ここのところ、フランスのマスコミは、毎日のように、俳優・ユーモリストであるピエール・パルマードの起こした自動車事故によって明らかになった彼の人生の転落ぶりを報じています。

 

 この事故が起こったのは、パリ近郊の彼の家からそんなに遠くない場所で起こっていますが、この事故が、車の原型をとどめていないほどのかなり大事故であり、車に乗っていた人々が重症を負ったことや、車を運転していた彼からコカインの反応が出たことで、騒ぎは一層、ヒートアップしていきました。

 

 彼が運転していた車は、正面からやってきた対向車に衝突し、対向車の損傷は特に激しく、救出のためのヘリコプターも出動したようです。

 

 対向車に乗っていた男性と6歳の子供は重症で、同乗していた女性は妊娠中で、彼らが病院に搬送された後に、お腹の中の子供は、亡くなったということで、胎児が殺人罪に該当するのかどうかも論争の種の一つになっていました。

 

 しかし、後日、妊婦は事故後に病院で帝王切開の手術を受け、出産していたことが明らかになり、子供は、その約30分後に死亡宣告を受けていることが明らかになり、殺人罪に該当することが確認されています。

 

 当の本人も事故のために命に別状はない状態とされつつも、負傷しており、入院状態にありましたが、ある程度、回復した段階でまた、同地方の病院内の薬物中毒ケアユニットに電子ブレスレット(身柄追跡のため)を着装された状態で入院していましたが、後に脳卒中を起こして、その治療中(命の危険はないとのこと)とのことで、事件に関する公聴会も欠席しています。

 

 さらに問題なのは、彼の薬物中毒がかなり重度なものであったことで、事故を起こした当日もその日の昼頃から、事故を起こす30分前まで(事故は午後7時頃発生)、コカイン、アルコール 2 杯、3MMC(コカインと同様の効果を持つ違法薬物) を 8 回摂取しており、薬物の影響で過去3日間、眠っていなかったことが発覚しており、ほぼ薬漬けのような生活であったことがうかがい知れます。

 

 当局の自宅捜索で、これらの薬物の痕跡と注射器を発見されており、彼の血液検査の示す数値からも、かなりの量のコカインが認められ、重度の中毒状態であったことは明白で、本人も事実を認めたと言われています。

 

 こうなってくると、根掘り葉掘り彼の行状が深掘りされていくなか、このほかにも、警察への通報を受けて児童ポルノ画像の所持で捜査が開始され、 彼のパリの自宅とセーヌ・エ・マルヌの家が家宅捜索され、コンピューター機器が押収されています。 

 

 一昨日、パリ控訴裁判所は、彼を「殺人および不随意傷害」の罪で起訴し、自宅軟禁について検察からの異議の申し立てにより、公判前拘留(裁判の前に投獄)が決定しました。

 

 彼の投獄に関しては現在のところドクターストップが出ていて、まだ彼は収監されていないようですが、超有名人の投獄ということで、マスコミは、これまでに収監経験のある人の証言をとったりして、彼の刑務所の生活のリスク(フランスの刑務所はかなり怖いところらしい)を明らかにしており、ある程度、刑務所内で保護された状態でない限り(一般の囚人と一緒の場合は彼の命は5分もないと言う人もいる)、彼は塀の中で大きな危険にさらされることになると言われています。

 

 かねてから薬物問題で苦しんでいた彼は、2年前にコカインと同様の効果を持つ合成薬物 3MMC に出逢い、それ以来、新たな薬物の中毒反応のために、もはや仕事もできない状態に陥っていたと語っているそうです。

 

 この事故の当日だけを見ても、もはや彼の生活は普通ではなかったのは明らかで、それが薬物のためであることは明白ですが、どう考えても幸せそうではありません。

 

 世間にも広く認知されていた彼は、俳優・ユーモリストとして、フランスではある程度、成功者であったはずなのに、仕事の上での成功と個人の生活が幸福であるかどうかは、全く別ものであるのだと、つくづく思い知らされてしまうのです。

 

 

 

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