彼の演奏は、本当に心に沁み込んで来る音色で、いつ聴いてもうっとりする*:・( ̄∀ ̄)・:*
もともと、ヴァイオリンの音色はあまり好きではなかった。
あの高音の弦の摩擦音が苦手で。
どんなに有名な人の演奏を聴いても、どんな名曲でも、感動しなかった。
ところが、初めて葉加瀬さんの演奏を聴いた時、全身に鳥肌が立つ程の衝撃を受けた。
全く摩擦音に聴こえないどころか、まるで音が言葉を語っているように聴こえた。
一つ一つの音が、その音符に込められた表現すべき思い・意図・感情等を、的確に音色として表し、楽器が歌っている!
と言うより、楽器が奏でている事を忘れてしまうような感覚だった。
まるで人が歌っているのではと、錯覚してしまうような。
それ以来、彼のヴァイオリンだけは大好きです

そして、私にはもう一つ、忘れられないヴァイオリン演奏がある。
もう5・6年前になるけれど、ほんの数フレーズだけ弾いて下さった方がいる。
以前は良く演奏していたが、もう随分長い間弾いていないと言いながらも、聴きなれたメロディーを奏でて下さった。
何の曲だったかは忘れてしまったけれど、クラシックの有名な曲だったように思う。
当時私はとても辛い日々を送っていた。
音楽なしでは生きていられなかった私が、ピアノの前に行くことさえ苦痛に感じ、音楽を聴くなんて言う事は、忘れてさえいた。
でも、そのヴァイオリンの音を聴いた途端、氷が解けるように心の鎖がほどけて行き、そのひとときだけ、オーケストラの音の中に包まれている様な、懐かしい感覚に戻れた。
決して葉加瀬さんのようにプロの演奏家でもなければ、素晴らしい音楽家と言うわけでもない。
小さい頃ヴァイオリンを習い、昔弾いていた・・・と言う、ごく普通の人である。
でもその音色には、決して押しつけがましくない、その人の優しさが溢れていた。
ゆったりと全てを受け止め、心を解きほぐし、頑張らない素直な自分を取り戻させてくれる、そんな不思議な力を持った優しさ。
色々なものに押しつぶされそうだった私は、何ヶ月ぶりかで体の力が抜け、息を吸えた様に感じた。
もう2度と聴かせては貰えないだろうけれど、一生私の心に残る名演奏である。