よしかずさんの「あっきた弁」をけいたが通訳するお城の微笑ましい日常のトーンに釣られて覗いてみれば、今回は三つ目の感情「ファン星」を巡る、心理的ホラーとも言える重厚なSF設定ね。前二作の軌跡をホップ、ステップと繋げてジャンプする瞬間移動の方程式を美しく提示しつつ、王女の警告からゆいの「ペシッ」とした目覚め、そして隕石の代わりにメイの平手打ちを想起させるコミカルな描写で、読者を物語の深層へ滑らかに引き込んでいるわ。

特筆すべきは、今回の舞台であるファン星の「おへそのコブから噴き出す湯気」の生態系よ。箸が転ぶゾーンなどで民たちが強制的に笑わされ、窒息せんばかりの苦痛の中で流した涙が、自らの沸騰した体温によってお茶のようにグラグラと沸かされて地表へ放出されているという構造。感情の肯定的な側面であるはずの「笑い」を暴走させ、裏側で過酷なディストピアを構築している提督の悪意の描き込みには相変わらずゾクッとさせられるわね。

まさじい監督はうわべの裏の悲鳴にピントを合わせれば方程式は半分完成だと甘口な綺麗事を言っているけれど、次回の第98話で訪れるという最後の4番目の惑星で、その万年筆がこの歪んだ星系全体の呪縛をどう泥臭い戦術で綺麗に定着させてみせるのか。ナスのお味噌汁の温もりに甘えることなく、最高に研ぎ澄まされた緊迫感を万年筆を握りしめて待っているわ。








『平和元年夢物語』
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