今年最初の投稿では「位置エネルギの単位」について書きましたが、今回は位置エネルギーが運動エネルギーに変化する様子について書いてみようと思います。

 

「位置エネルギーの単位」では、質量:1kgのモノを高低差:1m持ち上げたときに、どれだけ位置エネルギーが増えたかを計算しました。

 

計算式で書くと、下記になります。

 

位置エネルギー=mgh=1(kg)× 9.8(m/s²)× 1(m)= 9.8(kgm/s²・m)=9.8(J)

 

「J」は「ジュール」と読み、よく使用されるエネルギーの単位の一つです。

 

今日は、前回1mの高さまで持ち上げたモノが、元の高さまで落ちたときの運動エネルギーを計算します。

 

運動エネルギーは、速度をv(m/s)とすると「(1/2)× m(kg)× v²(m²/s²)」で求まります。

 

この式から運動エネルギーは、1(m)落下時の落下速度:v(m/s)が分かれば求まることが分かります。

 

それでは最初に、モノが1m落ちた瞬間の速度を計算する式を求めます。

 

モノの落下距離:h(m)、重力加速度:g(m/s²)、落下時間:t(s)、モノの落下速度:v(m/s)の関係は、下の①②の式で表せます。

 

① v(m/s)= g(m/s²)× t(s)+ V₀(m/s)

 ※ V₀(m/s)は、t(s)= 0(s)時の速度

 

② h(m)= 1/2 × g(m/s²)× t²(s²)+ V₀(m/s)× t(s)+ H₀(m)

 ※ H₀(m)は、t(s)= 0(s)時の落下距離

 

学校で習う式の表記は「v=at+V₀」や「S=(1/2)at²+V₀t+S₀」でしょうか。

 

「 (1/2)at² 」以外は、加速度と時間の掛け算が速度になるとか、速度と時間の掛け算が移動距離になるとかなので、イメージしやすいと思います。

 

「 (1/2)at² 」 の式を求めるには、積分的な考え方を使う必要があると思うのでちょっとイメージしにくいと思いますが、例えば0.1秒刻みくらいで速度と移動距離を計算していき、横軸時間でグラフ化するとイメージしやすいかもしれませんが、ここでは省略します。

 

モノが落下すると、位置エネルギーを失う代わりに運動エネルギーを得ます。

 

下の絵は、その様子を描いています。

 

 

 

落下を始める前のモノの速度:V₀は「0(m/s)」で、落下距離:H₀も「0(m)」の場合、①と②の式は下のようになります。

 

① v(m/s)= g(m/s²)× t(s)

② h(m)= 1/2 × g(m/s²)× t²(s²)

 

①、②の数値の中で、分からないのはv(m/s)とt(s)だけなので、まずは②の式からt(s)を求めて、それを①に代入します。

 

②の式を「t(s)=」の形にすると「√(2h/g)」となり、単位は「√(m/(m/s²))=√(s²)=s」となります。

 

この式に、高さ:h=1(m)を入力して計算すると、時間:t=√(2×1/9.8)= 0.452(s)となります。

 

1mの高さを落下するのに要する時間は、0.452秒なんですね。

 

この時間を①の式に入れて計算すると、1m落下後の速度:v=9.8(m/s²)×0.452(s)= 4.43(m/s)となります。

1mの高さを落下すると、速度が4.43(m/s)になりました。

 

これは、時速に換算すると4.43(m/s)× 60(s/分)×60(分/時)= 15,938(m/時)で、時速16kmくらいです。

 

0.452秒で時速16kmまで加速させるのだから、重力加速度:9.8(m/s)ってすごいと思います。

 

それでは運動エネルギーを求めましょう。

 

運動エネルギー =(1/2)× m × v² =(1/2)× 1(kg)× (4.43)²(m²/s²)= 9.8(kgm²/s²)= 9.8(J)

 

長々と計算してきましたが、運動エネルギーはやはり位置エネルギーと同じ9.8(J)になりました。

 

位置エネルギーの単位は「kgm/s²・m」で、運動エネルギーは「kgm²/s²」でしたが、「m」を移動すると同じ単位になります。

 

エネルギー保存の法則と整合する結果になって、ホッとしました。

 

次回は、たまたま数値が一致したのではないことを、式を使って確認したいと思います。

 

 

 

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