つい、この間もラジオ番組の人気司会者へのいくつもの性加害告発報道があったばかり、今回、告発されているのは、精神分析医というのだから、さらに始末が悪く、悪質な印象を受けてしまいます。

 

 この男性は、精神分析医であり、元パリ第8大学の精神分析の教授として約10年間教鞭をとり、約20冊の本を出版し、数々のドキュメンタリーフィルム等を制作し、コラムニストや司会者として数多くのメディアに登場している人物です。

 

 今回は、フランステレビジョンの報道によって、彼がすでに性的暴行または強姦行為の複数の告訴の対象となっていることが公になりました。

 

 この騒動は、1月末に「ELLE」エル誌に掲載された彼から受けた性被害の暴露記事が発端となり、彼に関わる被害者の間で#MeToo運動が爆発している感じで、今回のテレビ放送で証言した被害者は3人ですが、すでに、少なくとも約50人の女性が不適切なわいせつ行為から強姦に至るまでの行為で告発しています。

 

 彼は現在75歳ですが、被害を訴えている女性らが告発しているのは、20年以上も前の話から存在し、その後、長期にわたって、同じような加害行為が多数の女性に向けて行われていたことは、彼女らの証言の一致から、彼が利用していた手法にある程度の一貫性も見られることから、明らかになりつつあります。

 

 前回、騒動になったラジオパーソナリティーの場合もその有名人という立場を利用したものでしたが、今回のジェラール・ミラーの場合もテレビの公開番組などの場で獲物を物色しており、彼の場合は、また精神分析家という特別な立場が加わり、治療やテストなどと称して、催眠セッションなどを利用していたと被害者は証言をしています。

 

 これには、もう救いがたい悪質さを感じずにはいられません。

 

 この彼の加害スタイルは、2000年代初頭に放送されていた進行役でもあった彼が観客の中から女の子を選んで番組を進行するスタイルの番組がきっかけで、多くの被害が発生しており、被害者の女性たちは、被害当時14~15歳、あるいは、非常に若い年齢であったこともあり、彼が公人でもあり、精神分析医という立場であることから、ある程度の信頼を抱いていたと証言しており、中には、きっかけは、トークショーの後に、家族に自慢するために彼にサインをもらいに行ったことがきっかけだった・・と話している女性もいます。

 

 この性加害報道のフランステレビジョンの番組はこの性加害調査において、彼にかかわった一緒に仕事をしたことのある人物80人以上の証言をとり、これを報道しています。

 

 日本でいう文春砲のようなものですが、こちらはテレビでの報道ですので、インパクトもかなり強力です。

 

 ジェラール・ミラー本人は、「いつも単純な会話と楽しい瞬間だった。 プレイに同意した人は催眠術にまったくかかっておらず、意識は完全に保たれており、いつでもゲームを中断することができたはずなので、これらの出来事は全て同意のうえでのことである」と、この告発内容を否定しています。

 

 現在、複数の告訴状を受け、パリ検察庁は捜査を開始しています。

 

 これだけの被害者が同時に同様のウソの証言をする理由も必要もなく、彼の性加害行為に疑いはないと思いますが、今、必要なのは、精神分析医であったはずの彼自身の精神分析をする優秀な精神分析医かもしれません。

 

 

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