我が家には猫がいます。夫が突然亡くなって、半年くらいした頃に、娘と二人きりになり、どうにも、沈みがちだった我が家に夫の元同僚だったフランス人の女性が「近所で猫が生まれたんだけど、もし、子猫が欲しかったら・・?」 と声をかけてくれました。

 

 以前、実家でも猫を飼っていたことがあったし、アフリカにいた時も自由にでかけられない私を不憫がって、夫が家にいたボーイさんに頼んで猫を探してきてくれました。

 

 ボーイさんによると、アフリカでは、現地の人は、猫も食べてしまうとかで、あまり街中に猫がいることもなく、いくらかお金を支払うつもりが、生きているニワトリ3羽と交換してほしいということで、マルシェで生きているニワトリ3羽をボーイさんが買って、子猫と取り換えてきてくれました。

 

 わずか2年ほどのアフリカ滞在でしたが、フランスに来るときは、娘が生まれたばかりであったうえに、家も見つかっていなかったような状態だったので、泣く泣く、猫好きのフランス人の家族にもらってもらいました。

 

 そして、フランスに引っ越して、しばらくしてから夫という家族の一人が亡くなってしまったことで、再び、家族に猫が加わることになりました。

 

 子猫が数匹生まれた中から、事前に娘が猫を見に行って、自分の気に入った猫を連れてきました。それ以来、我が家の中にはホッコリと暖かい空気が流れ始め、娘とは姉妹のように育ってきました。名前も当時、流行っていた映画から、娘がポニョと名付けました。

 

 ポニョは家の中だけで暮らし、外出を極端に嫌うので、滅多に外に出ることもありません。たまに散歩に連れ出しても、強烈に嫌がるので、もう諦めました。一度、友人の別荘のあるニースに連れて行ったことがあったのですが、ポニョにとっては地獄のような数日だったと思います。

 

 とにかく気性が激しい猫で、嫌いな人には、遠慮なく「シャー!」と、うなって怒るので、扱いにくいのですが、ツンデレでありながらも家族にはとてもやさしく、少し落ち込んでいたりする時は、黙って心配そうに寄り添ってくれていたりもします。

 

 特に娘に対しては、自分の妹のように思っているようで、娘が独立してからも、娘が家に来たときは、心底、穏やかな顔になり、とてもうれしそうにしています。

 

 そんな娘が、久しぶりにポニョに会って、「なんか、ポニョ痩せたんじゃない?どこか悪いのかも?」と医者の予約を入れました。私は、毎日、会っているので、特に変化は感じなかったのですが、娘が「絶対おかしいよ!」などと言い、医者に連れて行ってくれました。

 

 しかし、ポニョは外出が嫌いなうえに、医者はもっともっと嫌いで、一度、家に来て間もない頃になにか、食べてはいけない(舐めてはいけない)ものを口にしたらしく、みるみる立ちあがれなくなり、動かなくなってしまったので、慌てて夜中に二人でお医者さんに連れて行って、この病院では何もできないからとヴァンセンヌにある24時間対応の動物病院に連れて行ったことがありました。

 

 もうその時には、ポニョは怒るもなにも、そんな元気すらなくて、グッタリしていたのでおとなしかったのですが、点滴をしてとりあえずは入院ろいうことになり、数日間は様子を見ましょうということになりました。娘は、泣きながら、「パパがいなくなった時より悲しい・・」とまで言い出し、二人で眠れない夜を過ごしました。

 

 翌日、面会ができるという時間に病院を訪れたら、点滴のおかげでポニョはすっかり元気になっていたのには、ホッとしましたが、もう怒り爆発で、獣医さんも手が付けられないと言わんばかりに、「もう大丈夫そうだし、連れて帰ってください!とにかく、すごく怒ってますから・・」と半ば追い出されたような感じでした。

 

 その後、避妊手術のために半日、入院?したことがありましたが、その時も同じような感じで、ポニョはとにかく病院が大嫌いなのです。

 

 今回は、娘が一人で連れていくというので、私はポニョが怒り狂うのを見たくないので、娘に任せてしまいました。案の定、ポニョの怒りは相当なもので、たしかに痩せているので、血液検査をしたところ、異常なし。「これだけ暴れられるなら、元気なんでしょう・・」ということで、帰ってきました。

 

 ポニョは今年15歳。人間で言えば、70代後半だそうで、高齢ではあるのです。

 

 スリムだとはいえ、食い意地は我が家の家系を引き継いでいるのか、相当なものです。キャットフードは、常に補充してあるのですが、それは彼女にとっては非常食のようなもので、私たちが食べるものを常に狙っています。

 

 塩分があるものはいけないので、ポニョのために味をつけずに肉を焼いて、細かく切ったものをあげたりもしているのですが、電子レンジやオーブンをつけると、それこそ真剣なまなざしで見守り、お鍋を火にかけていたりすると、それをしっかりしまっておかないと、お鍋をあけて、食べようと常に食べ物を狙っています。

 

 そんな感じなので、食欲は旺盛なのに、キャットフードを満足に食べないので、いつの間にか痩せてしまうような気がします。

 

 私自身、加齢とともに体調管理のためにタンパク質が足りないだろうとか野菜を多めにとか、最近は、とても食べるものに気を使っているのですが、これからは、ポニョの食事ももう少しカロリーがとれるものを考えなければならないようです。

 

 しかし、これだけガッツいているのに、勝手にキャットフードでおなかを満たしたくないポニョには参ります。

 

 昔、娘が小学生の頃、コロニー(合宿)などに行って、嫌いなものしか出てこないと、水だけ飲んで頑として嫌いなものを食べない(フランス料理全般が嫌い)娘がゲッソリ痩せてコロニーから帰ってきたのを思い出します。

 

 ふつう、お腹がすけば、あまり好きではなくても、一応、食べると思うのですが、娘はそうではなかったのです。考えてみれば、ポニョはそんな娘に少し似ています。

 

 病院から戻っても、ポニョの怒りは収まらず、いつもは喜んで食べるごはんをあげても、「シャー!」と声をあげて唸っています。

 

 とりあえず、血液検査までして、「健康」だと太鼓判をおされたので、そんなに心配はしていませんが、この性格が災いしていることは間違いありません。

 

 

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