仕事や生活、学習のベースとなる記憶力 ワーキングメモリーって? | 心理臨床オフィス ルナール|心理士によるオンラインカウンセリング

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ワーキングメモリって?
~生活や仕事・学習のベースになる記憶力〜

Ⅰ ワーキングメモリとは
1..短期記憶とワーキングメモリの違い 
2.ワーキングメモリの個性
(言語/視覚[非言語]、見る/聞く)
Ⅱ ワーキングメモリが弱い場合の困りごと
Ⅲ ワーキングメモリは伸ばせる? 
Ⅳ サポートの方法
Ⅴ.まとめ
 


Ⅰ. ワーキングメモリとは
隣の部屋に物を取りに行ったけど、何を取りに来たか忘れてしまった…。

このようは経験をされたことのある方も多いのではないでしょうか?

これは、「一時的に情報を覚えておくこと」が、うまくいかなかった例です。


このような、“頭の中に、一時的に情報を覚えておく記憶”のことを、ワーキングメモリといいます。


日常生活や、学習場面において、このワーキングメモリは大切な役割を担っています。


 
そして、ワーキングメモリのはたらきが弱い場合、さまざまな困りごとが出てくることがあります。


今回は、ワーキングメモリとはどんなものなのか、ワーキングメモリが弱いとどんな困りごとが出てくるのか、そしてワーキングメモリをサポートする方法をご紹介していきたいと思います。
   


 短期記憶とワーキングメモリの違い 
短期記憶という言葉は聞いたことがある方も多いかと思います。

短期記憶とワーキングメモリには、どのような違いがあるのでしょうか。

ワーキングメモリも短期記憶(近時記憶)も、“一時的な記憶”という意味ではほぼ同じと言われています。


一方、ワーキングメモリは一時的な記憶だけでなく、覚えた情報の整理や操作も含めた記憶のことを言います(堂山ら、2012)。
 
つまり、短期記憶は、単に「言われたことを覚えておく」ような“機械的な記憶”を意味し、

ワーキングメモリは、「言われたことを覚えながら頭の中で整理する」といったプロセスも含んだ記憶なのです。

「聞きながら整理する」「読みながら書き写す」「話しながら整理する」といった、いわゆる“マルチタスク”には、このワーキングメモリが関わっています。
 
私は心理士として、普段ワーキングメモリの力をはかる心理検査を行っています。


その中では、「機械的な記憶のキャパシティはたくさんあるけど、覚えながら考えるようなマルチタスクが入ってくるのは苦手」、「機械的な記憶のキャパシティはそこまで多くはないけど、マルチタスクは得意」など、様々なタイプの方に出会います。 



 
 ワーキングメモリの個性
また、ワーキングメモリという記憶のはたらき方には、人それぞれ個性や、得意不得意があります。


これは、どんな情報を覚えるのか(①言語/視覚[非言語]によって変わってきます。


また、目か耳、どの感覚器官を通して覚えるか(②見る/聞く)によっても変わってきます。
 
 
①言語/視覚[非言語]

同じ“一時的な記憶”でも、言葉に関する情報を覚えるのが得意な人もいれば、絵や図表やイメージに関する情報を覚えるのが得意な人もいます。

なぜなら、覚える情報によって、メインではたらく脳の部位は変わってくると言われており、そうした脳の特性は、一人ひとり異なるからです。
 
道順を覚える時のことを例に挙げてみます。


視覚(非言語)に関する情報の記憶よりも、言葉に関する情報の記憶がより強い方の場合には、言葉で道順を覚えようとします。「3つ目の角を曲がって、スーパーを通り過ぎて、…」といった具合です。


一方、視覚に関する情報を覚えるのが、言語に関する情報を覚えるよりよりも得意な場合は、言葉よりも、地図や、写真などで覚えようとしたりします。
  


②聞く/見る
また、覚える情報を、目と耳のどちらからインプットするか、ということも、情報の覚えやすさに関わってきます。

同じ情報でも、耳で聞いて覚える方が得意な人もいれば、目で見て覚える方が得意な人がいるのです。


実際、講義や研修中に講師の説明がなかなか頭に入らないけど、自分で静かに資料や教科書を読むと、学ぶ内容がすっと入ってくる、という方にも出会います。

そういう方の場合は、聞く記憶よりも、見る記憶が得意なタイプである、ということも多くあります。

続いて、
 
Ⅱ ワーキングメモリが弱い場合の困りごと
について例を紹介していきます!


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【参考・引用文献】
「教室の中のワーキングメモリ 弱さのある子に配慮した支援」 (2021) 河村 暁 著
「視空間ワーキングメモリと短期記憶に関する研究」(2012) 堂山 亞希、橋本創一 「機能的MRIを用いた視覚性ワーキングメモリ課題における脳活動の検討」(2009)斎藤 恵一、安藤 

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