4月30日にNHK教育の「芸術劇場」で放送があった『熊谷陣屋』を見ました。
昨年の11月に歌舞伎座で上演されたものです。
愛之助さんが出演されているし、仁左衛門さんだし・・・・すごく楽しみにしていた放送なのですが、
お話の内容がなかなか私にとってはハードなもので、じっくりと見る時間がなかなかとれず、やっとです。
『熊谷陣屋』
まず舞台映像の前に仁左衛門さんのインタビュー。
首を直接相模に渡すこと、藤の方との再会のことを、台詞を実際におっしゃって熱く語ってらっしゃいました。
義太夫さんが「直実~~」といった時にちょうど奥の襖が開くので、
一瞬直実が登場するのかと思ったら愛之助さんの堤軍次の登場でした。直実は花道から登場。
ここからの直実・相模・軍次のやり取りがなんかそこら辺にもある家族の揉め事みたいでおかしくて、
直実 「嫁さんに話があるでお前はちょっと向こうへ行っといてくれへんか。」
軍次 「はい、そんならちょっと失礼します。」
相模 「ちょっとまってよ・・・・2人っきりになったら私怒られてしまうやん、一緒におって~。」
軍次 「え・・・、は・・い。」
直実 「なにやってんねん。はよ向こ行けって言うてんのに。」
軍次 「は・・・い、そやけど・・・・。」
相模 「ちょっとまってって~~。」
軍次 「え~~~。どうしたらええのん。」
直実 「早よ向こ行けっていうとるやろ。わからへんのか~~。」
軍次 「はいっっすみません。今行きます。」
相模 「行ったらあかんて言うとるやんか~。」
軍次 「それでもこれ以上おったら怖いやん、無理言わんといてください。」
--相模を振り切り、軍次退場。--
直実 「こら、女の身で陣中に来るってどういうことやねん。」
相模 「そんなこと言うたかて心配やったんやもん・・・・、えへへ・・・・・。」
みたいな感じに思えてしまってにんまり・・・・・、見ながらこんなことを考えられるのはTV観劇ならではです。
ここでの愛之助さんの動きはしゃきしゃきピシッとしていて見ていて気持ちがいい。
この場で愛之助さんが足の調子が悪かった雀右衛門さんの手を取って階段を上り下りするんですが、
これが渡辺保さん に「前半ベタベタしていて相模となんかありそうに見え」と言われるもとになったのかな?
私はこの場面を、「愛之助さんは十三代目さんの手もこうやって支えてたことがあったのかなぁ。」
なんて思って見ていたんですが・・・・。
直実が相模に息子の小太郎のことを
「もし討ち死にしたら何とする~。」とか「もし急所(?)なら悲しいか~。」って問い掛けるのだけれど、
相模にこれから起こることの心の準備をさせているのだろうか?何にも知らない相模が見ていられない。
仁左衛門さんは動きがとても大きくて、それがひとつひとつとても綺麗に決まって、見ていて惚れ惚れ。
以前に買った和樂4月号 の熊谷陣屋についての仁左衛門さんのインタビューを読んでから見ると、
台詞のひとつひとつ、動きのひとつひとつがすごく考えられているものだとわかる。
(上のように茶化して見ていてはいけないと反省・・・・・。)
仁左衛門さんは首を直接相模に手渡す。それは夫婦の感情が通い合う大切な場面だということから。
でも今このように演じるのは松嶋屋さんだけで、普通は縁側に置いた首を相模が取ると言うものらしい。
縁側に置いてというとすごく冷たく感じるし、こうやって手渡しにする方がずっといいのにと思うんだけれど、
他の熊谷陣屋を実際に見なければわからないので、映像でいいので(笑)ぜひ見てみたい。
仁左衛門さんの直実は、首実検のところでは相模や小次郎に対する思いもあふれていると思うけれど、
藤の方への思いがとても強く感じられる。
藤の方がいなければこの世に生まれてくることがなかった小次郎の命。
その命が今身代わりになって消えた・・・・・、何やったんやろ~この十六年は・・・これが「夢」なんですかね。
命じた義経は顔色一つ変えずに「よくぞ討ったり、敦盛の首に相違ない。」ととても非情なのかと思えば、
直実が暇乞いをする時の少しの表情の変化に優しさが垣間見えるようだし、
あなたは優しいの?冷たいの?どっちなの~~?って思ってしまう(笑)。
「ご縁があらば」「命があらば」「堅固で暮らせよ~」のところの台詞の流れがとても綺麗。
義経→弥陀六→藤の方→相模→軍次→直実・・・と台詞を言っていくところは見ていて妙に緊張(笑)。
大幹部さんの中で愛之助さん台詞を言っているよ~~と思いながら見てます(^^;
このお話の最後は、どうしても「1人残された相模はどうするの?」って思ってしまう。
その点で直実が花道を去らず、相模と2人で旅装束のまま幕切れの芝翫型の方がホッとする幕切れかも。
これは今ではなかなか見られないそうだけれど・・・・・・・・・、橋之助さん待ちかな(笑)。
TV観劇をしていて思ったこと・・・・・。桟敷席に座ったら一瞬でも気が抜けないなぁということ(笑)。
仁左衛門さんには目もくれずお弁当食べてたら目立つ目立つ(笑)。最後はおらへんし・・・・・・(^^;
今これを書いてて、以前「平家物語」で熊谷直実のところをレポート書いたことがあったのを思い出した(笑)。