体感する。それだけで骨に響き、身体中が鈍く震える。これは失われつつある若さへの侘しさか、それともこれから待ち構える一仕事への武者震いか――。
「出来たばかりのクラブにしちゃ、バカに騒がしいな」
「若者は目新しいもんに目がねぇからなー」
 横で奴が他人事のように溢す。歳自体ならこいつも中の奴らとさほど変わらない若輩だが、どうやら歳を食った同僚に囲まれているせいか、今ではすっかり一端の口をききやがる。こないだなんかちょっと拉致られただけでガキみたいに喚いたくせに、と胸の内でせせら笑ってやった。
「この中で、グラム30万の取引がされてるって?」
「バカに高いですよね。一体どんな奴が危ない橋を渡ってるんだか……」
「ま、いいさ。俺たちの目の黒いうちゃ、鼠一匹だって逃がしゃしねぇこと、骨の髄まで分からせてやらぁ」
 隣じゃ鼻息荒く、奴がいい放った。相変わらず、霊長類みたいな顔して言ってくれる。時に死に急ぐような単細胞だが、そういう粋のいいとこは嫌いじゃないぜ。
「さ、行こうか」
「はい」
 最年長たる彼の、ずしりと芯に響く一言で、自分たちはようやく一枚のドアを開け放つだけの意気を抱いた。

 ――ドアを開けた瞬間に、今まで耳を叩き壊す勢いだった音楽は、どこかこちらをかどわかすような陽気なアメリカンミュージックに移り変わった。
「あんた、悪い顔してるよー?」
「お前こそ、もうノリノリにリズムとりやがって」
「あー、じゃあそっちはノリノリのお前らに任せるわ。俺たちは裏方とか見てくるから」
 あ、あいつ、しれっと人に厄介ごと押し付けやがって。お堅い顔して、こういう場所が嫌いじゃない癖に。
 あいつらがそれぞれに散っていくと、俺たちは顔を見合わせた。奴は俺を挑発するようにことさら愉快そうにリズムをとった。くそっ、後で覚えてろよお前。
「遊んでる場合か。お前は向こう」
「ちぇっ、あんたも好き者の癖にさ」
 苛立ち紛れに小突いてやれば、いったいな!と悪態をつくも、奴は疼きを押さえるのも邪魔臭そうに人の群れに飛び込んでいった。
 諦めたようにため息をつき、ゆるゆるとリズムをとりはじめる。
 合間を縫って、泳いで、息継ぎをするたびに熱気の籠った空気にあてられる――逆上せて上気する体、ぶつかるたびに回る酔い、噎せ反る強烈な愉悦の匂い、網膜を焼くネオン。全てが五感を麻痺させ、夢うつつをさ迷う俺たちを、どこかで熱帯魚でも飼うように嘲笑う奴がいる。
 そいつは、誰だ。
(こりゃ、腑抜けた奴は麻薬に溺れちまうわな――……)
 思わず、乾いた笑みが溢れた。
 ここにいる奴らは、今さら他所から誰が来て、どこに混ざっても見向きもしない――淫靡に腰を振り、一時の興奮に身を委ねて汗を飛ばし、そうやって孤独の疲れを癒していく。その様はさながら、翼を残酷にむしりとられたせいで流れた血が、酸化して黒く染められていきながら、地上に堕ちていく鳥のようで。
 背徳感が、ゾクゾクと背筋を這い回った。
 それを振りきるように、無理やり周りを押し退けて群れの外へ出る。
 いけない。一度頭を冷やさなければ。
『どうだ、そっちの方は』
 耳に押し込んだ無線機から、ノイズ混じりに仲間の声が聞こえる。ため息をついて、ネクタイに仕込んであるマイクに返した。
「こう人が多きゃあな……」
『ホステスに接触してたのは、客に紛れた若い女だと言っていた。気を付けないと、とっくにお声がかかって誰かがお持ち帰りされてるかもしれないぞ』
「……ああ」
 気を抜いていられないな、と気を持ち直した瞬間。
 視界に飛び込んできたそれに、無線機から流れる声も、背後で蠢く群れも、何もかもが真っ白に消え去った。


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【あとがきと言う名の言い訳】

お久しぶりです~。

お久しぶりすぎて危うくHPのログイン方法を忘れかけていました←

 

まずはお詫びを。

まさかきりがよいとこまで一気に書き進めた結果、こんなに長くなるとは思いませんでした。連続分断投稿、申し訳ありません!

これ……連載の1話分なんだぜ…これで1話分なんだぜ……ひどいだろぉ……(白い目)

 

では気を取り直して。

ひさびさの更新はジロアコでした!

ジロアコ?……ジロアコの面影が見当たらないぞ、なんかオリジナルキャラクターが出張ってるんですけど←

ごほん……オリキャラと言っても、今回出てきたオリキャラとアコちゃんとの絡みが、このジロアコ出発点だといっても過言ではないんだ!!だから奇怪な運命のめぐりあわせとしてジロアコを生んだことの免じてください(土下座)。


では、このあたりでそろそろ失礼しようかと思います。

おばいちゃ!!←


千紫万紅