【SH29小説】男子大学生の言い分2024050201


これ…死んじゃってる人の記憶だ…。

またか…。

まったくもって、だれだよ!ガンダムの

コーディネーターみたいに死んだ霊魂や生き霊に

なることのできない気霊を動かししてるやつは!!


そう思いながら同化中。


あれっ?君さぁ、荷物だけじゃなく

キーまで車内に置いて、

車の運転席から降りるの?

危なくないかい?

大丈夫なのかい?


目の前に広がるシーンは切り替わる。

ということは、彼の記憶はここまでだと

いうこと。


次にみた光景はなかった。


ただね、私は彼に変わって彼の車の運転席に

戻ろうと運転席のドアを開けてみた。

だけど、ムダだったんだ。


だから、幽霊になってる彼は、そこで

私に気がついたわけで…。


まぁ、また夢で会えるかな。たぶん。

成仏以前の問題だしね。


そうして、目覚めた朝があった。


次に彼から、声をかけられたのは

今朝の歯医者さんの治療室でのこと。

うつらうつらしていた時だ。


『俺、殺された。』


そう声をかけられた。


「最後にいた場所は?」


脳内で応える私。


『カフェテリア…。』


つぶやくように答えてくれた彼に


「このカフェテリア?だとしたら、私は

営業で昔に月一回は行ってたから知ってるの。

わかる?このチキン、よく食べていたんだ。」


彼にわかるようにと、私の記憶を死んでる彼と

共有。


『大学知っているんだ…。そこです。そこから

俺の記憶はない。』


その時点で、飛び降り自殺をした男子学生の

霊魂だと理解した私。


「君さぁ、たぶんたちの悪い生き霊や死霊に

取り憑かれてしまってたのよ。だから…。」


『……。』


彼も私も無言だった。


いきさつは、こうだ。


彼は大学で学ぶため、親元を離れ、

独り暮らしをしていた。

その場所は、自家用車がないと大学で

勉強するには不便な土地。


彼は、なんらかの事情で車のキーや、

下宿先の鍵、免許証、勉強道具を

車に置いたまま車を降りたのだ。


まぁ、時間帯にもよるが、他の車を運転する

人に絡まれたのだろう。

おそらく相手は二人以上。


車の中に身分を証明するすべてのものを

置いたまま降りたと思われる。


で、一人と話をしているうちに

車を目の前で盗まれた。

気がつけば、自分の車を持ち去られたのだ。


彼は途方にくれた。


誰にも連絡すらできないのだ。

警察に行こうとしても、警察どこ?

どうやって知り得る?

行ったとしても、彼が一年生だとしたら、

下宿先の住所を覚えているはずもなく、

下宿先に戻っても、家の鍵がなければ

入れない。


ここの住人であることを証明するには

下宿先の不動産屋に連絡。連絡先もわからない。


あたりまえだ。

寮生ではないのだから。


途方にくれた彼は、大学に向かいカフェテリアに

腰かけていた。


そこで、呆然としている時に、

魔物に身体を占領され、記憶が途切れたのだ。


そして、彼は飛び降りた。


彼は気がついてなかった。死んだことに。

そして、偶然にも私と出会い気がついた。


あとは、成仏を促すだけ。


君さぁ、どうして教務課に行かなかったの!

学生身分証の写真、撮影しただろ?


まず、それをするべきだったのに。


次に彼に会ったら、話を聞こう。

聞くしかできないけれど…。


ねぇ、また話しかけてきてよ!

私の昔のバイト先の友達もさ、そこの大学にいてさ、

さすがに生身の人間だけど、

幽霊になってる君だけじゃなく、

その子にも世話焼いていたから

気にすることないからね。そう伝えたい。


だけど、飛び降りた彼さぁ、生きていれば生き霊、

死んでしまうと浮遊霊になれるタイプだったみたいだ。

私、生き霊にはなれないからさ、わかんないんだよね。

幽霊の感触と気配を感じることはできても

視ることはできないんだよね。はぁ。


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おばちゃま、開花しちゃいました?

~りかおばちゃまの日記~


 rikachima0925


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